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炒飯 1

初めてのという形容詞が付く出来事や経験は記憶に深く根付くものです。

毎日、朝昼夜に食事を取り、昨日食べた夕食が何だったのかすら忘れがちな私ですが、初めてロシアで食べた夕食のことを今でも鮮明に覚えています。

その日、極東ロシアの都市ハバロフスクに飛行機で到着した時、時刻はすでに午後6時半。入国手続きを終え、空港からタクシーで宿泊ホテルへと向かい、チャックインを終えたころには午後8時をまわっており、部屋に入ると緊張の糸が切れたこともあり空腹の波が怒涛の如く押し寄せてきました。

さて、何を食べようか。

初めてのロシアでの食事。やはりロシア料理を食べるのが筋でしょう。ホテルを出た私は近くのあるレストランに入りました。



大通りに面する小さいながらも綺麗なお店でした。

メニューを開くとロシア語学習の中で覚えたロシア料理がちらほらと。

何にしようか悩みながら次のページをめくると、そこに小さく載っていた料理名に目を奪われました。

チャーハン、と書かれていました。

ロシア語のそのままの読み方で、チャーハン、と。

無類の炒飯好きな私にとってこのチャーハンにはとても興味をそそられました。

ですが、ロシア初日の今日、ロシア料理を食べにきています。

チャーハンはまた別の機会にでも…。

そう、時間はまだあるから…


気づいたときには店員さんにチャーハンを注文していました。

ロシア料理は明日以降でいいか。

そう気持ちを切り替えていました。

日本を出発してまだ5時間あまり。私のおなかは早くも慣れ親しんだ味を求めていました。


つづく

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