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「人生の価値を生むために好きなことをやる」。高校生が言葉にした「働く意味」【ジョブトライアル試験導入ルポ 事後学習編】

新しい職場体験プログラム「ジョブトライアル」に取り組んできた中村高等学校(東京都江東区)の生徒たち。8月の職場訪問を終え、総まとめ(事後学習)として取り組んだのが、訪問先の企業の「求人ポスター」の制作と発表でした。働くってどういうこと?どんな働き方をしたい? 事前学習から企業訪問を経た今、考えていることを表現しました。

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職場体験を、単に「楽しいイベント」で終わらせるのはもったいない。そう感じてきた藤井翔先生は今年、生徒の体験を学びへと深化させるため、毎年夏にやってきた「企業訪問」に、教育と探求社の職場体験向け補助教材「ジョブトライアル」を試験的に組み込みました。

<ジョブトライアルとは>
職場体験は、職場の補助的な業務に取り組んだ体験を振り返る流れが一般的で、ただの「お手伝い」で終わってしまう例も少なくありません。職業観やキャリア観の醸成につながる機能が充分果たせていないという指摘もあります。時代に即した新しいプログラムとして開発したのが「ジョブトライアル」。教育と探求社の探究学習のノウハウが盛り込まれた教材です。キャリアチェンジが常識となる「人生100年時代」の価値観を踏まえた「キャリアプランニング能力」の向上を図ります。
お問い合わせ先: 教育と探求社「ジョブトライアル」担当(info@eduq.jp)

1学期の事前学習夏休みの企業訪問を経て、2学期の事後学習で、訪問先の企業の仕事の魅力を伝える「求人ポスター」を作り、互いに発表します。

受け入れ企業9社のうち、直接オフィスに訪問できたのは、日本ヒューレット・パッカード、ボルテージ、ミクシィ、ヤフーなど。生徒たちの驚きは大きかったようです。発表当日も
「まるでドラマに出てくるオフィスだった!」
「社内移動中に吹き抜けの階段があって!」
「こっちは社内にスタバがあったってば!」
…と、感嘆の声があちこちから聞こえてきました。

オンライン訪問でも、社員へのインタビューで、「働く意味を以前より、より深く掘り下げられた」と藤井先生。「結果的には双方ともに“働くこと”を自分に引き寄せた事後学習になりました」とも。

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藤井先生:本校では企業訪問のあと、1年生が今後の進路を決めていきます。昨年までは「楽しい夏の単発イベント」で終わってしまい、進路につて考えることにつながっていきませんでしたが、今年はプログラムに沿って、探究学習として系統的に取り組めたのでありがたかったです。

ポスターに溢れ出た新しい働き方の予感

生徒たちが作成した求人ポスターには、発見や驚き、そして未来を切望する新しい視点が溢れ出ていました。

生徒たちの発表です。

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ミクシィ

ミクシィ
求人広告のキャッチコピーは「人との関わりを大切に! 笑顔を広めたい」です。実際に会社に行って一番印象に残ったのは、めちゃ眺めがよい綺麗なオフィスです。私が感じた職場の魅力は、自分の机以外にも作業スペースがたくさんあることでした。休憩場所ではなく、あっちにもこっちにも机があり、私の学校の「光の小径」みたいなところに机が並んだスペースもありました。ミクシィのすごいところは社内にローソンと無印があって、食べ放題のビュッフェまであることです。ビルの階段とは別に、社内の真ん中に吹き抜けの階段があるから会社内の移動がスムーズです。わたしにとって働くとは、お金を稼ぐという目的のほかに、楽しさを周りに伝えられるということです。

ハーゲンダッツ
商品開発の一番初めに「市場調査」をし、偉い人だけでなく誰でも提案ができて、その提案が商品になると聞き、面白いと思いました。(中略)
私が考える働くこととは、自分が好きなことを形にすることだと思いました。好きでもないことを仕事にしてもやりがいを感じられないから、自分の好きなことを形にすることこそが、働くことだと思います。

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ボルテージ1

ボルテージ1
二次元好きの人には魅力的な職場だと思います。イケメンや美女のキャラクターに囲まれ、現実ではないドキドキ感を味わいながら仕事ができるのも魅力です。ゲームのキャラクターはリアルな俳優さんをイメージすることもあり、ユーザーに人気なのは銀髪系とか。インタビューした3人の社員さんからは、仕事が楽しいという雰囲気が伝わってきました。ユーザーの幸せを創っていると思いました。
私にとって働くとは、お金を稼ぐことです。あとはやりがいを見つけること。自分に合わない仕事は三日で飽きると社員の方が言っていました。誰かの役に立つ幸せづくりに貢献したいです。誰かの役に立ったら、嬉しいじゃん!

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ボルテージ2

ボルテージ2
企業訪問で印象に残ったのは、「幸せの循環を作る」と社員さんが言った言葉です。職場の環境は、特定の席がなく自由に仕事ができ、斬新で働きやすそうだと感じました。私にとって働くとは、世の中に幸せなものを届けることができると感じることだと思いました。

生徒たちが制作した「求人ポスター」を紹介します。

藤井先生:求人広告ポスター制作では、生徒たちは勝手にどんどん作っていました。写真をコラージュしたりするのは皆、大好きですからね。用意されているデザインのテンプレートを使う生徒もいれば、オリジナリティ溢れるポスターを創る生徒もいました。


働きやすさ・職場の環境をアピールした作品

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(左)訪問先:Abema /「新しい未来のテレビAmeba」女性の働きやすさをアピール。(中)訪問先:日本ヒューレット・パッカード/「You Are Free」長い通勤時間にサヨナラ、のコピーが秀逸!(右)訪問先:ヤフー/「YAHOOにしかできない仕事の仕方」自由なワークスペースや、自由に働くフレックスタイム制が推し。

社会に提供する「幸せ」と、自分自身が享受する「幸せ」を描いた作品

(左)訪問先:ミクシィ/「世界に幸せを提供しませんか?」誰かに何かを提供することは、たくさんの人の想いが重なり合ってできている、のコピーがあたたかい。(中)訪問先:ヤフー/「一人ひとりが安心して働ける場所」働くとは、決められた場所で一人で作業するというイメージだったがそうではなく、みんなで作り上げるものなんだと、驚きを吐露している。(右)訪問先:森永乳業/「人間関係で困りたくない方に」社員同士が仲がよく、職場の穏やかな雰囲気をストレートにアピール。

わたしにとって働くとは、誰かの役に立つ幸せ創り

ジョブトライアルでの学習をまとめていく「ワークシート」を覗かせてももらいました。「わたしにとって、働くとは…」という項目の言葉からは、生徒たちが初めて触れた働くことへの期待と意志がうかがえます。

なぜ働くのか?なんのために働くのか?

未来へつなげる思い、仕事に対する価値観が立ち上がっています。 

★私にとって働くとは、自分のためだけではなく社会に貢献できる仕事で人のために働くもの。(森永乳業)
★私にとって働くとは、大変なことだけれど自分の考えを発信したい。(ヤフー)
★印象に残った言葉は働いて幸せづくりユーザーさんに貢献している。私にとって働くとは、お金を稼ぐこと・やりがいを見つけること・誰かの役にたつ幸せづくりに貢献すること。(ボルテージ)

★お客様に安定した胸キュンを届けるという言葉が印象的だった。私にとって働くとは、お金がすべてではない。人生の価値を生むために好きなことをやることだ。(ボルテージ)
★女性がとても働きやすい職場。どんどん女性の割合を増やしていく。私にとって働くとは、自分の夢を生かすもの。(サイバーエージェント)
★印象的だった言葉は幸せの循環を作る。私にとって働くとは、世の中に幸せなものを届けること、やりがいを感じ利用者を笑顔にすること。(ボルテージ)

★私にとって働くとは、楽しさを周りに伝えること。お金を稼ぐこと。(ミクシィ)
★私にとって働くとは、自分が好きなことを形にすることだと思う。(ハーゲンダッツ)
★フロアごとに働きやすい環境が整っていた。私にとって働くとは、日本をよりよくすること。(ヤフー)

★ポスターで工夫したのは落ち着いた色にして優しい雰囲気を出したこと。私にとって働くとは、お客さんに癒しを与えられること。(ハーゲンダッツ)
★勤務スタイルを自由に選択。明るい社内の雰囲気が伝わるデザインを工夫。私にとって働くとは、生産者である社員も自分にあった環境で楽しく商品を作ること。(日本ヒューレット・パッカード)
★ポスターには会社が大切にしている哲学を入れた。私にとって働くとは、いろいろな人と関わりを持つこと。会社の役にたつこと。(ハーゲンダッツ)

現在、多くの学校で職場体験が行われています。「お手伝いの体験」に終わらせず、「探究的な学び」に深化できるよう、教育と探求社は教育現場に伴走します。


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