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発達障害を持って、子どもに関わる仕事をして、考えていること


https://news.yahoo.co.jp/articles/4bef76c595f80728cf51624d071d3cd6f4d6b8d1


この記事を読んだら、全く他人事ではなかったので、少し思いの丈を整理しようと思って書き始めました。


①そもそも何者だお前は。
臨床心理士と公認心理師の資格を持って、ADHDの診断を受けてて(服薬中)、現在放課後等デイサービスで指導員やってます。児童発達支援教室にも関わったり関わってなかったり。ちなみに前職は児童福祉施設でした。そこでは4年くらい勤めてました。
前職勤務中だった4年くらい前にいろいろあって、精神科を受診。鬱ではあったんですけど、その時に幼少期のエピソードを整理してたらあれ……?と思うことが多かったので検査したらADHDの診断が降りました。現在は鬱に関してはだいぶ減薬できてて、ADHDに関しては服薬継続中です。

②自分の特性について簡単に。
・ワーキングメモリーがとても弱いタイプ。でも長期記憶に移行してしまえばまあまあ強いほう。
・タスク管理が下手くそな上にタスクの細分化も苦手なので、段取りの見通しを立てれないと静かに脳内でパニックを起こしてる(眠れなくなる)。でも段取りさえできれば過集中に入るのですぐ終わる。
・協調運動が死ぬほど苦手。子どもの頃から板書や教科書の文章をノートに書き写すことができなかった。大人になってパソコン使ったらちょっとましになった。今も昔もよく転ぶ。最近も階段から転がり落ちたりしてる。
・期限とか守るのも苦手ですが社会人になるとそうも言ってられないので、その3日前に個人的に設定してそこまでに終わらせるなどしている。ギリギリ間に合ってしまうという誤学習で大変な目には何度か合ってる。学生の頃とか。


③心理学勉強してたのに、なんでアラサーになるまで気づかなかったん?
全ては自分の努力不足だと思っていたからです。
あまり育ちのせいにはしたくないけど、「○○ちゃんはできてるんだからあなたが出来ないのは努力が足りないから」「妹や弟だって出来てるのに、お姉ちゃんであるあなたが出来ないのは恥ずかしいことだ」と言われることは多々あったので、自分は能力もないし努力できる根性もない、どこに出しても恥ずかしいダメな人間だと思っていました。だってどんなに頑張っても、先述のハンデのおかげで周回遅れなんですよね。で、周回遅れの状態が続いている限り文句を言われ続けるので、途中から走ることを放棄しました。皆さんのおっしゃる通りダメな人間なので、もう走れません。ってなったのは高校生の頃でした。まあ、そこから診断が降りるまではもう10年ほどかかるんですけど。話すと長くなるのでまた別の機会に。

④なんでこの業界に?
元々は、特別支援学校の教員になりたいななんて思ったりもしたんですけど、教員になるにあたっての教育実習で、まず「ひとりで30人相手にするのは、わたしには無理だな?」と気付きました(遅い)
自分の経験から、学級とか集団の流れ、動きに乗れない子どものこと、特にそのことへの疎外感、重圧みたいなものを感じて困っている子どもに対して、何かできることはないかと思っていて、そういう子の支えになるなんて言うのは烏滸がましいけど、そういう子がほっとできる居場所を作る仕事がしたいって思っていたんです。そんな自分の気持ちにぴったりハマったのが、今わたしがいる放課後等デイサービスでした。

⑤今の場所で働くまで
前職に在職中に診断を受けたので、そこでは特に何も言うことなくやってきました。でも、転職活動をするときは最初から、ADHDであることをオープンにして臨みました。
理由としては、主に発達支援、障害児支援の仕事をターゲットにして転職活動をする上で、当事者と専門家を兼ねていることは、少なくともマイナスにならないはずだと(その時は)考えていたからです。
もちろん、いろんな反応をいただきました。面接の中でカミングアウトしたら、そこまで弾んでた会話がぴたりと止まってしまったこともあったし、逆に身を乗り出していろんな質問を投げかけてくれる人もいました。どちらの反応も粛々と受け止めて、いくつか内定をいただいた中で、今の事業所に転職。そこから2年弱経ちます。
今の職場では、パートさんを除く社員さん数名だけには伝えさせてもらっています。

⑥実際働いてみて、今どうですか。
正直に言えば、ご迷惑をおかけした所もたくさんあると思っています。なにぶん、不注意が強めでミスは多かったので、やらかしては対策をするというのの繰り返しの積み重ねで今日があるというところです。それでも続いているのは、前職も子どもに関わる仕事だったし、あとは自分自身が積み重ねてきた知識で毎日戦っている気分です。あとは、他の人が忘れてることや見落としてること、困っていることがあったら誰よりも全力でカバーすることを自分自身に課しています。なんとかトントンになっている……と思いたい。任される仕事の量はどんどん増えているから、ある程度の信頼を得ていると信じたいところです。
障害の有無に問わず、人はミスをするものです。そのミスをカバーし合うのが職場というチームだと思っています。だけど、ADHDをオープンにしている今、自分がミスすると「あーやっぱり障害があるとそういうことになるんだ」という空気になることを感じることが時折あります。同じミスを他の人がやっても、それとは意味合いが変わってしまう。そういう時、カミングアウトしたことを少しだけ後悔することがあります。それでも粛々とやるしかない。今、職場に来ている子どもたちのように療育を受けてきたわけではないけれど、その代わり自分の力で生き延びた経験と、それなりに努力して積み重ねた知識があるので、それでこれまでやらかした分以上の仕事をしていきたいと思っています。


⑦冒頭の記事を読んでどう思った?
「障害がある」とわかった時点での退職勧告はまずかったんじゃないかと思う。「あなたの行動や特性が、職場というチームに何か影響を及ぼして、安全な保育に支障を来しているから辞めてください」というのなら仕方のない話だけど、「障害あるなら辞めてください」は、障害という枠を雑に扱い過ぎていると感じる。
この女性が、どんな働きをそこでしてきたのかはわからない。実際に職場で何か(本人の自覚の有無とは別に)トラブルがあったのかもしれないし、そうではないのかもしれない。でも今回の記事を読む限りではそう思いました。


⑧僕ら当事者件現場の者として、どうしていったらいい?
まあ障害ある人に我が子を預けるのは不安よね、というのはわかる。よくわかる。
でもじゃあ、障害のない、定型発達の人が命に関わるミスをしないのか、ミスをしたとして誠意を持って対応する人が100%なのかというと、たぶんそうではない。
さっきも言ったけど、人間はミスをする。その上発達障害があると、ミスをした時の周りの空気の冷え込み方が普通の人のそれよりも-2度くらいになる(当社比)。その上で僕らにできるのは、

・同じミスをしないために死ぬほど対策する
・最初からミスを減らす努力をする(この姿を周りに見せるだけでだいぶ違う)
・やらかしたらすぐ謝る。そして対策
・他人のミスには寛容であれ。そのカバーは買ってでもしろ

ヤフコメ見ると、「障害がある人が仕事出来ない分、周りが割を食ってるんだよ」的なコメントが多かったんですけど、それは当事者が念頭に置いて、その上でできることを積み重ねていくしか明日はないと思うのです。
「命に関わる仕事(医者や看護師)にはつかないでほしい」というのも、わかるんだけど、そこをふるいにかけるのは適性検査や採用試験の仕事なのではないのかな……?

⑨これからどうしたい?
できることなら、なるべく長くここでやっていきたいなあ。
私は自分がちゃんと職場、社会に貢献できることで、「障害があっても、子どもの頃にできないことだらけでも、積み重ね続ければ大人になれるし、働いて生きていけるよ」っていうことを、今職場に来ているような子どもたちにちゃんと伝えたい。そのために、「大人になった時、社会に出た時、どんな力が必要か?」というのを身をもって体験して、それを余すところなく伝えたい。そう思っています。
子どもの頃は、生きてるだけでこんなにしんどいなら、もう大人になんてなれなくていいって思っていたんですけど、大人になったら、自分で選べることがたくさん増えて、本当に生きるのが楽になったんですよね。それを伝えて、そのために一緒にいろんなことを積み重ねていく大人でありたいです。




というわけで、記事を読んだ感想だけで突っ走って書いてしまいました。誤字脱字は仕様です。察してください。
Twitter以外のリアルなお知り合いへ。身バレある程度上等で書きました。読んでしまったら正直に教えてください……無言で読まれてるのが一番怖いです……

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