書けないから書く 2022年08月10日

WEBの編集・ライター業をやめたせいだろうか。文章を書きたい欲がむらむらと湧いてきた。「小説家になりたいなら編集者になるな」と、なにかの本で読んだ気がするが、まったくのその通りだと思う。

欲求が回復したのは、転職して、仕事で書かされる原稿がなくなったのが大きい。

私にとって書くという行為は、自分の欲求を満たすためのものであり、サラリーを得るためのものではない。一方で、サラリーを得ることで中途半端に欲求が満たされてしまうという功罪もある。

会社に所属し、例えばコピーライティングや、編集の仕事で、1000万円近くの収入を得るようになれば、金になるかどうか分からない、しかも、下手なことを書けば炎上のリスクもある文章をわざわざ書こうなどとは思わなくなるはずだ。自分の正業のスキルを伸ばそうとするようになるだろう。

この前、小説家に年収400万以上の正社員雇用をする求人をTwitterで見かけたが、雇われている以上、自分のテーマを追求した作品を書けるとは思わない。

私がそうであったように、ただ本数をこなす、むなしい作業になってしまうだろう。もし、これから文学者を志す人がこの文章を読んでいるのなら、プログラミングなどのスキルを身に着け、書く以外の仕事に従事することをおすすめする。

仕事にできない。普段書く機会がなく書けないからこそ、書く欲求が生まれるのだ。

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