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承認欲求段階に応じたマネジメントできてる?

色々と書きたいことが溢れていて、何から書いていいかって感じなんですが、この話をしないことにはほかの話ができないなと思ったのでまずはこちらから。
フーモアの漫画事業部でもリーダー研修として役職者たちに話した内容をnoteでもお伝えしようと思います。社内で私の研修資料が見れる人は、合わせて見てもらえれば理解が深まるかと。

導入はちょっと関係ない話からなので、承認欲求に関する本題から見たい方は「マズローの承認欲求」という記事から読み進めてください。

リーダー研修をやろうと思った経緯

前の記事でも触れましたが、私の元には社長や取締役から定期的に様々な記事URLが飛んできます。特に取締役からが多いんですが、時に記事ではなく社長とのチャット内容が引用されてくることもあります。

2022年8月29日。
正午頃に社長と取締役がチャットでやり取りしていた内容が13時頃に私の元にまとめて引用共有されました。会話の発端となった記事はこちら。

イチロー選手以外にも成功者が遠回りした話ってよくある(野村監督とかウメハラとか)ので、無駄かもしれないことをやりつつ正解を探っていくことって必要だよね~みたいな話をしていたんですが、話題は少し逸れていきます。

この手の話を理解できるかどうかというのは、ある程度経済的に満たれていて、コミュニティにもポジションが確立されていないと難しいのではないか。ここから承認欲求の話が始まります。

この時期ちょうど次の期の目標設定をリーダー陣がしないといけないタイミングだったのもあり、これらの一連の会話を共有してもらった瞬間から、ああこれは事業部のリーダーにしっかり伝えないといけないなと思ったという経緯です。

そこから40ページほどの研修資料を作り、リーダー研修を実施したのが9月16日。二週間ほどで実施までこぎつけたのすごくないですか? 褒めて

リーダー研修の冒頭(遠回りの話)

まだ本題じゃないですが、話題の発端だったのでこれにも触れています。
ロミンガーの法則。知らない人はこちらの記事を読んでください。

要するに、人が成長する要因って7割が業務経験、2割が薫陶(助言とか)、1割が研修だという研究結果です。これは自分も大いに共感するところだったので、自身の経験を交えて伝えています。

私の経歴はもう過去の記事で詳しく書いたので割愛しますが、その経験すべてが次の会社で生きていて、フーモアでもそれは同様です。
あと、自身が二十代の頃にやらかした炎上事件なんかも話しました。始末書や顛末書は大量に書きましたし、おかげで二度と同じ過ちを犯すことはないだろう教訓がありました。

以下の記事で知行合一について書いてますが、やっぱり知識だけで人は成長しないんですよね。上手に成功体験もしくは失敗体験を積ませてあげないといけないってことです。
人が人を成長させられるなんてのは驕りでしかなく、我々にできることはきっかけを与えることぐらいで、あとは本人が気づけるかどうかです。
自分で気づかない限り、人は成長しません。

マズローの承認欲求

ようやく本題です。
マズローの承認欲求について聞いたことがないという方はこちらの記事を読んでください。

要するに人間の承認要求は5段階あり、下の階層が満たされると次の階層を欲するというものです。言い換えると、下が満たされていないと次の階層に進めないということになりますが、完全に満たされていなくともある程度満たされているという状態であれば、次の階層のことを考えられるようになります。

承認欲求段階の下層3つは、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求。
「安定」や「安心」は人それぞれなので、良し悪しではなくここを突破しないと他者に目が向かない。そしてこれらが恒久的に続くという安心。ここまで満たされてようやく他者に目が向きます。

少なくとも日々の生活が苦しく感じるような給与帯のメンバーに、視座を高く持てよとか言っても絶対に通じません。彼らにとって大事なことは生活に困窮しないことなので。
そして視座を高く持って行動を変えることがその解決方法であることは結びついていません。成果が出ても大幅に給与が上がることはないと思っているか、もしくは現にそうだった場合は最悪です。

解決方法はひとつです。
やり方を全部教えてでも成功体験を積ませ、評価を与え、社会的欲求までは無理やり満たすこと。以下の記事でも同様のことが書かれています。

マネジメントの基礎として従業員のモチベーション維持・アップには第1の生理的欲求~第3の社会的欲求までの下層レベル欲求を満たすのが大前提です。
まず、生理的欲求と安全欲求は、企業に属している時点で満たされているべき欲求です。
https://freeconsultant.jp/column/c368/

そして大原則として、マネジメント対象者が今どの階層にいて、どこが満たされていないのかを正確に把握していないと、効果の高いマネジメントはできません。

社会的欲求が満たされた人に起こる不幸

社会的な欲求が満たされる。ここでは「恒常的な安心・安定を得た人」と定義します。こういった人に起こりうるケースが仕事への意欲を失うということです。

特に現代の若い人は仕事に対してドライです。ドライという表現が適切かわかりませんが、別の記事で書こうと思っていた若い世代の仕事への向き合い方を引用します。

生きていくため(もしくは別の何かのためにお金が必要なため)には働かないといけないので、その中でも自分に合った仕事、自分が好きな業種・職種を選び、最低限本来の目的に見合うだけの対価がもらえさえすれば、あとは仕事以外のこと(趣味、家族、恋人など)を優先したい。
出展あとから

これにより、意欲のベクトルが分岐していきます。
趣味、家族、恋人、プライベートに向く人もいれば、仕事に向く人もいるでしょう。これは仕方のないことです。

その業務内容は、その会社は、この先も何年何十年も勤めていきたいものですか? リーダー職のあなたにとってはもしかしたらそうかもしれませんが、マネジメント対象者にとってはどうでしょうか。

ここで皆さんに質問です。

あと1年しか生きられなかったら何をしますか?

建前はともかく、恐らく誰もがこう答えるでしょう。

仕事を辞めてやりたいことをする。

現に研修でリーダーたちに聞いた結果も同様でした。
では重ねて訊きます。

じゃあ5年しか生きられないなら? 10年なら?

さらに30年、50年って考えて、残りの人生で今の仕事をどこまでしたいと思えるかってことですね。

ピーターの法則

人が仕事への意欲を失う要因として、もうひとつ挙げています。
それは「現場の方がパフォーマンスを発揮できるから現場にいたい」という潜在的思考です。

ピーターの法則とは「能力主義の階層組織の中において、人は自らの能力の極限まで出世する。しかし、能力を有する人材は、昇進することで能力を無能化していく。そして、いずれ組織全体が無能な人材集団と化してしまう」
https://www.kaonavi.jp/dictionary/peter_no_hosoku/

大抵の企業では「社会的な欲求が満たされている人」=「一定の評価を得ている人」ため、すでに役職を与えられているか、それを検討されていることでしょう。
ただ、その人は現場で高い評価を得ていたので、マネジメントポジションに上がることでやったことのない業務に直面し、多くの人がそこで停滞します。

承認欲求のセクションの最後に触れた内容に「やり方を全部教えてでも成功体験を積ませ、評価を与え、社会的欲求までは無理やり満たす」としていましたが、ここに問題点が生まれます。

上記でやろうとしていることは、乱暴な言い方をすると部下を無理やりにでも評価して給与を上げようということですが、確かに給与を上げるということは即効性のあるカンフル剤のようなものです。
しかし、自身の能力=給与と勘違いしやすく、成長を阻害する要因にもなりえます。

じゃあどうすればいいかというと、部下の成果は無理やりにでも作るけど、同時にバランスよく、上手に経験を積ませ、本人に「できること」「できないこと」を理解させることが重要です。これ自分で言っててなんですが、ものすごく難易度の高いことを言っている自覚はあります。

例を挙げて言うと、営業担当者であるメンバーの成果がなかなか出ないというときに、上司は一緒に提案資料を作り、営業同行してクロージングまでするぐらいサポートします。この一連の業務の中で、そのメンバーがどういう業務はひとりでできて、どういう業務はサポートがないとできなかったのか、必ず認識させてください。
上司のサポートがあったからこれができた。自分はまだここが足りていないんだ。と思わせることが大事です。

まとめ

自分に足りないことを認識させることは、承認欲求段階の第4と第5を欲するときにとても有用になってきます。
第4は高位の承認欲求で、権威超越的段階とも言われます。
他者や既存の情報に影響されず、自分で自分を承認できるようになる。
第5は自己実現欲求で、自分が満足できる自分になりたいというもので、主体的・自律的に行動できる人。自分にしかできないことを成し遂げようとする。

業務における「できる/できない」が「得意/不得意」に振り分けられていくなかで、自身の得意領域を見つけ、苦手分野を知ることは自分で自分を承認し、得意領域の中から選択肢を絞って活躍できる人材になることでしょう。

冒頭で触れた「遠回りから得ることは多い」というような話はここにつながってきます。当然本人にそこまで理解させるのは難しいので、あくまでもマネジメントレイヤー側でうまくできないことを認識させてあげてください。
無理やり成功体験を積ませるという意味では、正確には「遠回り」ではなく、気づきの中で失敗体験を積ませてあげるということですね。

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