見出し画像

夫婦喧嘩とわがままの棚卸し

昨晩、夫と些細なことで喧嘩をしてしまった。来月、前に住んでいた街に用事があり、空港まで行く方法を話していたときのことだ。夫は公共のバスを使おうと言ったのに対して、私はタクシーかウーバーを呼んだほうがいいのではと提案した。

アメリカの公共交通機関は便数が少ない、遅い、当てにならない、そして何よりもバス停が少なくてそこまで行くのも一苦労ということが多く、私は多少お金を払っても確実で体にも楽なタクシーを利用したいと思ったのだ。

でもそんなことを冷静に話す間もなく、二人の間は険悪な雰囲気になってしまった。夫は私に考えを否定されたように感じて怒り、私は夫が私の意見に耳を傾けないことに腹を立てた。夜も遅かったしこのまま喧嘩しても埒があかないとお互い直感的に思い、ムッとしたままそれぞれがしていたことに戻っていった。

しばらくして、私もハワイ島のバス事情も知らないのに否定して大人気なかったと思う余裕が出てきた。それでインターネットでリサーチしバスの時刻表と路線図を印刷してキッチンのカウンターに置いて寝た。

朝起きて「時刻表見た?」と声をかけると、夫は「見たよ、ありがとう。僕もタクシーの値段を調べてみた」と普通のトーンで答える。

お互い、反省していたんだな(笑)。口には出さないがお互いの「ごめん」が伝わって仲直りできた。

考えてみればここ数日、私と夫はなんとなくギクシャクしていた。私は、父とそのパートナーさんが帰った後でお互い疲れているからだろうと思っていた。

12日間の滞在中、高齢の二人が楽しい時間を過ごせるよう、そして病気になったり怪我をしたりしないよう私たちは心を砕いた。夫は私の家族に対してはいつも協力的なので、いいチームワークでもてなすことができ、彼らも大変喜んでくれたし、私たちにもいい思い出がたくさんできた。

でも彼らがいる間、私と夫は「わがまま」を封印してホストに徹した。それは父が「二人で来れるのはこれが最初で最後かも」と言っていたことが大きい。二人にとって最高の滞在になるよう、私たちはよく頑張ったと思う。だから彼らが帰った後、疲れに加えてそれぞれのわがままが漏れ出てしまったのだろう。

ちょっとしたわがままの棚卸しをした後、二人の息が戻ってきた。おもてなしのハレの日も楽しいが、穏やかに淡々と過ぎていく日常のありがたさを感じた。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?