スタートアップ企業の人事評価制度でMintoが大切にしていること
こんにちは、株式会社Minto人事・広報部マネージャーの青柳(@1Noriaki)です。入社して早くも1年以上が過ぎました。
入社時に書いた記事を振り返ると、時の流れの速さを感じます。
現在、私はコーポレート部門で、人事、広報、組織開発の各分野を担当しています。この期のチーム目標は「CX・EXをアップデート」。主に採用広報のファーストタッチから、入社後の組織開発やカルチャーデザインに至るまで、全体的なアップデートを目指して、チーム全体、そして個人としても、日々奮闘しています。
今後、note上でMintoの制度やルールに関するシリーズを書く予定です。
今回のテーマは「Mintoの人事評価制度」。Mintoも1年の間に組織としての成長があり、人事として、人材の育成や企業文化の形成の観点から、評価制度のアップデートが必要だと感じました。
今回の記事では現在に至るまでに考えたことや実行してきたことをできる限り具体的にお伝えできればと思います。
また、アップデートするにあたり、悩んでいた際に、多くの人事領域でご活躍されている諸先輩方や仲間からアドバイスをいただき、意見交換をさせてもらいました。
(相談に乗ってくださった皆様、本当にありがとうございます)
そして、私と同じような課題を持つ人が多いことに気付きました。
なので、この記事が、以下のような方々の参考になれば幸いです。
メンバーの目標設定や評価の運用に悩んでいる方
ベンチャー企業で、人事評価制度の導入を考えている方
Mintoに興味を持ち、入社を検討中の方
1. Mintoの人事評価制度のはじまり
まずはどのような流れでアップデートしていったのかを伝えていくために、Mintoの人事評価制度の成り立ちについて説明をさせてください。
Mintoは、2022年1月に経営統合してスタートした会社です。
統合後はミッション・バリューを明確に定めました。
その上で、
どのような働き方を重視するか
どのような人物を評価するか
これらの[評価の方針]を策定しました。
さらに、[等級テーブル]は6段階設定を用意しました。具体的には「マネジメント」と「スペシャリスト」の2つのコースです。
評価においては、「MBO」と「コンピテンシー」の2軸、[評価期間]は年2回(8月〜1月・2月〜7月)としました。
※経営統合前にwwwaap(経営統合前の会社)で使用していたものをベースにしました。
2022年2月から7月にかけて、Mintoとしては初となる人事評価をスタート。1回目のサイクルを無事終えることができましたが、その過程で多くの気付きが生まれました。
気付き:
職種の増加に伴い、各職種ごとの評価軸の存在(ビジネス、プロデュース、クリエイター、コーポレート)
ビジネスモデルによる評価軸の違い(クオンはBtoC、wwwaapはBtoBを主軸としていた)
目標設定の方法やルールに関する理解と多様性の拡大
2.評価フレームのアップデート内容
入社して初めての評価サイクルを経験し、気付きを元に、アップデートが必要な部分を明確にすることからはじめました。その結果、今回、アップデートする内容を4つのポイントに絞りました。
職種の多様性に応じた評価手法の変更
職種やレイヤーごとの評価軸やウエイトの調整
評価指標の明確な言語化
評価のルールと目標設定の理解と促進の強化
ポイントを絞ったものの、ここからどう進めていくべきか、何から始めるべきか、迷いました。。当時は見えない壁が目の前に立ちはだかっているような感覚でした。
ここで、冒頭でも書きましたが、たくさんの方にアドバイスやフィードバックをする時間をもらったことで、少しずつ自分の中でも道筋が見え、整理ができてきました。
アドバイスやフィードバックで共通していたのは、適正な評価を行うために職種やレイヤーに合わせて手法や運用を変えることは大事。ただ、最後は評価する側・される側双方の「納得感」の醸成が1番大事だということ。
フィードバックいただく中で、重要性を再確認することができました。そして、この「納得感」のある評価制度にするためには、役員・部長陣の協力を得ることが欠かせないとも感じました。そこで、「一緒になって人事評価制度をアップデートしていこう!」と協力を依頼しました。
Mintoの魅力の一つは、こういった協力依頼をした時に全員がサッと即座に同じ方向を向いて走れるスピード感があることです。(頼もしい人たちです)
一回目のMTGでは、オフラインで全員が集まり、アップデートする4つのポイントのうち、3つを中心に議論を進めました。
職種の多様性に応じた評価手法の変更
職種やレイヤーごとの評価軸やウエイトの調整
評価指標の明確な言語化
最初は、この時間で各役員・部長が評価する際に意識していること、現段階で不安に思っていることなどを伝え合い、それぞれの職種へのリスペクトと役割の違いを再認識しました。意見・提案も数にすると20個以上があがり、その後に、具体的な話を進めていきました。
①職種の多様性に応じた評価手法の変更
当初は現状のMBO・コンピテンシーから
[現状]
MBO・コアバリューに変更するのが良いのではないか。
[変更案]
と思っていたのですが、議論を進めると、「今後の会社の成長・人材育成の観点でもスキルや能力開発を評価、支援していくべきだよね。」「様々な職種がある分、職種ごとでスキルを言語化・明示して評価項目に取り入れるべきだね。」となりました。その結果、評価手法に関しては全員が納得感を持ってMBO・コアバリュー・スキルの3軸に決定しました。
[決定]
その後に議論をしていったのが、
②職種やレイヤーごとの評価軸やウエイトの調整
の部分です。
多角的な事業と15の職種(現在は20職種以上)を持つ私たちの組織での評価軸の設定がテーマでした。
(確かにこれを1つの軸で評価することはなかなか難しい)
最終的には、「ビジネス」「プロデュース」「クリエイター」「コーポレート」の4つのカテゴリーに分けて、各カテゴリー×等級ごとでのウエイトを配分する形としました。
そこで決まった各職種ごとでの評価ウエイトがこちら。
ビジネスサイドでは目標達成におけるMBOの比重を高くしたこと、クリエイターではレイヤーに合わせて、MBOとスキルの比重にグラデーションをつけていること、等級3のレイヤーまではコアバリューは同水準にして体現度(アクション)でも評価をすること、スキル面では積み上げ式の評価として自身の業務での成長の変化率を見れるようにしたことなど、それぞれのカテゴリーごとでの認識を揃えていきました。
①②の方針が固まったところで、③評価指標の明確な言語化へと議論を進めていきました。
○コアバリュー評価
明確に言語化するためには、主に2つのポイントを考慮する必要がありました。
等級ごとの評価基準(期待値)の設定方法
4つのコアバリューに関して、それぞれの評価基準の設定方法
1つ目のポイントに関しては、等級ごとにどの対象「Who」に対して適切に体現されているかの判断軸を設けることで、期待値の認識を統一しました。
1つ目の認識を揃え、2つ目のポイントについて、メンバーそれぞれがアイディアを出し合い、行動基準の指標をまとめていきました。なお、以下の指標は4つのコアバリューの中で、「自分がオーナーになる」の指標です。
3時間にわたる議論の末、方向性を確定し、1回目のMTGを終了しました。
次に取り組むのはスキルに関する評価基準の明確化です。
○スキル評価
具体的には、「ビジネス」「プロデュース」「クリエイター」「コーポレート」の4つの職種をベースに、それぞれの部署での等級ごとの必要スキルを言語化してもらいました。この議論のため、職種ごとにMTGを設定し、スキル評価基準の言語化を進めていきました。
各部署や職種の特性に基づいて、必要とされるスキルを洗い出し、等級ごとにそのスキルの詳細度をグラデーションさせていきました。
例として、プロデュース職種のWebtoon部門における等級1の基準は以下の通りです。
「進行管理」「企画/マーケティング」「編集/ディレクション」「プロデュース」の4項目は、スキル評価の基本的なカテゴリとして設定されています。等級が上がるにつれて、求められるスキルの内容も変化するようにデザインされています。
評価の際、業務のスキルに関するフィードバックを行うことで、今後の目標設定や向上を促すコミュニケーションが取れるように配慮し、個人の成長機会にも繋げてもらいたいと思いました。
また、「マネジメント」と「スペシャリスト」のコースにおいては、等級4以上で求められるスキルもそれぞれで言語化していきました。ここをしっかりと根気強く、時間をかけて言語化してくれた役員や部長たちには本当に感謝です。
こうして、「納得感」を持つことができる評価フレームワークが出来上がっていきました。
3.運用面でのアップデート内容
次なるステップは、④評価のルールと目標設定の理解と促進の強化でした。
人事評価のフレームをアップデートするだけでは不十分で、何よりも重要なのは、全メンバーがその変更を理解し、主体的に取り組んでもらえる状況をつくることです。そのために、可視化と効率化を重視し、全体の理解度向上を目指しました。
まず、新しいシステムの導入を決定しました。以前はExcelを使用して管理していましたが、評価の調整が全て人力で行われていたため、今後の人員計画を考えても、可視化と効率化の観点でも導入するフェーズだと感じました。さまざまなツールを比較し、最終的に「HRBrain」のシステムを採用しました。(ツール導入で悩んでいる方がいればぜひご相談ください)
次に、全体への説明会を開催し、変更点を伝えました。疑問点や不明点についてはアンケートを通じて一人一人の声を聞きながら、個別に対応しました。こうしたアプローチは、この規模(50名)だったので可能だったと思います。
これらの取り組みを経て、Mintoの人事評価Ver.2が全メンバーと共有されました。
しかし、単なる共有だけでなく、その運用をサポートすることも必要不可欠です。なので、全体に向けて、評価者に向けて、それぞれサポートをしていきました。
サポート内容:
全体に向けてのサポート
・1サイクルの人事評価スケジュールを半年先まで事前に決定
これは見る方によっては当たり前だ!と思うかもしれませんが先のスケジュールすぎて後回しにしていると意外に直前になってスケジュールが合わないなどの状況を避けるため
・評価者及びメンバー向けのマニュアル作成
評価者に向けてのサポート
・プレ評価会議の実施
毎回、最終の評価会議は行ってきましたが、新しいフレームになったこともあり、評価者の認識を揃えるために、評価期の最終月の月末に実施しました。特にコアバリュー・スキルでの評価基準を横断的に具体的な行動事例にも落とし込みながら共有することで各役員・部長陣の認識を揃えました。
・1on1研修の実施
評価の観点だけではなく、日頃の業務での人材育成の観点で1on1の目的や特徴、注意点を重点的に研修を行いました。また、評価では「目標設定時」「中間面談時(3ヶ月経過後)」「評価面談時」に、充実したコミュニケーションの時間が確保できるように伝えていきました。
これらのサポートも最終的な目的は、人材育成です。
評価者とメンバーの双方向のコミュニケーションと理解を深め、どこが評価されていてどこが評価されていないのかを理解するための適切なフィードバックを通じて、将来の成長意欲に繋げてもらいたいと思っています。
いつの間にか勝手に決められた評価を伝えられただけでは到底、納得感にも繋がらないですし、成長機会も生まれないですよね。
現在の課題を明確にして一緒に伴走できる運用にしたいと思って現状はこのようなサポートにしています。
4.今後の人事評価制度について
Mintoは絶えず成長し続けるベンチャー企業です。その為、今回ご紹介した人事評価制度も今後の時代や組織のニーズに合わせて常にアップデートしていく必要があります。今後も社員一人ひとりの成長を支えるための最適な評価制度を模索し続けていきます。
人事評価についての意見交換をしたい方や、Mintoに興味を持ってカジュアルに面談を希望する方、お気軽にご連絡いただければと思います。また、私たちは様々なポジションでの新しい仲間を引き続き募集中です。
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