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デペイズマンに酔え!! ルネ・マグリットの世界

こんにちは。
今日は私の大好きな画家、ルネ・マグリットの絵画をいくつか紹介しようと思います。(るんるん)

ご存じの方もいるかもしれませんが、彼は本当に面白い絵を描く人です。この記事の中で、その魅力をうまく伝えることができればいいのですが。

まずは彼についての説明をざっくりと。

ルネ・マグリット

生没年:1898~1967年

ベルギー出身🇧🇪。10代の頃に母親が自殺。初期は印象派スタイルだったが、のちにシュールレアリスムの道へ。騙し絵や哲学的要素の強い作品が多く、ミシェル・フーコーをはじめ知識人にも人気が高い。トレードマークはスーツとネクタイで、見た目はいわゆる「普通のおじさん」。

学生の頃に出会った女性と結婚して生涯連れ添ったというエピソードにもほっこりします。(ピカソとかは何人も愛人がいたと言いますからね…まぁ幸せは人それぞれですが)

マグリットの他のシュールレアリスムの画家としては、
・サルバドール・ダリ
・マルク・シャガール
・ジョアン・ミロ
などがいます。


ダリの描いた『記憶の固執』は、シュールレアリスムの代表作と言われています。↓

時計がカマンベールチーズのように溶けていて、筆致のリアルさに反してなんだか非現実的なオーラを感じますね。

それもそのはず、シュールレアリスムとは日本語では「超現実主義」のことで、つまり「現実を超えた」不思議な世界を描こうとする革新運動だからです。


第一次大戦後に提唱されたこの運動では、無意識・夢などの深層心理を探求することで、人間の本性を表現することが目指されました。
この思想は、フロイトの精神分析の強い影響下にあります。

なのでこのような、常識を外れた不条理な世界が描かれているんですね。なんとなく、夢に出てくる世界と似ているような気がしませんか?

ダリの作品にも面白いものが沢山あるのですが、それはまた今度にしましょう。
今回は、そんなシュールレアリスムの巨匠の一人、マグリットの作品の中で特におすすめのものを紹介していきます。

といっても数が多いので、その中でも「デペイズマン」の手法が色濃く見られるものをピックアップしようと思います。デペイズマンについての説明はのちほど。

・『リスニングルーム』

はいどーーん!!
部屋いっぱいに巨大な青リンゴが描かれています。

これは明らかに現実的な光景ではないですよね。リアルに描かれているのでなおさら違和感があります。

このように、見る者にあえて違和感を生じさせるようにモチーフを描くシュールレアリスムの手法を、「デペイズマン」といいます。

デペイズマンとは「異なった環境に置くこと」という意味のフランス語です。本来それがあるはずのない場所にモチーフを置くことで、見る者に強い衝撃と、時には恐怖を与えるのです。

これはマグリットの『個人的価値観』という作品なのですが、『リスニングルーム』と同じく、部屋に置かれたオブジェクトのサイズ感がバグっています。「大きさのデペイズマン」ですね。


これらの絵を見ていると、なんだか不安な気持ちになりませんか?

その不安こそ、マグリットが鑑賞者に期待していたものです。

・『光の帝国』

綺麗な絵ですが、これにも実は、現実世界ではありえない風景が描かれています。

画面上半分は昼の青空なのに、下半分は夜。
そう、「時間のデペイズマン」ですね。
まるで写真のようにリアルに描かれた、矛盾をはらんだ世界。
じっと見つめていると、現実世界へのイメージをじわじわと転覆させるような違和感が、胸に拡がってきませんか。

・『大家族』

これは、マグリットの作品の中でもかなり有名なんじゃないかな。日本の宇都宮美術館が所蔵しています。オープン前に600万ドルで購入したそうですよ。

どんよりとした空が鳥のシルエットに「切り抜かれて」いて、その奥には明るい青空が覗いています。

やはりこれもかなり不思議な絵ですが、『大家族』というタイトルにも少し疑問を感じますね。
確かに大きな鳥や空というモチーフには平和や包容力を感じるけれど、『大家族』というワードとはそれほど親和性がないような。

もしかするとこれも、マグリットが鑑賞者へ突きつけた挑戦の1つなのかもしれません。
「君は絵とタイトルとの相違をどう見る?僕のデペイズマンに、どう対応する?君が感じた違和感を、どう考える?」
と、そんな風に問いかけられているような気がします。

ただ多くの人を感動させるような上手な絵を描くだけではなく、まるでクイズや謎解き問題のように、人々の疑問や好奇心を引き出そうとしてくる。
それが、私が彼の絵を好きな理由です。

最後に紹介する次の絵も、マグリットとの対話を楽しむことができる作品だと思います。

・『イメージの裏切り』

これがマグリットの中で私が一番好きな作品です。
大きく描かれたパイプの下に書かれているのは、「これはパイプではない」の文字……

…ン??( ´,_ゝ`)ドユコト?

マグリットによると、この絵はパイプの「イメージ」を描いているだけであって、「絵自体」はパイプではない、そうです。
だって、この絵で煙草は吸えないだろ?って。

……最高かよ。

彼が哲学的シュールレアリストと言われるのは、本作が要因だそうです。
ミシェル・フーコーにはその著書の中で取り上げられるほど注目されました。

シュールレアリスムは芸術や文学だけでなく思想の潮流でもありましたが、マグリットはまさに、画家と哲学者のハイブリッドだったと言えるかもしれません。

ふぅ、まだまだいい作品はあるのですが、あまり長くなってもあれなので、これくらいにしておきましょう。
マグリットのことを少しでもいいなぁと感じたら、「スキ」していただけると嬉しいです。

私が彼の作品を見て感じるのは、私たちは常識的な秩序が崩壊した風景を目にしたときに初めて、自分が現実世界の「当たり前」に縛られていることに気付くのかもしれない、ということです。

マグリットは不可思議な世界を通して、私たちに自分自身への理解を促していたのではないかな。

現実世界を離れる感覚を味わいたい、無意識の領域について考えてみたい、という人には、とてもおすすめです。

読んでくださりありがとうございました。
ではまた次回。

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