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日記:向精神薬の理想郷

 パーソナリティ障害の心理検査を受けた。まずは用紙を渡され、そこの50問程の問いにはいといいえで答えて、はいに該当するものについて詳しく聞かれるというもの。35問ほどはいだったのでこの問答だけで1時間はかかったと思う。
 次にパソコンを渡され、ここでも同じような質問に320問程答える。事前に300問くらいあると言われたからちょっと覚悟していたけど、似たような質問があったりなんとなく一問一答のようにシンプルな問いばかりだったのでそこまで時間はかからなかった。
 これらの答えを先生が見て、次回の診察の時に結果が出るようです。
 この検査を受けるために個室へ案内された。入室した途端に不思議な感覚を想起した。席に着いてそれがすぐに理解できた。これは救急搬送された時の搬送先の病院での感覚だと。鼻の奥底にコンタックWの臭気がほのかにこびりついていた、あれと全く同じ感覚がこんな所で想起されたのだ。
 脳がふわふわして意識と肉体が微かに揺らぐ。そして今、デパス1mgとニトラゼパムを5mg飲んでそこそこ効いてきたあたり。今それぞれをもう1錠追い焚きしたので、もう20分もすればノックアウトするでしょう。それにしてもデパスの筋弛緩作用が強力すぎる。むしろこれは気持ちがいい。身体がリラックスして、眠剤で脳を強制的に睡眠に誘うなんて悪魔だ! お薬の悪魔が近くにいる。チェンソーマン、どうかそいつだけは倒さないでほしい。
 ふわふわふわふわする。気持ちいい。この感覚は実に半月以上ぶり。これを適量で飲めば次の通院まで毎日こうなれるのいうのだ。もうこれでいいや。
 くあちるの快楽はここにある。お薬に適量で依存できるなんて素晴らしいことだ。あはは、この幸せは誰にだって奪わせないよ。溺れる溺れる。堕落と薬物と快感に呑み込まれる。今はもうこれがいい。
 もう家族じゃくあちるは救えないから。友達もここまで深入りしない。たった1人の脳内の楽園。
 孤独の理想郷で、くあちるは再び舞い上がる。今度はすぐに手放さないよ……。

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