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【過去記事】「オタクがやれば<物置>ができるだけ」か。「本物を見ることができる衝撃は大きい」庵野秀明が筆者の取材に語ったMANGAナショナル・センター構想の希望と「物置化」を防ぐ解決すべき問題点

【過去記事】「オタクがやれば<物置>ができるだけ」か。「本物を見ることができる衝撃は大きい」庵野秀明が筆者の取材に語ったMANGAナショナル・センター構想の希望と「物置化」を防ぐ解決すべき問題点

数日前から「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)を整備するため、各党で党内手続きを進めることを確認したことが、報じられている。

その意義や問題点。そこに動く人士の姿は、今後、書いていくことになるだろう。そこでひとまず一昨年に提示された、この計画に対する拙文を掲載する。
果たして、ここで記された問題点は、改善されているのだろうか。

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コミックマーケットを追って20余年

「マンガ・アニメの表現の自由」は社会運動から歪んだ形の運動に

コミックマーケットを追って20余年 「マンガ・アニメの表現の自由」は社会運動から歪んだ形の運動に

「これは、大変な仕事を受けてしまったな」

 8月半ば、中国地方の山間部の地方都市で取材の最中、清田編集長からの電話を切った後、私はふと陰鬱な気分になった。

「恒例ともいえるコミックマーケットや表現の自由の現状について、書いて欲しい」

 それが、今回依頼された原稿のテーマであった。年2回開催されるコミックマーケットに、足を運ぶのは私にとって恒例行事となっていた。様々な個々人が思いを綴る同人誌。

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コミックマーケット「なんでもアリでいい。右も左も、やおい好きもロリコン好きもいて、なにがいてもいいじゃないですか」

コミックマーケット「なんでもアリでいい。右も左も、やおい好きもロリコン好きもいて、なにがいてもいいじゃないですか」

米澤嘉博「カリスマになったって、ロクなことないよね」

「最初は参加者も800人程度のちょっとした集まりだった。ここまで大きくしようとして始めたわけではないんですよね」

 年2回催される同人誌即売会「コミックマーケット」。昨年12月の第69回の来場者数は延べ35万人。かりに1人あたり1万円分の同人誌を購入するとして35億円。さらに、印刷業者など関連産業を加えれば、途方もない市場だ。また、今や漫画

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しずかちゃんが黒ベエに犯され喰われる。真のパロディ作家:エル・ボンデージの底知れぬヒロイン愛

しずかちゃんが黒ベエに犯され喰われる。真のパロディ作家:エル・ボンデージの底知れぬヒロイン愛

【作者註】過去記事としてアップしたのですが、読み直しているうちに、もっとちゃんと書かねばと思ったので、近々改稿します。

エル・ボンデージ氏のTシャツは常に本人の「好き」を現している。

ヒロインに対する愛は、縛り、犯し、喰らうという表現で昇華される。それは、果たして「異常」なのだろうか。

 2015年12月に40周年を迎えたコミックマーケット。29から30日まで開催されたコミックマーケット89

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コンビニの成人向け雑誌を利用する堺市の「人権」パフォーマンス

コンビニの成人向け雑誌を利用する堺市の「人権」パフォーマンス

 大阪府堺市が3月から始めたコンビニエンスストアの成人向け雑誌に対する新たな「規制」をめぐり、出版業界との間に深刻な対立が起こっている。「人権」が絡んだ途端に思考停止する堺市行政の体質が原因なのか、既に2カ月あまりに及ぶ問題に解決の糸口は見えていない。
 
 問題の発端となったのは、3月16日に堺市が始めた「有害図書類を青少年に見せない環境づくりに関する協定」だ。これは、堺市の呼びかけで市内のコン

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フランスパンが武器? チュニジアから来たスーパーヒーロー「キャプテンゴブザ」

フランスパンが武器? チュニジアから来たスーパーヒーロー「キャプテンゴブザ」

 海外からの出展者が目立った東京国際アニメフェア(以下、TAF)2012。その中でも、一際目を引いたのが、チュニジア大使館のブースだ。

 ほかの出展国を見てみると、フランス・スイス・フィンランドとそれなりにアニメ産業もあり、日本に売り込むコンテンツもあるだろうと納得がいく。しかし、チュニジアとアニメーションは、これまでの経験則ではまったく結びつかない。いったい、どんなコンテンツを持っているのか、

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屠場は本当に美しかった! 今夜は焼き肉にしたくなるドキュメンタリー『ある精肉店のはなし』

屠場は本当に美しかった! 今夜は焼き肉にしたくなるドキュメンタリー『ある精肉店のはなし』

 2013年10月のことである。
 取材に出かけた東京国際映画祭で、映画界に名を知られる名編集マンの鵜飼邦彦に会った。

 日活で鍛えられた鵜飼の編集は、間違いなく神の領域である。

 いつだったか「どうか来て頂けませんか」と出かけた映画の試写会。もしかすると、どうしようもない無駄な時間を過ごすことになるのではあるまいか。そう思って、陰鬱な気分で会場に入った。そのロビーに鵜飼の姿を見つけた。

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無人駅で孤独に過ごす贅沢な一夜
鉄道旅行の至高の楽しみ方・駅寝を実践しよう!

無人駅で孤独に過ごす贅沢な一夜 鉄道旅行の至高の楽しみ方・駅寝を実践しよう!

 旅行はしたいけれど、カネはない。
時間はやりくり次第でなんとかなるものだけれど、移動にも三度の食事にも、カネがかかるもの。特に、無駄に感じるのは宿代である。

露天風呂を楽しむとか、上げ膳据え膳で豪華な食事に舌鼓を打つのでなければ、寝るためだけに宿代を支払うのは勿体無い。

 そこで挑戦してみたいのがSTB、station bivouac(ステーション・ビバーク)、すなわち、駅寝である。

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ほとんど外国人が勘違いした日本仕様  赤坂にあった元祖・高級吉野家の伝説

ほとんど外国人が勘違いした日本仕様  赤坂にあった元祖・高級吉野家の伝説

 2013年10月11日から国会議事堂の衆議院敷地内で営業が始まった牛丼チェーンの吉野家・永田町一丁目店。

 その目玉商品となったのが、国産和牛をふんだんにつかった「牛重」だ。

 立派な重箱に入った、殺伐とかきこむドンブリとは、ひと味異なる値段は1200円。

 和牛をふんだんに使っているのだから、当然だ。国会見学の名物になるかと思いきや……。

 一般の国民が、この牛丼を食べようとすれば国会

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