漫画アプリ立ち上げ経験者から見る、webtoonが大注目される理由
株式会社Mintoの中川と申します。このnoteに出会って頂きありがとうございます。
弊社ではこの度、webtoon制作スタジオ「MintoStudio」を正式に設立致しました。webtoonは日本に限らず世界で凄まじい盛り上がりが始まっていますが、その現状はあまり知られていないと感じています。そこで、なぜ今webtoonが世界で人気拡大しているのか、なぜ今エンタメ業界全体から注目が集まっているのかを、2013年の漫画アプリの勃興期からデジタル×漫画に携わってきた僕が解説してみます。
※時間がない方は「webtoonの捉え方」だけでも読んでもらえると嬉しいです。
自己紹介(飛ばしてもらって構いません)
編集者だった頃の僕です(右)。「出張編集部」という形で大手出版社と並んでブースを出してましたが、アプリリリース直後で置くものが何もなさすぎて辛い思いをしてた頃です。文字通りすみっこって感じでした。
Mintoとは
Mintoはアニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップです。日本が世界に誇れる漫画・アニメの分野でも、各国の急激な成長をみて危機感を感じたことが経営統合を決断した理由の一つですが・・・この話も凄く面白いと思ってますが本筋ではないので、ご興味あれば是非以下noteをお読み頂けると嬉しいです。
【経営統合しました】日本発クリエイターエコノミーを創り、世界にコンテンツを広げたい
webtoonとは
まずは基本情報ですが、webtoonとは韓国発のデジタルコミックで「縦長スクロール型」「フルカラー」であることが大きな特徴です。1話あたりは50〜70コマ、横読みの漫画で換算すると12〜14ページ相当。webtoonはWebと、漫画・アニメを意味する Cartoonを組み合わせた合成語です。ちなみに「webtoon」はNAVERが商標をとっているためピッコマでは「SMARTOON」と呼んでいます。(※本文は便宜上webtoonで統一します)
基本情報おしまい。
※出典:カカオピッコマ
webtoonの現状(世界)
韓国から始まり、中国、東南アジア、更には北米でもwebtoonは人気拡大中です。2020年は世界で約2600億円(23億390万米ドル)の市場規模でしたが、2027年には約1.85兆円(164億米ドル)まで拡大すると試算され、これは史上最高であった2020年日本漫画市場の約3倍の規模になります。直近では「梨泰院クラス」や「地獄が呼んでいる」などwebtoon原作の世界的なヒットドラマが続々と輩出されており、各エンタメ企業がさらに注力をしている状況です。DCコミックスが「バットマン」をwebtoon化しており、22年1月にはBTSを主役としたwebtoonも登場します。
※出典:DAUM、JTBC
webtoonの世界的な成長要因(表現面)
漫画はコマ割りなど独特の技法であるがゆえに、海外では読むことが出来ない人も多いことが長年の課題でしたが、縦型でサクサク読めるwebtoonはその課題を一掃し、一気にユーザーを広げています。(日本人でも漫画を読めない10代が出てきているそうです。新人類。。)
また、カラーであることも重要です。僕は「面白ければ白黒かカラーかなんて関係ない」と思っていましたが、カラーコンテンツが当たり前になった今、海外の人からすると白黒漫画とは白黒テレビくらいの抵抗感があるそうです。確かに面白いと聞いても白黒映像だと手を伸ばしにくいですよね。。
webtoonの現状(日本の市場感)
2020年前半頃から急激に成長を始め、ピッコマの人気作「俺だけレベルアップな件」が1作の月間課金額が2億円を突破したことで、一気に業界で話題になりました。2021年のピッコマはアプリ売上が579億円と予測されていますが、これは「ウマ娘」「モンスト」に続く国内3位に相当します。そして絶賛成長中。すごすぎますね。。ちなみに上述の「俺だけレベルアップな件」含め、日本でヒットしてるwebtoonもほぼ韓国または中国のクリエイターによるもので、日本発ヒット作はほぼないに等しい状態です。
※出典:カカオピッコマ
webtoonの現状(日本のプレーヤー)
上述のとおり、webtoonは世界的な映像コンテンツの原作供給源となりうることが実証されてきたこともあり、国内でも映像関連中心にの大手エンタメ企業が一気にwebtoon参入を決めています。来年には国産webtoonは一気に世に出始めます。もちろん、出版社やアニメ制作関連各社も動き始めていますが、ネットベンチャーや出版社が中心だった漫画アプリの勃興期と比べると、世の中の「うねり」の規模の違いを感じています。
※出典:LINEマンガ
Webtoonプラットフォームは日本でもほぼ韓国勢が独占している中で、
2021年の12月24日に国内メガベンチャーのアカツキさんから「HykeComic(ハイクコミック)」のリリースが発表されましたが、最初から明確に「グローバル」と銘打たれてます。
「HykeComic(ハイクコミック)」2022年春配信決定
※出典:アカツキ
webtoonの捉え方
とはいえ、「漫画を縦でカラーにしただけで何故そんなに人気になるの?」と疑問に思う方もいると思います。(僕も最初はそう思っていました)。人気の理由を理解するには、webtoonは「縦でカラーにした漫画」ではなく、スキマ時間や寝る前に、あまり考えすぎずにサクッと読む「スナックコンテンツ」だと捉える必要があります。
上記はカカオピッコマ金社長の言葉ですが、同じく彼は「我々は漫画が好きな人をターゲットにしていない」と明言しており、webtoonは漫画よりも、同じく縦スクロール型のTiktokと近い視聴態度でユーザーは楽しんでいます。この前提に立つと見え方がガラッと変わるのではと思います。
自分で編集者をやっていたからこそ、エンタメの真髄を極めてきた出版社の編集部のことは心からリスペクトしています。彼らならいずれ面白いwebtoonを創るであろうと思っています。ただ漫画とは「ユーザーが期待すること」が異なるため、今まで培ったノウハウがwebtoonにそのまま活かせるわけではありません。だからこそスタートアップとして、電子書籍勃興時よりはるかに大きなチャンスがあると感じています。
熟年編集者よりも、TikTokを好む若者が大ヒットwebtoonを生み出す。僕はその可能性を大いに感じています。エンタメの境界線が今後益々無くなっていくからこそ、エンタメのプロデュースをやりたい若者は、まずwebtoonに飛び込むことをおすすめします。本当に。
Minto Studioについて
だいぶ長くなってきましたが、最後に弊社の取り組みについて簡単に紹介させて下さい。現在Mintoでは、上述の大手エンタメ企業やプラットフォーマーとの共同制作を軸にwebtoon制作を進めており、春以降に続々と配信予定です。
クオン(※)は、Mintoとして統合する1年ほど前からwebtoonの準備を始めていましたが、元々社内にコンテンツスタジオを有し、10年近くに渡り複数のクリエイターで同基準のクリエイティブを制作する技術を磨いてきました。そこにwwwaapが培ってきた日本最大のSNS漫画家ネットワークを活用し、原作や演出の肝となるネームを制作することで、独自のwebtoon制作体制を構築しました。また、国内外でのIPプロデュースはクオンが得意領域であり、ヒット後のIPの拡張を自ら行うことが出来る点も特徴です。
(※)株式会社クオンは2022年1月に経営統合し、株式会社Mintoとなりました。Mintoはアニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップです。世界4カ国に拠点を持ち、コンテンツ×広告、越境IPプロデュース、Webtoon、Web3・メタバースの事業を展開しています。
webtoonは来年にかけて日本でも間違いなく本格的に盛り上がっていきます。一方で日本からこの数年でヒット作が生まれなければ、webtoonは海外からの輸入作品を楽しむだけのものになる危機もあると、僕は思っています。
この国のクリエイターにとっての新しい未来を創るために、ヒットwebtoonを生み出すべくスタジオを立ち上げました。
編集、アートディレクター、原作者、ネーム作家、作画、着彩・・・全ポジション募集しています。ここでは話せない話もまだまだありますので、もしご興味持った方がいればご応募お待ちしてます!!
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▼クリエイター(ネーム、線画、着彩)
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▼編集者・アートディレクター
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▼協業のご相談
下記までお願いします。
g_nakagawa@minto-inc.jp(担当:中川)
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追伸
2022年冬現在の状況もまとめましたのでこちらもぜひ