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アメリカ、中国・・・海外IPビジネス経験を経て、Mintoを新たなステージへ。Mintoが拓く、日本発コンテンツの世界展開

Mintoはアニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップです。
今回は、新たに取締役に就任した堀 容隆さんに、自身のこれまでのキャリアについてインタビューをしてみました。


まずは新卒からアメリカに行くところまでのキャリアについて聞かせてください。

大学卒業後はリクルートキャリア(当時リクルートエイブリック)に入社し、ひたすら法人営業でした。振り返ると、1社目が労働時間という意味では最も激しかったのですが、1社目ということで全く気づいていませんでした。がっしり to Bができたことなど含めて、1社目がリクルートであったことは本当によかったと思っています。

2009年、いっそ今までの自分から最も遠そうな世界へ、と思い、「SNSx携帯電話(当時はガラケー中心)」のグリーに入社しました。結局キャリアとしては最長の9年間を過ごすことになります。
2011年から2年間、アメリカに赴任し、主に買収先で過ごすこととなります。この2年間の間に取締役CFOの定平一郎と出会います。
細かい話、アメリカには、ゲーム開発スタジオと、買収した現地の会社(プラットフォーム)の2つがあったのですが、僕はまさかの後者だったので、60-70人いるうち2人しかいない日本人の一人でした。上司の女性がNY出身で、ほぼ何を言っているかわからず、反射的に頷いていたのは良い思い出です笑

とはいえ、真面目な話をすると、ビジネスという意味では米国経験は厳しいものでした。商習慣も仕様も違う中で、「これだと厳しい」という気持ちと、「そんなことを言っていても仕方がない」という気持ちを交差させながら日米のパートナー企業に営業をしていたことを覚えています。

2年ほどしてプラットフォームビジネスを諦めることになった時は、結構色々な思いが交錯しましたね。「自分の希望があっさりと終わりを告げる」現実を突きつけられたというか。

とはいえ、環境も言語も初めての米国挑戦をさせてもらえて本当に良かったですし、海外ビジネスへの思いを強くするという意味では、人生のターニングポイントとも言える経験でした。

アメリカ時代。当時生後半年の娘と妻を巻き込んでサンフランシスコへ。

日本に戻ってからはエンタメIP(知的財産)に関わる仕事をされたいそうですが、その話を聞かせてください

その後日本に戻ってからは、IP版元との交渉や営業組織統括、有名芸能人を活用した恋愛ゲーム製作などに携わりました。
IPについては、そもそもアメリカ時代含めて全く無縁の仕事でした。
事情があり、日本で「IP室室長」と「Developer Relations(自社プラットフォームの営業)部長」の2足の草鞋を履くこととなりました。
やはり一番勉強になったのは、パートナー企業様の「IPへの思い」です。
もちろんビジネスなので、IPを活用して収益をあげることをお互い目的としているわけですが、単純に「お金が稼げるならどう使ってもいい」というものでもないですし、逆に「ビジネスとして収益が上がっていないから、すぐに撤退」というものでもないのです。

言い換えれば、他社のIPと自社ビジネスをコラボレーションしたい場合は、こちら側も「仮にうまくいかなくても、使わせてもらっているIP価値を毀損しない」ことを常に念頭に置く必要があります。実際、ゲーム事業で運営上赤字でも簡単にクローズしなかったこともあります。
一つ覚えているのは、そうした「上手くいかなかった」ゲームにおいて、後日パートナーである版元様から、「良い時も悪い時も一緒にやっていた感があった」と食事の席でおっしゃっていただいた時は、「少しはIPビジネスに携わる身として恥ずかしくない振る舞いはできるようになったかな」と思えました。
うまくいかないゲームはクローズすることで赤字を少しでも小さく収めたいという心情もありましたが、数年IPビジネスに携わり、中長期的なリレーションやそもそもパートナー様のIPとともにビジネスをする際に必要な覚悟のようなものは多少は理解していました。まさに、「一緒に砂を噛む」覚悟とも言えるかもしれません。

Mintoがバンコクで展開するコンセプトショップの様子

もうひとつ、海外関連の仕事として、当時中国をはじめとしたアジアでは日本のアニメをベースとしたゲームへのニーズが高まっていました。そこで、版元とのリレーションを生かして、「中国のゲーム会社」と「日本の版元」の間を行ったり来たりしながら案件をまとめることをチームとしてやっていました。当時、幸いにも本社に中国が話せる日本人メンバーや、日本語が堪能な中国人メンバーがいたことも幸いでした。
私自身は最後、中国のゲーム会社と案件をまとめる(握手する)ために出張同行などしたのですが、中国企業のスピード感には、驚きと共に危機感を覚えました。
確かに、海賊版などの課題も多かったのですが、マーケット規模感や各社のスピード、クオリティの成長などは本当にすごい。
実際、アパレルや電子機器含めて、スピードや安さがセールスポイントだった時代から、クオリティが追いつき中国製品が世界を席巻していますが、モバイルゲームでも似た感覚です。

さらにIPについて話をすると、IPという概念は広いので、アニメや漫画だけでなく、有名芸能人事務所とパートナーシップを組み、内製ゲームをリリースしました。

少し話がそれてしまいますが、仕事で大事にしていることに触れると、「誰が」よりも「何が」正しいか(正しくは、「正しいと判断するか」だと思っていますが笑)を意識するということです。特に、自分が一定の立場・肩書を持つと、無意識に傲慢にならないように気をつけるのは当然ですが、周囲も「役員の堀さんが言うならば」となるときもあります。ただ、「(そのポジションの人が言っているから)正しい」というのは実は日本語としてほぼ破綻していると思いますし、ましてやポジションを持つ本人がそれ言っちゃったら、説明責任果たしていないですよね笑
ですので役員だからといって、当然人生で初めて自社内製x芸能人IPのゲームを作る際に、成功する(売れる)ゲームメカニズムまで分かった気になる、というようなことには陥りませんでした。

ということで、自社ゲームのプロデューサーに無理を言って私のチームに入ってもらったりして、自分は事務所との交渉、リレーションなどを中心にという役割分担をしながら進めました。
芸能人は当然生身の人間なので、制作過程においてはアニメ・漫画とはまた違った大変さもありましたが、メンバーが本当に頑張ってくれました。
ある日、あるアイテムの色について相談、というか判断を求められました。上記した立場の話じゃないですが、「確かに立場上、僕が決めることもできるけれど、僕が決めた色で上手くいかないよりも、あなたが決めた色で失敗した時の方が、僕自身納得できるから、判断は任せる」と伝えたことはよく覚えています。

お陰様で、月商数億規模の成功を収めることができましたが、やっぱりIPを活用したゲームがリリースされ、うまくいった時は、個人的には「よっしゃ!」というよりは、ホッと胸を撫で下ろす感覚の方が強いです笑

と、色々書きましたが、まだ100人に満たない頃から参画できて、アメリカ挑戦だけでなく、日本に戻ってからも文字通り良いときも苦しいときも全部経験できたという実感があり、グリーでの経験は本当に良かったと思っています。

お酒が全く飲めません。こちらは、グリー時代、パートナー様とのパーティにて熟睡の図。

直近4年弱は、マネーフォワード社にて主に新規事業の立ち上げに携わっていました。マネーフォワードでは、素晴らしい同僚・上司にも恵まれ、自分が携わった新規事業が無事ローンチ、かつとても順調に推移していたのですが、偶然地元が同じ湘南に住んでいる、当社CFOである定平からランチのお誘いがあり、まさかのMinto社へのお誘いが笑。
そして2023年10月1日にジョインしました。

入社した理由、きっかけを教えてください。

ほぼ直感で「飛び込みたい」と思ったからです。
定平とのランチの後、社長の水野、役員の髙橋・中川ともカジュアル面談をさせてもらったのですが、話をするにつれて、「自分はここに飛び込みたいと思っているな」という自覚が高まることは感じていました。
特に海外展開については、過去思うようにいかなかったという気持ちを常に抱えていた中で、定平が(10年ぶりにも関わらず)「一緒にやりたい」と言ってくれたのは純粋に嬉しかったです。

さらにいえば、子供が二人いるのですが、年頃になり最近アニメや漫画をよく見たり読んだりするようになりました。結果的に、私自身もそうした時間が増えて「やっぱ漫画って面白いな」と、ある意味自分が過去に版権を扱っていた頃以上に能動的な気持ちでIPに向き合えたこともあります。

だいそれたことを言うつもりはないのですが、「日本が世界経済で今後も競争力を保つ」ためには、過去になかったことを日本の主要事業にしていく必要があると思っています。個人的には、「日本発のコンテンツを世界規模のビジネスにする」ことと、「インバウンド」だと思っています。後者については一時期本を読み漁っていたこともあります。
とはいえ、やはり自分はクリエイターではないけれど、エンタメが好きだし、エンタメを楽しんでいる瞬間はきっとそれこそ国境や言語、文化の違いなども全てポジティブに受け止められている瞬間な気がしています。

上述した米国経験も自分の奥底でやはり残っていたのだと思います。
各役員と話をするたびに、エンタメ、海外、スタートアップというキーワードがガンガン自分に響きました。

選考の後半に、改めてと会食の機会をいただいたのですが、ほぼ仕事の話はしなかったです。
途中から、僕がどれだけ中日ドラゴンズを愛しているかの話に終始したのですが、無理やり綺麗な話にまとめると、そんな話を含めてとてもリラックスできる雰囲気に、勝手に仲間に入れてもらえる感覚があったのですよね笑
ひょっとしたら会食後、他の3人は「アイツ中日の話しかしてないけど大丈夫か?」くらいの会話はあったかもしれませんが笑

今はどんな仕事をしているのでしょうか?

Contents Distribution本部の管掌役員です。

  • 執行役員である瀧口中心に自社・他社のIPをどうグロースさせていけるか

  • デジタル領域の可能性の探索

  • タイ、ベトナム、中国、そして今後アメリカも含めた海外展開

を担っています。
国ごとのセグメントと、事業ドメインのカテゴリーが交差してハンドリングや把握が難しいところもありますが、今後、日本発のコンテンツがMintoを通じて世界に広がる一役を担いたいです。

少し固い話になりますが、意識していることとしては、戦略は避けて通れないものだと思っているのですが、「実行」を重視したい、という点です。
私が感銘をうけ、数回読んだ本に、「理・心・運」の割合は「1:4:5」ではないか、とありました。これは筆者の主観なので受け取り方は様々という前提ですが、自分なりの解釈としては、理に当たる戦略は非常に大切です。ただ、多くの人が時間をかけて練る「理(戦略)」でさえ占める割合は1なのだと思うと同時に、確かに「実行仕切ること」の振り返りってあまりなされないかもしれないなと腹落ちしました。
あくまで個人の考えですが、

・理を遂行する際の心(持ち)をどれだけ保てるか

・理(戦略)を練るのに多くの時間を割いているが、さらにその4倍は行動(を心が支えると解釈しています)が必要

・運が5を占めるとすれば、やっても仕方がないではなく、「残りの5(理と心)に集中すればいい」と思える

と考えています。
勝海舟よろしく、「行いは俺のもの、批判は他人のもの。私の知れた事ではない」という気概で、失意泰然、得意淡然としていたいものです。文字通り、常に道の途中にいる感覚です。

Minto タイオフィスにて

Mintoで実現したいことを教えてください。

もちろん誰もが知っている会社になりたい思いはあります。
ただ、主役はあくまで自社であれ他社であれ、ユーザーに届けられるコンテンツだと思っています。
そんな中で、ふと源流をたどると実はMintoでした、という会社になれるよう貢献したいと思っています。
そして、日頃の業務を通じて、一人でも多くのクリエイター、そしてそれを支える社員が自身の存在意義の高まりを感じられる世界を実現したいと思っています。

新たなビジネスが創出される、既存のビジネスが世界規模になる裏側にはテクノロジーの進化が必ずあります。
例えば、モバイルゲームは携帯電話が生まれるまでほぼ存在していませんでした。
ただ、いわゆるガラケーが登場・普及してから、日本では世界に先駆けて「ソーシャルゲーム」が流行しました。
その後、スマートフォンに変わる中でコンテンツもリッチになり、モバイルゲーム市場の飛躍的拡大はみなさんご存知の通りです。
ゲーム開発費は年々上がっており、ハードルも高まっていますが、見方によってはユーザーが求めるクオリティが高まり、市場としても一過性なものではなく成熟化・高度化していると受け止めています。

Mintoは、WebtoonやNFTにも参入しており、こうしたテクノロジーへの感度が高いという強みと、「グッズ」という以前から存在している商流にも対応できる強みがあります。
コンテンツ ディストリビューション本部は、文字通り「ディストリビューション」、つまり商材がデジタルであれ手に触れられるものであれ、世界に流通させていくインフラのような存在になっていきたいと考えおり、その「手段」として積極的に新たなテクノロジーの活用も考えていきます。

そういう意味ではMintoが、IPにとって空港のような存在になれると思っています。
国内線か国際線かはIPによると思いますが、クリエイターや版元が、「自分/自社のコンテンツをもっと知らしめたい」と思った際に真っ先に相談したい相手としてMintoが思い浮かぶようにしたいです。
さらに言えば、それは日本発に限らず、世界のどこかで同じニーズがある時に、「日本でないところから、日本も含めてIPを広げる」お手伝いも担える会社にしていきたいです。

後者については、いかに海外での存在感を高めていくかという壮大な話です。
そして、上述したように自分としては、「(日本にとっての)海外ビジネスの難しさ、怖さ」を多少は知っており、怖いなという気持ちもあります。
ただ、本気で目指したいこととしては、「世界のエンタメ、IPビジネスに携わる人がMintoを知っているけど、実はMintoが元々どの国の会社か知らない」、それくらい業界において当たり前の存在になりたいと思っています。


Mintoでは、様々なポジションで採用活動を絶賛実施中です。
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Mintoの会社紹介はこちらです。



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