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英語の新語、Throupleとは?

先週末、アメリカ本土から遊びに来た友人が興味深いことを話してくれた。彼女はアメリカ中都市で不動産のエージェントをしているのだが、最近アクティブに家を探している人の中に”throuple”が増えているという。
 
これは数字の3(three)とカップル(couple)を繋げた造語で、3人で親密な関係を作っている人たちのことを言う。まずお試しで一年ほど同棲して、みんながこの関係にコミットできそうと思ったら一緒に家を購入するという手順を踏むことが多いそうだ。
 
ポリアモリーとは複数の人との親密な関係を、そこに関わっている皆の同意によって持つことをいうが、throupleはその一つの形だ。ちなみに浮気の場合はそこに関わる人全員の同意がないのでポリアモリーとは言わない。
 
私がアメリカでカウンセリングを始めた1990年代後半はポリアモリーという考えが少しずつ一般にも広がり始めた頃で、クライエントの中にもポリアモリーの人がいた。
 
一対一でも親密な関係というのは問題が出てきやすいものだが、ポリアモリーの関係ではその問題がさらに複雑になりやすい。そのため複数の関係がどうしようもないほどこんがらがって崩壊するグループも多かった。反対に3人で常に話し合いながら今で言えばthroupleの関係を20年以上も維持してきている知人もいる。
 
私は心理という仕事柄、ポリアモリーの人やそれを専門にするカップルカウンセラーと話す機会がある。そこで受ける印象は20年余りでポリアモリーのコミュニティも成熟をしてきているということだ。
 
自分のカウンセリングも、関係性のカウンセリングも受けて、より意識的にそこで出てくる問題に取り組んでいこうとする人たちも多いし、またポリアモリーを専門にするカップルカウンセラーも増えてきた。
 
一夫一婦制の関係にいる人には関係ないと思うかもしれない。でも私たちがつい避けてしまう嫉妬、バウンダリー、合意などの問題に意識的に取り組むので学ぶことも多い。
 
throupleという言葉が不動産関係者の間で知られるようになってきたと言うことは、ポリアモリーのコミュニティが市民権を得てきたサインだろう。
 
アメリカに住んでいて不満は多々あるが、ポリアモリーのように今までの常識をくつがえすようなムーブメントが起こり社会が少しずつ受け入れていくダイナミズムには魅力を感じる。これからもどんな新しい考えが出てくるか期待して待ちたい。

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