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コラム:STOP! 違法ジビエって何?


STOP! 違法ジビエ


(1) 違法ジビエとは何か?


違法=法律違反ジビエ

ジビエを食用として処理、流通させるには
食品衛生法※1に基づく食肉処理業の許可が必要だ。

違法ジビエ(別名:闇ジビエ)とはこの許可を受けていないところで処理されたもの。

極端な例だと、猟師さんの家の庭だったり、山の中、など不衛生な環境で処理されている場合も。
違法ジビエは安全と美味しさが法的に保証されていないジビエ肉のことである。

※1食品衛生法とは?
所管省庁:厚生労働省
目的:食品の安全性の確保のために 飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、 国民の健康の保護を図る。
対象範囲:すべての飲食物

厚生労働省 食品衛生法
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78330000&dataType=0&pageNo=1


(2)食肉処理業とは?=食肉をつくる許可


食肉処理業の許可

食肉処理業とは

搬入された個体をと殺、解体する。
または解体された枝肉を分割し、小さく分ける許可のこと。

令和3年にHACCPに沿った衛生管理が義務化(6月~)
ガイドライン※2を参考にした衛生管理計画に沿って、衛生管理を実行・記録することが必要となった。

この食肉処理業の許可を得ていない肉を販売しているのが、法律違反の違法ジビエである。

※2 ガイドラインとは?
野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/GLhonbun_1.pdf

厚生労働省 野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)

※ちなみに四つ足の獣ではなく、野鳥の場合は、これを厳格に運用するのは難しいとのことで保健所のほうでもグレーという認識のようである。

(3) 狩猟者人口


狩猟者人口の減少

年々減少傾向にあるが全国の狩猟人口は約15万人である。
昔から狩猟は愛好家の間で親しまれてきてきた。

近年の獣害被害やアウトドアブームも受け、田畑を守るため、あるいは趣味として狩猟を始める人も増えている。

全国の猟友会は狩猟人口の減少に危機感を抱いており、県によっては県主催の初心者セミナー等が開催されているところもある。

(4) 自家消費と違法ジビエの違い


自家消費と違法ジビエ

ちなみに、ジビエを食用として処理、流通させるにはガイドラインによる細かい規定があり、食肉処理業の許可が必要だが、自家消費(お裾分け含む)するのであれば許可は不要だ。

食品衛生法は商業流通させる場合にのみ遵守する必要がある。

美味しいジビエを自分で取って皆に振る舞うこと、自分たちで美味しく調理し、食べることは自由である。

(5) 昔からある違法ジビエ


ジビエ今昔

そもそも法律が決まる前からジビエはあった。

昔は腕の良い猟師から直接取引で流通していた。
そのため地方の旅館や老舗のレストランなどでは違法ジビエを現在でも使用している事がある。

ただし狩猟人口の減少や代替わりなどもあり、今後このケースは少なくなるだろう。

(6) よくある違法ジビエの事例


事例1:友人知人からもらう(買う)

よくある事例1

毎年、友達が北海道で泊まり込みで狩猟。

その場で処理した新鮮なエゾシカを格安で分けてもらえるので、お店でも安くて美味しい人気のメニュー!

<問題点はどこか?>

違法です
  • 食肉処理業の許可なく処理している

  • 違法なジビエを販売

  • 自家消費はOK

  • 美味しいジビエのお裾分けはOK


事例2: 猟師さんから購入する

よくある事例2

猟師○○さんのイノシシ肉が美味しい。

その場で内臓を取り、川で冷やして自宅ガレージにて捌いてスライスした肉を毎年ぼたん鍋用に知人や友人に販売している。

○○さんは腕がよく、毎年好評である。

<問題点はどこか?>

違法です
  • 食肉処理業の許可なく処理している

  • 違法なジビエを販売

  • 自家消費はOK

  • 美味しいジビエのお裾分けはOK


事例3: シェフ自ら狩猟する

よくある事例3

○○シェフは狩猟免許を持っている。

狩猟も大好きでシーズン中は自分で狩猟し、お店で捌いて、シーズンメニューとして提供している。

<問題点はどこか?>

違法です
  • 食肉処理業の許可のないお店で処理

  • 違法なジビエを販売 ※現地の処理施設に持ち込んで、そこで適切に処理を受けていればOK

  • 自家消費はOK

  • 美味しいジビエのお裾分けはOK


違反したら…

上記の3つの事例ような食品衛生法違反の闇ジビエを使用して違反した場合、

罰則規定(2年以下の懲役または200 万円以下の罰金)がある。

(7) 違法ジビエの3つの悪影響


違法ジビエ3つの悪影響

(1)衛生面

適切に処理されたジビエはガイドラインによって
捕獲、止め刺し、運搬、処理まで厳しくルールが決まっている。
闇ジビエはその限りではなく衛生面で問題がある。

<具体例>

  • 屋外ビニールシート、ベニヤ板などの上、家庭での解体処理

  • 土壌や河川の菌(バクテリア等)による汚染

  • 病気など異常個体の適切な選別がない

  • 血液、ダニなどの不適切な処理

(2)品質

処理施設で年間大量の頭数を捌くプロのスタッフは、技術の熟練度も高く、良い個体を判別する目利きにも優れている。

個人のハンターでも非常に技術の高いハンターはいるが、一般のハンターの技術は食用流通しているジビエの品質には及ばない。

また衛生的に難のある環境で処理しているため、食用流通しているジビエに比べて劣化しやすい。

(3)業界

違法ジビエの価格は、経費がかかっていないため市場の流通価格よりも安いことが多い。

違法ジビエを多く流通させることによって、市場の価格を低下させ、正規のジビエ処理施設、産業の経営を圧迫させうる。

また安価な粗悪ジビエが流通することによって、ジビエ肉自体の評判を下げ、市場価値を下げる。

(8) 最後に


STOP! 違法ジビエ

昔からよくある話で、田舎で分けてもらったシカ肉。
なんか臭かった、まずかった。
東京に出てきてお店で食べたら美味しくてびっくりしたという話がある。

適切に処理されたジビエ肉は美味しいし、安全。

狩猟文化を守るためにも美味しいジビエ肉を食べ続けるためにも

その仕入れの前に…..

そのジビエ、どこの処理場のものですか?

そのジビエは合法ジビエか?
信頼できる業者から購入しているか?
どこの処理場で処理されたものか?

確認してください。
すぐに答えられない、確認してもらえない肉(業者)にはご注意を!

無知な業者や猟師から、法律上出荷できないはずの地域からも出回っています。ご注意を!


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