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【ミライブ.】ユルく楽しく自走。トキワ松学園校長が見守った生徒の活動

高校生のアイデア実現プロジェクト「MIRAIB.」(ミライブ)。全国の高校生と、ビジネス経験豊富な大人が集まり、「こんなことをしてみたい」を社会実装につなげる「部活動」です。

生徒も教員もそれなりの仕込みや関わり方が必要ではーーと思いきや、昨年度から参加しているトキワ松学園高等学校のMIRAIB.顧問、田村直宏校長からは「ユルく楽しく」という言葉が。どういうことでしょう?

昨年度参加した際のかかわり方や生徒たちの様子を伺いました。

「顧問はほぼ何もしなかった」

田村校長は昨年度、同校のMIRAIB.顧問になりました。校長の仕事と部活顧問の両立は大変と思いきや……「ほぼ何もしなかった」と言います。

田村:昨年トキワ松学園からは、3チーム計10人がMIRAIB.に参加しました。MIRAIB.の顧問は私が就きましたが、顧問としての業務はほぼ何もしていません。MIRAIB.のセッション(生徒からの相談にサポーターが乗るオンラインの集まり)も、校内の職員会議の時間と重なることも多く、ほとんど参加していません。

生徒がどんな取り組みをしているのか、具体的に把握しておらず、サポーター(※)や運営担当の方々に頼りっきりでした。

※サポーター:MIRAIB.プロジェクトに参加し、生徒たちの相談相手になる企業人たちのこと

生徒に頼まれた時、MIRAIB.のメンターの方々とのセッションを予約するのが顧問としての数少ない仕事でした。たまに予約を忘れて迷惑をおかけすることもありましたが、追加で参加させてもらいました。

テーマの決め方も授業でやるとなれば、教員がある程度環境を整える必要があるかもしれません。でもMIRAIB.は課外活動なので、テーマ決めも含めただただ生徒任せで、教員の役割は、あくまで「つなぎ役」でした。

普段、生徒たちに「タムタム」と呼ばれている、気さくな田村校長

同校からMIRAIB.に参加したチームは、どんな活動をしていたのでしょうか。

1つ目は子供向けの国際交流のための料理イベントを実施した「GBC」。私がしたことは、女性支援をしている知人にチームのメンバーを紹介したことくらいです。

この知人から、1回目の料理教室の講師役のベトナム人の女性を紹介していただき、2回目の料理教室は、生徒たちがタイ人の方を探し、自分たちだけで開催にこぎつけました。この経験を、トキワ松学園の入試説明会でも発表してもらいました。

実践共有会でのスライドより

「自走する力」もらえたのでは

2つ目の「SAPO」は、理系の生徒たちで作るチームです。MIRAIB.に参加したのは昨年度の後半から。MIRAIB.は最初から参加する必要はありませんし、後から活動に参加しても大丈夫です。

最初は「環境問題に配慮した石鹸を作る!」と、大企業にアポをとろうと意気込んでいました。でも、いざミーティングを開こうとしてもメンバーの集まりも悪くて10〜12月は実質活動していませんでした。

ですが、年明けのMIRAIB.のセッションの前日の晩に、チームのみんなで話し合い、セッションでは、最初の石鹸のプランから「環境問題について学べるカードゲームづくり」にテーマが変わっていました。生徒たちの発想で、大胆な展開が起きるのも面白いですよね。今年度もMIRAIB.に参加し、カード作りを続けていく予定です。

3チーム目の設楽菜奈さんは個人での参加です。稲わらから新繊維を開発し、サスティナブルなファッション産業を実現しようとしています。

実践共有会でのスライドより

MIRAIB.のセッションで、サポーター(※)の助言をもとにブラッシュアップした企画は、ほかのコンテストでも転用できます。設楽さんも中高生向けの学会「サイエンスキャッスル」や探究学習の催し「マイプロジェクトアワード」にも参加しています。大学入試の総合型選抜にも活用できると思います。

設楽さんはMIRAIB.を卒業後、今は起業に向けて奔走していて、すでに9社の方々とオンラインミーティングを行っています。こうした「自走する力」を、MIRAIB.の活動からもらったのではないかと思います。

「生徒も先生もユルく楽しくできる」

今年度、トキワ松学園では、カードゲームを作成中の「SAPO」と、高2のメンバー8人で「MIRAIB.」に参加することになりました。ダンス部と掛け持ちしている生徒もいますが、自分のペースで活動を続けてほしいと思います。本格的な探究の社会実装を、生徒も先生もユルく軽く楽しくできるのがMIRAIB.の良さだと思います。

※この記事は、5月30日にオンラインで開催された「MIRAIB.」説明会でのお話をもとに構成しました。

MIRAIB.参加校・初回オリエン6月17日開催!

MIRAIB,は引き続き、参加校を募集しています。開始後の参加申し込みも大歓迎です。アイデアを実現したい高校生、お待ちしております。

活動内容
MIRAIB.に参加した生徒は、活動のフレームワークに沿って各自で企画を実践していきます。ビジネス経験の豊富なサポーターにSNSやオンラインで適宜相談できるほか、第一線で活躍するサポーターと対面でつながるセッションも開かれ、企画実現に向けた進捗状況や相談事項を共有、フィードバックを受けられます。数カ月に一度、実践の内容を共有する会を開きます。いずれもオンラインでの開催です。

【サポーター陣】(五十音順、敬称略)
江口 覚郎:元スカパーJSAT 顧問
加藤 雄介:テーブルマーク 経営企画部
児玉 徳子:I&Wパートナーズ CEO
武田 雅子:カルビー 常務執行役員 CHRO
角田 彩乃:ブリヂストン DE&I・組織開発部課長
長坂 健士:山九(さんきゅう) 経理・財務
深井 恒太朗:野村総合研究所 コンサルタント

<2022年度 実施概要>
事業名:部活動プロジェクト MIRIAB.(2021年度三菱みらい育成財団助成プログラム)

人数:1校につき生徒有志1チーム以上の参加。1チームの人数は自由(1~4名程度を想定)

参加条件:やりたい企画もしくは、すでに企画案があること。学校単位での参加になります。

実施方法:火曜・木曜の週2回、メンターに個別相談できる「セッション」を開催。必要な時に参加できます。全国の高校生たちとの月1回の「交流会」(毎月第三水曜16:30-17:30)も開催します。交流会では、活動に関する悩みを聞きあったり、進捗具合を確認することができます。

オリエンセッション日時:初参加の学校は、毎月第一水曜日に開催します。2022年度初めてのオリエンセッションは、 6月17日(金) 16:30-17:30(オンライン)開催。
費用:無償 
お問い合わせ:bi@eduq.jp (教育と探求社 ミライブ事務局)

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