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キャラクターマーケティングについてベトナム展開の全容を大公開!ベトナム現地メディア「ブランズ・ベトナム」掲載インタビュー

ベトナムのマーケティングメディア「ブランズ・ベトナム」の「New Agencies」シリーズでは、最近(3年前後)ベトナムに進出し、目覚ましい活躍を見せるエージェンシーを紹介しています。Mintoがベトナム進出を決めた理由や広告市場にどのような影響を与えるのかなどについて、当社ベトナムオフィス代表の奥川真人のインタビューが掲載されました。
今回は、同ベトナム語の記事を日本語訳し以下に掲載いたします。

1. キャラクターを核としたエージェンシー・Mintoについて教えてください。

Mintoは、10年以上にわたる自社スタジオによるIP開発経験を有し、世界中で1,000以上のキャラクターのライセンス展開を行ってきました。ありがたいことに、私たちの代表的な事業1つであるSNSのスタンプは、全世界で60億ダウンロードに達成しようとしています。

この10年の間、消費者の日常に身近にあることで、ブランド認知度やコンバージョン率を高めることができるキャラクターの大きな影響力を知りました。
私たちは、キャラクターがブランドと消費者の間のギャップを埋めることができる「ストーリーテラー」であり、競争が激化する市場やパーソナライズドマーケティングが主流となる時代に最適であると考え、キャラクターベースのマーケティングを中心に、ビジネスを展開しています。

世の中にはさまざまな商品が存在し、消費者は選択に迷っています。そのような中、消費者が商品を選ぶ根本的な理由は、価格差だけでなく、ブランドが消費者とどのような関係を築けるかが重要だと考えています。そして、そのためには、キャラクターを使ったストーリーテリングこそが、ブランドを際立たせる方法だと考えています。

なぜ、キャラクターがこうした価値を生み出す最高のコミュニケーションツールだと考えるか。多くの方はキャラクターを「単なるデザイン」だと思われるかもしれませんが、Mintoは「ストーリーテラーとしてのキャラクター」と位置付けています。想像していただきたいのですが、もしあなたが誰かと出会い、関係を深めていくとした場合、その人の性格や考え、背景などを時間をかけて理解し、自分と合うと感じたからこそ、親密な関係を築けるでしょう。キャラクターの場合も全く同じです。ブランドが直接的に語るには、真面目すぎたり、よそよそしさが漂うなど限界がある一方で、 ブランドのマスコットであれば、そうしたメッセージを親しみやすく、インタラクティブに伝えることができます。消費者の記憶にも長く残ることができるのです。

Mintoは、ブランドそのもののアイデンティティの確立やゴールを担うキャラクターを開発することを使命としています。「単なるデザイン」ではなく、そのキャラクターの性格や背景など細かい設定を作り込み、複数の異なるチャネルや異なるターゲットに対して、そのキャラクターの強みをどう発信していくかを考え抜くのです。

だからこそ、多くのブランドから必要とされている、コラボレーションを提供できる「唯一無二のエージェンシー」が当社なのだと思います。

2. Mintoが進出先としてベトナムを選んだ理由は何ですか。

いくつかの理由があります。
i. 当社のスタンプが非常に多く使われていること(ベトナムにて7億ダウンロード以上)
ii.  人口が増加し、若い世代が増えたこと
iii.  ソーシャルメディアの普及率が高いこと
iv.  COVID19での間にあっても東南アジアの経済が大きく成長したこと
v.  ブランドのオリジナルキャラクターによるコミュニケーション需要が増加していること
v. ベトナムのキャラクターマーケティングは発展途上にあり、日本、中国、タイで経験したキャラクターマーケティングの拡大を予見でき、実行実現性が高いこと
vii. ベトナムで多くのWebコミックが制作されており、将来的な可能性を感じられること

ベトナムは、日本、中国、タイなど他のアジア諸国(Mintoが海外進出している他国)と同様、精神的な価値を重視し、それを守る文化を持っています。最も成功したマーケティング施策が「感情」と結びついていることは、その裏付けと言えるでしょう。ブランドによるマスコットを通じて、消費者の感情を喚起し、結びつける鍵は、キャラクターマーケティングにあるのです。

3. 外資系スタートアップとしてベトナム市場に参入する際の課題と機会について、教えてください。

外資系企業である私たちの最大の課題は、現地のインサイトを理解することです。
ブランドのメッセージを真に伝えるキャラクターを開発するために、私たちが最も重要な要素としてとらえるのは、ユーザーのインサイトです。そしてそれは、現地に深い知見を持つマーケターがいない外資系企業にとって、最も困難な場合もあります。そこで、この分野で活躍し、ベトナムのユーザーインサイトを深く理解するマーケターを集め、Mintoのノウハウと組み合わせて、最適なソリューションを構築しています。

もう1つの課題は、私たちのサービスが非常に新しく、市場に出たばかりであること。キャラクターがどのようなものなのか、まだあまり理解されていません。キャラクターは「単なるデザイン」ではなく、「消費者とのコミュニケーションを可能にする生きたブランドアンバサダー」であることをブランドに伝えることが、私たちの使命となっています。
ただ、この分野には競合がほとんどいないので、逆に言えば市場を獲得するチャンスでもあります。したがって、「キャラクターマーケティング」という概念をブランドに理解してもらうことに成功すれば、私たちは大きく成長する可能性を秘めているのです。

4. 現在のMintoのサービス内容を教えてください。

オリジナルキャラクターによるブランディングキャンペーン事業

私たちは、キャラクターマーケティングのワンストップサービスを提供しています。すべてのプロジェクトにおいて、コミュニケーション戦略立案と必要なリサーチからスタートします。リサーチで得られた知見をもとに、コミュニケーション戦略に沿ったオリジナルキャラクターをデザインします。また、キャラクターを活用したコンテンツが、ブランドのメッセージを消費者に伝え、関係性を構築するためのエグゼキューション(実行)業務を行います。

キャラクターライセンス事業

即効性を求めるクライアント企業のために、人気キャラクターをマーケティングキャンペーンに活用できるよう提供しています。すでに数千万人に利用されているキャラクターは、消費者の目に留まりやすく、ブランドキャンペーンを盛り上げることができます。
また、コミュニケーション戦略、パフォーマンスキャンペーン、コミュニティ形成、ビデオ制作、イベント、商品制作など、クライアントからの定期的なマーケティングリクエストにも対応しています。

5. キャラクターマーケティングがブランドにもたらすメリットは何ですか?

Mintoが考えるキャラクター活用のメリットはいくつかありますが、ここでは5つの言葉をあげます。"Everlasting, Controllable, Communicable, Adjustable, and Monetizable "です。

"Everlasting"(永続性
サンリオのハローキティが誕生して何年になるかを考えてみてください。47年ですよ...!?私よりずっと年上です。しかし、彼女は今でもデザインに新鮮さがあり、常に最新のトレンドに適応しています。それに対し、有名人やインフルエンサーなど、人間はいつか年を取ってしまいます。

"Controllable(管理にしやすさ)" 
時に人間は間違いを犯し、スキャンダルになることがあります。キャラクターにはそれはありません。なぜなら、キャラクターは我々が自分でコントロールすることが可能だからです。キャラクターがどのように振る舞うかは、すべて私たちの手に委ねられているのです。

"Communicable(伝えやすさ)"
特に、消費者の関心が高い製品や複雑な製品については、エンドユーザーが理解するのに長い時間を要します。キャラクターはその点にも有効です。ブランドにとって、多くの情報をコンテンツとしてユーザーに伝えることは大変な労力を要しますが、キャラクターがあれば、ユーザーの最初の関心を引くことは容易です。また、ストーリー仕立てで商品を説明すれば、消費者はストーリーを楽しみながら、同時に商品について理解することができるのです。

"Adjustable(可変性)"
キャラクターは自在に調整することが可能です。自分の好きなものに変えることができるのです。犬、ロボット、非生物、神話上の生き物など、何でもありです。2Dイラスト、映像用3Dモデル、メタバースのアバター、さらには物理的なコスチュームを作ることで我々の世界に持ち込むことも可能です。消費者との関係性を構築するために、キャラクターが様々なタッチポイントを持つことはとても重要です。

"Monetizable(マネタイズ可能)"
商品のプロモーションのために作られたブランドキャラクターには馴染みがないかもしれませんが、最近ではそのブランドキャラクターがグッズになったり、NFTになったりすることがあります。
いかにファンとの関係を築けるかが重要ですが、一度強いファンを作れば、例えばコーヒーショップのキャラクターであっても、躊躇なく買ってくれるようになるのです。
熊本県の「くまモン」は、もともと熊本県の観光振興のために作られましたが、くまモンが誕生した初日から現在まで、その経済効果はすでに80億ドル以上にも達しています。

6. ベトナムブランドのキャラクターマーケティングの活用方法について、ご意見をお聞かせください。

ベトナムでは、いくつかのブランドがオリジナルキャラクターを使ったメディア展開を始めています。しかし、そこに欠けているのは、「コミュニケーション」だと思います。この記事の中で、私は何度も繰り返していますが、キャラクターはブランドストーリーを語る必要があると考えています。ブランドは、自分たちのターゲット層をよく見て、彼らのインサイトを理解し、キャラクターを愛すべき人物に作り上げることを強く勧めます。
いくらバナーやパッケージでキャラクターを使っても、そのキャラクターを好きになることはできません。キャラクターを通してコミュニケーションしなければいけないのです。。一朝一夕で構築できるものではないことを理解する必要があるでしょう。
キャラクターマーケティングは、人々がキャラクターを好きになるまでにかなりの時間がかかります。一貫性と継続的な取り組みと進化が重要です。そのため、私たちは通常、クライアントに6ヶ月以上はMintoが実行部分を担えるよう提案しています。

7. ベトナムで実施したプロジェクトで、印象に残っているものはありますか。

ベトナムには今年に入ってから正式に進出しましたが、幸運なことに、すでに現地でいくつかのブランドと仕事をする機会に恵まれています。
そのうちの2つは、エースコック・ベトナムとイオンモール の新店舗・ビンタンです。

- 実施プロセス
エースコック・ベトナムのオリジナルキャラクター「テイスティ・キッド」の認知度を高めることを目的としました。
ブランドキャラクターを使ったコンテンツだけでなく、人気キャラクター「ぴよまる」と「テイスティキッド」をコラボさせ、ベトナム版のLINEとも言える「Zalo」のステッカー(スタンプ)を制作して、「テイスティ・キッド」の認知度を飛躍的に向上させました。
また、エースコックのブランドエッセンスを抽出し、Zolo公式アカウントで公開する漫画コンテンツを制作し、キャラクターの設定を深く理解してもらうことで、消費者との関係性の構築を図りました。

- 成果
Zaloステッカーのダウンロード数:145万
Zaloステッカー送信数・エンゲージメント数: 200万以上
オンラインメディア上でのキャラクター露出回数:400~500万回以上(推定)

現在、当社では多くのブランドと協議を進めているところです。今年は、さらに多くのキャンペーンを実施したいと考えています。

8. Mintoのコアバリューは何ですか?また、企業文化はどのように構築しているのでしょうか?

Mintoのコアバリューは、キャラクターを生き物のように扱うことです。我々が制作するのは「デザイン」ではなく、一企業の代表となりうる「ブランドアンバサダー」であり「ストーリーテラー」なのです。ですから、当社内のチームには「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように伝えるか」というキャラクターのコミュニケーションプランをどう企画デザインするかということに、フォーカスしてもらうようにしています。
ストーリーのないキャラクターは、魂のないデザインに過ぎません。ですから、チームには常にこのマインドセットを持たせていますし、人材を採用する際にも、候補者のこの点に対する意識を常に見ています。もし、候補者にキャラクターのストーリーテリングに対する強い情熱がなければ、どんなに優秀な人材であっても採用はしません。

また企業文化としてブランドの利益を常に念頭に置く - 常に最新の情報を提供する - すべてのプロジェクトはユニークである - 信頼性は金である を重視しています。

9. 今後のベトナムでの展開について教えてください。

私たちの目標は、ベトナムだけでなく、東南アジア全体でキャラクターによる経済圏を創出し、その中核となるハブになることです。
そのためには、企業や個人のクリエイター、消費者をつなぎ、多くのキャラクターを生み出すと同時に、既存のキャラクターが世界へ活躍の場を広げるためのプラットフォームを構築したいと考えています。

私たちは、2024年までに東南アジアで「Minto」が関わるキャラクターを現在の10倍である250に増やすことを目標としています。その第一歩として、すでにタイのチームが中心となって、世界中でキャラクターグッズを販売できるEコマースプラットフォーム「POPPARADE(ポップパレード)」を立ち上げています。このプラットフォームは、当社のキャラクターだけでなく、多くの個人クリエイターや企業のオリジナルキャラクターのグッズを販売を行うプラットフォームとして発展させていく予定です。
将来的には、近年話題になっているNFTと物販を組み合わせたグッズの取り扱いも予定しています。
当社の成長により関わるキャラクターが増え、ひいては事業規模の拡大につなげることができます。キャラクターにはそれぞれファンがいて、たとえ違うキャラクターのファンであっても、共通の価値観を持ち好きになってくれることもあります。そうした共有や共創ができる大きなコミュニティの中心にMintoを置くことで、すべてのキャラクターとともに成長していける未来を描いています。


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