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約束はふっかけたもん勝ち|広告の投資効果を高める方法

「喧嘩をふっかける」という言葉がありますが、
「約束をふっかける」という言葉を聞いたことがありません。
約束は相手との合意があって意味を持ちます。
すなわち、相手に対して一方的にふっかけるものではないので、「約束をふっかける」と言わないのでしょう。

6月号のハーバード・ビジネス・レビューに『ブランド構築は顧客との約束から始まる』という興味深い記事がありました。
投資効果の高い広告は、明確で具体的な約束を策定し、実行しているというのです。

ワールド・アドバタイジング・リサーチ・カウンシル(WARC)の大規模データベースを活用し、どのようなブランド広告が新規顧客の獲得と忠実なリピーターへの転換に最も効果的かを実証的に突き詰めた結果、【顧客への約束】と【実行】が重要であることが判明しました。

例えば、保険会社のガイコは
「わずか15分で、現在加入している保険よりも15%節約できる」
と、検証可能な約束をしました。
結果、他社より信頼され、売上が向上しているのです。

裏を返すと、「顧客との約束/カスタマープロミス(CP)」を上手に設計すれば、売上に直結するだけでなく、企業活動を行うのに有効な打ち手を検討することができます。

本記事では、本記事の要約と、私の考察を記載してみます!

記事の要約

ブランド構築は顧客との約束から始まる

Roger L. Martinによるブランド構築の指南では、成功するブランドは顧客との明確な約束を持つことが重要だと述べています。ブランドは単なる広告やデザインの問題ではなく、企業の全体戦略として捉えるべきだという主張です。広告の投資効果を最大化するためには、ブランドの根底にある「顧客との約束」を明確にし、それを全社員が理解し、実践することが不可欠だと強調しています。

Rudy's Liquorsの事例

Rudy's Liquorsの事例は、ブランド構築の成功例として取り上げられています。この店舗は、顧客に対して「信頼性」と「品質」を約束し、それを守り続けることでブランド価値を高めました。Rudy'sは、顧客が求める製品を提供し続け、信頼を築くことで、他の競合と差別化を図りました。
これにより、Rudy'sは単なる酒屋以上の存在となり、地域社会に根付いたブランドとして成長しました。

WARCの調査データ

WARC(World Advertising Research Center)の調査データも引用され、ブランドが顧客に与える影響がデータで裏付けられています。調査によれば、明確なブランド約束を持つ企業は、持たない企業に比べて顧客ロイヤルティが高い傾向にあります。約束が顧客に伝わることで、ブランドは単なる商品の提供者ではなく、信頼できるパートナーとして認識されるようになります。

「顧客との約束」の力

ブランドの成功には「顧客との約束」が重要な役割を果たします。
調査データによれば、以下のような項目でブランド約束の効果が現れます:

  • 夢や希望を与える(51%)

  • 行動におけるリーダーシップ(43%)

  • 差別化された価値の提供(45%)

  • ブランド信頼性(59%)

  • 問題解決能力(38%)

  • 未来志向のアイデア(33%)

これらの要素は、顧客がブランドに対して何を期待し、どのような価値を見出すかを示しています。成功するブランドはこれらの期待に応え、顧客との約束を守ることで、信頼を築きます。

Magic WandとMagicburgerの事例

Magic WandやMagicburgerの事例は、一貫性のあるブランドメッセージが如何にして信頼を生むかを示しています。これらのブランドは、顧客が求める一貫した価値を提供し続けることで、強いブランドロイヤルティを獲得しました。顧客は、いつ訪れても期待通りのサービスや商品を受け取ることができるという安心感を得ることで、ブランドに対する信頼を深めます。

ブランド戦略としての約束

最後に、ブランド戦略の一環としての「約束」の重要性が強調されています。組織全体で統一されたメッセージを持ち続けることが、長期的な成功につながると述べられています。
具体的には、以下のような点が挙げられます:

  1. 一貫したブランドメッセージの維持

  2. 全社員へのブランド約束の浸透

  3. 顧客フィードバックの活用

  4. ブランド約束の定期的な見直しと改良

これにより、ブランドは変化する市場環境や顧客のニーズに対応しつつ、基本的な約束を守り続けることができます。

考察|戦略的に約束をふっかける!

Roger L. Martinの主張は、ブランド構築において最も重要なのは「顧客との約束」であり、それを全社的に実践することがブランドの成功につながるというものです。
辞書で約束を引くと、以下の通りです。

相手に対し、または互いに、取り決めを行うこと。その取り決めの内容。

goo辞書より

約束は相手ありきであるものの、広告などの飛び道具、あるいは企業の営業活動においては、「自ら積極的に約束しにいく姿勢」が大きな武器となります!

例を挙げると、腕のある営業マンは「次回までに~を調べておきます!」と宿題を自ら設定することで、次回アポに繋げます。これも自ら宿題という約束をふっかけ、相手との信頼を構築する術です。

そして、「信頼を失うのは一瞬。 取り戻すのは一生。」ということわざが示すように、ふっかけた約束を遵守できるかどうかが問われています。
約束は期待値を高める行為でもあるので、自ら高めた期待値を超えられるかどうかが、勝負の分かれ道です。

積極的に約束をふっかけにいき、愚直に遵守する。
組織の実行力が問われます。

実行力のある組織こそ、積極的に約束をふっかけて、信頼構築にレバレッジをかけていきましょう!

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