『めんどくさい本屋』の続きをやる。『対話1 本屋とことば』刊行(+取り扱い書店リスト)

 双子のライオン堂出版部から、『対話1 本屋とことば』が刊行されます。
 お店の公式サイトで公開されたプレスリリースのとおり、YouTubeで配信している連続対談イベント「めんどくさい本屋の寄り道」シリーズの書籍化です。

 
 遡るといくらでも話ができるのですが、そもそも『めんどくさい本屋』の企画立ち上げが2018年4月→刊行が2020年4月→オンラインの配信イベント開始が2021年1月(2022年1月から「めんどくさい本屋の寄り道」に名前を変更)という流れです。
 
 数えてみると、「めんどくさい本屋の寄り道」はこれまでに27回開催していました。
 複数回登場したゲストは数えるほどなので、ほぼ毎回異なる方を招き、店主・著者の竹田さんと、編集担当者の秋葉(今で言うごーすと書房)でフリートークイベントを続けて今に至ります。
 ちなみに2023年は、竹田さんがひとりで配信する「めんどくさい本屋の独り言」もやっていました。
 この全部が、YouTubeにアーカイブとして公開されています。

 
 そもそも、『めんどくさい本屋』が刊行された当初は緊急事態宣言の真っただ中で、少なくない本屋が休業を余儀なくされる状況にあり、積極的にイベントをしようという機運もノウハウももちあわせていませんでした。
 落ち着いてきたところで、このまま尻すぼみのような雰囲気になってしまうのは竹田さんに申し訳ないと、何かやりませんか的なことを提案したのが、2020年の終わりが近づいた頃だったと思います。
 
 ゲストを招く形も検討しつつ、まずは竹田さんと編集担当者で公開オンライン対談をするところから始めました。これが2021年1月の連続イベント第1回です。
 今考えるとなかなか無謀な試みで、あまりにも拙い自分の話しぶりから最初の回だけはどうしても見返せないのですが(パートナーに「竹田さんと出会うまでの話が終わらない…」「この人、いつまで話すんだろう…」と後で言われました)、何事も経験です。

 それまでは、「編集担当者が著者よりもでしゃばるような真似はよくない」と考えていて、自分の存在はあえて消している部分がありました。
 でも、著者に対して名前や顔出しすることを強いている立場なのに、出版社の側の人間が姿を見せず後ろに隠れているだけなのも、なんだか無責任でおかしな話だなと思い始め、やれる限りは続けていこうと、「遅れてきた刊行記念イベント」として継続していくことになります。
 
 基本的には、竹田さんとゲストが肩肘張らずに自由に話していく形で、私は司会と言いつつも立会人のようなポジションで隅にいます。
 とめどなくトークが続いていくようであれば阻害せず、ちょっと流れを変える必要があると感じたときには、さりげなく話の隙間に入っていく。
 なので、私が完全に存在感を消している回もあれば、結構話に割り込んでいる回もあって、書籍化にあたってアーカイブを見返しながら1人でふむふむとなっていました。意外に自分がしゃべっているなと思えたり。
 
 さて、肝心の書籍化についてです。
 今回、私のほうではテーマの設定と収録する対話の選定、4つの対話の文字起こしと構成などを担当して、全体の進行管理や装幀・本文デザイン・組版は竹田さんが担っています(インパクトがありつつ、絶妙なバランスに収められた表紙も、竹田さんの手によるものです)。
 実質的に「編集者が2人いる」感覚で取り組んでいて、どのような本にしていくかをすり合わせながら完成に至った気がします。
 私の中での「このようなテイストにしていきたい」という要望を竹田さんが受け入れてくれて、竹田さんからも「こんな要素を入れたい」という打診があって、私も「分かりました、入れましょう」と頷くような流れです。
 
 収録した4つの対話については、冒頭のプレスリリースで紹介されているとおりです。
 収録したのは、水窓出版(編集者)の高橋亮偉さん、校正者の牟田都子さん、書評家の長瀬海さん、作家の浅生鴨さんという、それぞれ異なる立ち位置から本と本屋に関わるゲストとの対話。
 図らずもなのですが、通読していくと、竹田さんを含めて働き方や生き方をめぐる各人の考えが交差する内容になっています。
 根っこにあるのは『めんどくさい本屋』なので、直接的にこの本に言及するわけではなくても、ゲストの皆さんがどこかで意識していてくれたのかもと、今振り返ると思います。
 
 また、今回の企画のために未収録の回のアーカイブも聴き直して、率直に感じたのが、「全く色あせていない」ということ。
 本と本屋をめぐるイシュー:論点は、2年、3年、4年というスパンで見てもずっと変わっていない。むしろ、変えなければいけない部分を変えられずにいるんだと、気づくことができました。
 今後続いていく(はずの)第2弾、第3弾以降では、本屋の店主オンリーの対話本を刊行する可能性もあります。そこでまた深い議論を、本という形で届けることができたらいいと思っています。
 
 まだまだ伝え足りない部分もあるのですが、とりあえずはここまでに。

 最後に、これまで参加してくださったゲストの方々と、インターネットの向こう側から連続イベントを観てくれている視聴者の皆さんに、感謝を申し上げます。
 これからも「めんどくさい本屋の寄り道」は続けていくので、次回を楽しみにしていてください。
 そして、いつまで経ってもなかなか成長する気配のない司会進行への容赦ない突っ込み、要望、叱咤激励をお待ちしています。

ごーすと書房・秋葉貴章

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◆『対話1 本屋とことば』取り扱い書店リスト◆
※都道府県別・五十音順。オンラインショップでも取り扱われている場合は、該当ページへリンクを貼っています。

【北海道】
〇三省堂書店 札幌店

【秋田県】
乃帆書房

【東京都】
機械書房
コ本や honkbooks
書肆 海と夕焼
〇twililight
〇PASSAGE by ALL REVIEWS
双子のライオン堂
〇BOOKSHOP TRAVELLER
本屋B&B

【神奈川県】
ポルベニールブックストア

【栃木県】
〇NAYA BOOKS

【京都府】
ホホホ座 浄土寺店

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