博士課程ってどんなところ?

1. 博士課程って何?

 大学を卒業した後に、さらに研究を深めたい人が進むのが大学院という場所です。講義やゼミ中心で受動的な授業内容の多い大学とは異なり、大学院では研究室に入り、指導教員のもとで自身の研究テーマについて実験・研究を行います。大学院は修士課程と博士課程に分かれており、以下の通りそれぞれ特徴が異なります。
修士課程:最低2年間研究のやり方を学び、新規性のある研究成果を見出す
     ことが望まれる場所。研究者としての基礎を学ぶ。
博士課程:最低3年間複数の新規性のある研究成果を見出し、そのテーマの
     第一人者になることが望まれる場所。独立した研究者になる為の
     修行期間。
 理系では一般的に修士課程で卒業し、事務職・技術職として公務員になるか、民間企業に就職するケースが多いです。博士課程には、大体の場合は大学教員など研究者になりたい人が進学します。(そういった職業は修了後に貰える博士号が必須な場合が多いです)

2. 博士課程の修了条件

 博士課程は順調にいけば3年間で修了できます。分野にも依りますが、修了のためには査読付き論文を1本~3本受理される必要があります。そのため在籍中は「ひたすら実験して結果を出す→新規性のある成果が出たら論文執筆・投稿」といった作業を繰り返します。その過程で、指導教員から実験デザインの組み立て方や統計解析手法、論文執筆方法について教えて貰い、研究を完成させていきます。また、共同研究を行ったり、学会で成果を発表したりして、同分野の先生や研究員から意見を貰うことも有ります。
 修了要件を満たすと、学位審査を受けます。学位審査は5名程の研究員(大抵は講師・准教授以上)が見守る中、博士号を授与するに値するか判断を受ける試験です。たまに「単位取得後退学」という言葉を見ますが、これは諸事情で修了要件を満たせなかったものの、3年以上在籍し、ゼミ等の所定の単位を取得された方を指します。なので、学術論文が受理され、学位審査を受ければ博士号が授与される運びとなります。

3. 博士課程修了後の進路

 修了後については、とても優秀な人なら大学の助教に、他は博士研究員(いわゆるポスドク)になることが多いです。もちろん私のように民間企業に就職する場合も有ります。
 分野によって割合は異なりますが、理学系・農学系の基礎研究を行う分野の場合は博士研究員になるパターンが多いです。博士研究員にも色々あって、自由度が高く給与もそこそこ安定している日本学術振興会の特別研究員(以後、学振PD)などは恵まれた研究環境に身を置けますが、科研費の雇われ研究員や籍だけ与えられた研究員などは研究環境や給与の面で苦労する場合も多いようです。
 修了後にどんな進路を取るかについては、研究実績、運、人脈が大きく作用します。研究実績が十分な人は学振PDに採用されるか、ポストがあれば助教クラスの職に就けます。しかし、これらのパターンは修了者の上位10%未満です。その他は、一般的な博士研究員になる場合が多いです。博士修了後は、博士研究員か助教になり、上手く行けばその後講師や准教授などの職を経て、大学教授になります。また、研究機関以外にも、関連分野の企業研究員になるか、研究スキルを活かしてITやコンサル系の民間企業に就職する場合が多い印象です。

4. まとめ

 ざっくり言うと、大学は勉強する場所・目標を見つける場所、大学院は研究をする場所です。特に、大学院の修士課程を修了した後は、公務員や民間企業で総合職や技術職として働く場合が多い一方で、博士課程を修了した後は研究内容や研究スキルを活かした仕事をする場合が多いです。必ずしも常勤職に就ける訳では無いですが、特定分野の研究が好きな人が自分の高みを目指して研鑽し続けることが出来る進路です。

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