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キャラクター・アニメビジネス必読本 7選

クオン(※)の代表の水野です。

(※)株式会社クオンは2022年1月に経営統合し、株式会社Mintoとなりました。Mintoはアニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップです。世界4カ国に拠点を持ち、コンテンツ×広告、越境IPプロデュース、Webtoon、Web3・メタバースの事業を展開しています。

外出自粛が求められる中で、余暇時間に自宅で映画、アニメ、ドラマ、漫画、本などのエンタメを楽しんでいる方も多いと思います。

今回は、水野がこのGWで改めて読んだキャラクターやアニメビジネスの関連のオススメ本を7冊ご紹介させていただきます。既にお読みになっている本もあるかと思いますし、水野のオススメが偏ってしまいましたが、ご容赦下さい!


1)PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話 
著:ローレンス・レビー / 井口耕二(翻訳)

1冊目は、3Dアニメーションのパイオニア、”ピクサー・アニメーション・スタジオ”のCFO(財務・戦略責任者)だった著者による、ピクサーのお金や事業戦略の話です。ピクサーは黎明期にスティーブ・ジョブス(Appleから追放されていた期間)がCEOとして資金を注ぎ込み、会社を運営していたのは有名な話ですが、CFOとしてヘッドハントされた著者とジョブスのやりとり、上場するまでの綱渡り経営、ハードな契約交渉、作品の大ヒット、ジョブスのApple復帰、ディスニー社による買収、など、どのストーリーも刺激的で、勢いで一気に読めます。クリエイティブや非論理的な思考に全く興味がなかった著者がピクサーやジョブスを通じて、考え方が変わっていく様も含めて、フィクションのドラマを見ているような感動があり、何度も読めます。

2)ディズニーCEOが実践する10の原則 
著:ロバート アイガー / 関 美和 (翻訳) 

エンターテインメント業界で圧倒的な王者のポジションを築いているディズニー社ですが、近年のディズニー社のグローバル事業戦略や成長戦略を分析している本(日本語で読めるもの)は、実は多くありません。2005年〜2020年までディズニー社のCEOだった著者のロバート・アイガーは、15年間でディズニー社の時価総額を5倍にした凄腕経営者ですが、ABCテレビの雑用係からディズニーのトップにまで登り詰めた誠実で実直なビジネスマンです。スタジオ買収(ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックス)や上海ディズニーランド等の海外戦略など、打ち手は高確率で成功しています。エンタメビジネスをテコ入れしたり、拡大するタイミングで、事業やメンバーにどう向き合うべきか、個性的なクリエイターや他社とどう渡り合っていくべきか、めちゃめちゃ参考になります。特に、ピクサー買収時の内幕は(1)の本にあるピクサー側の話と付き合わせると非常に面白いです。

3)創造の狂気 ウォルト・ディズニー
著:ニール・ガブラー (著), 中谷和男

数あるウォルト・ディズニーの伝記の中で、本作と「ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯」のどちらをオススメしようか迷いましたが、2冊目でオススメしたディズニー社のロバート・アイガー氏の著作が、事業を10→100に伸ばすHowTo的要素があるのに対して、やはり0から1を生み出す創業者の狂気を描写した伝記が面白いかなと思い、本作を選びました。ウォルト・ディズニーの幼少期からの生い立ち、家族との衝突・葛藤、映画制作、作品実現の為の軋轢、従業員の大量離反など、苦悩・孤独、そして冷酷な人間性までしっかりと丁寧に描写されています。ディズニー社の全面協力(同社が保有する資料の利用)を受けながら、同社の検閲なく出版された本なので、良いことも悪いことも(特に悪いことが)、そのまま描かれています。かなりのページ数なので、一気に読める作品ではないのですが、時間をかけてでも読み解く価値がある内容です。

4)これがサンリオの秘密です。
著:辻 信太郎 

世界を代表する日本のキャラクター会社のサンリオ創業者であり、現在も代表取締役会長を務めている辻慎太郎さんの自伝です。2000年に出版された本作は、自分の知る限り、古本でしか購入できません(電子書籍化が望まれます)。山梨県との共同事業のお土産屋さんプロジェクトから、雑貨事業、キャラクター事業、さらに多角化して、海外へも進出していく過程が、創業者目線でダイナミックに語られています。また、キティちゃんが生まれたきっかっけ、時代背景、キティちゃんに込めた平和への強いメッセージがしっかり伝わってきます。この本を読んだ後に、サンリオ・ピューロランドでのステージや演劇(KAWAII KABUKIがオススメ)を見ると、そのメッセージがしっかりと受け継がれていることが分かり、数倍、泣けます。高度成長期時代の日本、会社内の空気感なども、リアルに分かりますし、海外への進出や、CSR的な社会還元についての考え方もとても勉強になります。経営者であり作家でもある辻慎太郎さんの軽妙なテンポの文体がとても読みやすい作品になっているのでオススメです。

5)キティの涙
著:山口 裕子/森 綾

ハローキティのデザイナーとして有名な山口裕子さんの自伝/エッセイです。山口さんはキティちゃんの3代目デザイナーですが、キティちゃんが有名になり社会で受け入れられていく為に、デザイナーとしてどんなことを考え実行したのか、その裏側が分かる貴重な作品です。キティちゃんに口がない理由、輪郭線がなくなったタイミングなどなど。(4)でオススメした辻会長の自伝が経営者視点だとすれば、山口さんの本作はデザイナー視点で、且つ従業員視点で、会社をどう見ていたかがすごく分かります。会社に対して辛辣に述べている箇所もあり、辻会長の著作と2冊セットで読むと、答え合わせができて、非常に面白いです。

と、ここまでは偉大なエンタメ・キャラクター企業に関しての本をご紹介してきましたが、ここから2冊は、水野もお付き合いがある著者の方による実践的な本をご紹介します。

6)アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み
著:福原 慶匡

アニメビジネスや、アニメの製作委員会について書かれた本はいくつかありますが、個人的には本作が一番分かりやすく読めました。ビジネスの理詰めの部分と現場の経験がしっかり言語化されています。本作にも書かれているとおり、アニメビジネスの構造を変えられるのは、「製作」と「制作」両方のスキルと変革の意志を持った新時代のアニメーションプロデューサーだと、僕も思います。「けものフレンズ」を大ヒットさせ、その後も、常に新しい取り組みをし続けてる福原さんとは、いずれ一緒に新しくて、変わったプロジェクトをやれればな〜と思っています(笑)

7)売れるキャラクター戦略~“即死”“ゾンビ化”させない~
著:いとうとしこ

広告代理店のADKで「コアラのマーチ」など、キャラクターを使った多くの企業キャンペーンに、クリエイティブ・ディレクターとして携わり、その後、独立された、いとうとしこさんの著作です。キャラクター大国の日本では毎年多数のキャラクターが生まれているものの、しっかりと運用できず”ゾンビ化”してしまっているという問題提起と、現場での具体的なキャラクター戦略、フレームワーク、権利保護等々、やるべき事が丁寧に書かれていて、且つキャラクター愛に満ちた内容です。今後、個人や企業がSNS上でブランディングしていく時代に、キャラクター達がそのメッセージを共に背負って活躍していくべき、と、僕も思っています。いとうさんとは、ゆる〜く雑談をしながら、良きタイミングで、何かご一緒させて頂きたいと思っています。

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