喜憂たま

40年間切れ目なく飼っていた動物たちもみんな天国にいってしまい残された飼い主はすっかり…

喜憂たま

40年間切れ目なく飼っていた動物たちもみんな天国にいってしまい残された飼い主はすっかり高齢になりもうペットを飼うことを諦めました。そこで書きためた小説なんぞをいじくり始めました。書き手は老妻ですが、爺が配信します。 よろしくご贔屓に。感謝!

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  • つぶやき散歩

    あれやこれや散歩の時に撮った写真など。

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    ホラー、童話、その他。

  • 中編ホラー小説 【香りに関する一考察】

    ほどほどの長さのホラーです。 それでも長い人には長いと感じるかも知れない。

  • 長編ホラー小説 【幽霊のかえる場所】

    オリジナルの長編小説です。 Web向きじゃないかも知れませんが敢えて無謀な挑戦しました。 内容は肩の張らないエンタメなので怪奇、推理好きな方はどうぞ!

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長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第四章

阿佐野桂子    第四章白色水干姿の宝子  今年の誕生日祝いは宝子ちゃんがお山に行く前日に行われた。これから修行に行く子に服はないでしょう、と麻利亜さんが言うので宝子ちゃんが母親名義で利用しているネット・バンクにお金を振り込んだ。これならお山に行っても使える筈だ。  賀茂さんのお願いを快く引き受けてくれた銀嶺ことお銀さんはこれから大口真神に出仕する宝子ちゃんの為に白い水干を用意してくれた。お銀さんが大急ぎで手縫いしてくれたものだ。  水干を着た宝子ちゃんはお人形さんみた

    • 長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第三章

      阿佐野桂子     第三章 英語の原書を読む二歳児  十二月二十四日は特別な日だ。クリスマス・イヴとは関係ない。将来賀茂さんより強力な霊能者になるであろう宝子ちゃんの二歳の誕生日だ。  二十三日の夕方、僕は出勤前に麻利亜さんと一緒にデパート巡りをしていた。宝子ちゃんの見掛けは二歳児だが中身は超早熟児だ。オカルト本を英語の原書で読んでいる。誕生日プレゼントに何をあげたらいいのか悩む。  いくら早熟でも女の子は可愛い服が好きよ、出産の時にも産着セットをプレゼントしたんだし

      • 散歩道、誰彼エゾスカシユリ。

        • 散歩道、エゾスカシユリ。

        長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第四章

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        • 中編ホラー小説 【香りに関する一考察】
          3本
        • 長編ホラー小説 【幽霊のかえる場所】
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        記事

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第二章

          阿佐野桂子    第二章 『三峯神社』の神使い達  四月から五月の連休を外して僕と麻利亜さんは秩父の『三峯神社』にハイキングに出掛けた。ここは狛犬ならぬ白い狛狼が御神体の前に控えている。  現在は関東地方のパワー・スポットとして有名だ。本殿は平日にもかかわらず結構な人出だが、奥の院までの道のりは「熊出没」の看板もあって殆ど登山コース状態だ。  熊避けの鈴を鳴らし、ふうふうと息を弾ませまがら到着した奥の院はとても小さな社があるだけだった。しかし眺望は素晴らしい。  ニホ

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第二章

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第一章

          阿佐野桂子     第一章 『三峯探偵社』  僕は五百年以上生きている吸血鬼で、現在は吸血鬼集団が運営する『バイオ・ハザード』社日本支部傘下の『世界文献社』でオカルト雑誌の編集者をしている経緯は以前述べた。  僕等は常に目立たないようにひっそりと生きている。故に、傘下の企業も常に二流三流を目指している。上層部には吸血鬼の仲間が納まっているが、他の社員は普通の人間だ。  人間は寿命が尽きれば死んでしまうが僕等は歳を取らない。ただそれでは疑われるので外見だけは年齢相応に取

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第一章

          つぶやき (2)

          明日から長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】の配信が始まります。週一の予定をしております。前作同様の分量ですがよろしくご贔屓ください。

          つぶやき (2)

          つぶやき ♪ ⑴

          やっと目次機能を理解できた。 少しは読み進めやすくなったかなあ。

          つぶやき ♪ ⑴

          六道説話 【夢幻界域】

          阿佐野桂子 【地獄】 燃え盛る炎の中で苦しい、痛い、自分だけは見逃してくれ、と亡者は叫ぶ。最早叫ぶ気力も失せて茫然自失し、目の焦点も合わずにへたり込んでいる者もいる。  自分だけは見逃してくれ等とほざいている連中は地獄の沙汰も金次第、と思っていたか、未だに罪を自覚していない連中だろう。  そもそもなぜ自分が地獄に堕とされたのか未だに理解していない。燃え盛る炎は自ら招いた業火であり、消すことが出来るとしたら己自身だ。未だに脱出した者はいない。  筋肉隆々、赤金色の異形の獄卒

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          童話 【星裁判】

          阿佐野桂子 「向こうへ行ったら礼儀正しくしなくちゃいかんよ。ケベル博士は今世紀最大と言われる程の天文学者だし、私が若い頃の先生でもあるのだからね。長居をしてご機嫌を損じてはいけないよ」  私の天文学の先生であるパスカ先生は、こう言いながら紹介状を入れた封筒をくださいました。それを懐に大事に仕舞い、大急ぎで汽車に飛び乗り、ジョサンヌの街に向かったのです。    ジョサンヌの街は黄金色のミモザの花が咲き乱れ、そのミモザの花を分けるようにスックと建っている白亜の洋館がケベル先生の

          童話 【星裁判】

          ホラー中編小説【香りに関する一考察】 第三章

          阿佐野桂子    第三章 能代家幻想  タクシーで走り去る雅紀の後頭部をしっかり確認してから僕は引率の中田先生に電話を入れた。先生には事の次第を詳しく説明する必要はない。「御心配掛けましたが無事羽田に向かいました」とそれだけでいい。  僕と先輩は緊張から解き放たれてマンションまでの道をゆっくりと歩いた。東京の桜はすっかり葉桜になっている。北海道に桜前線が到着するのは後一ヵ月弱かかる。  桜前線北上と聞くといつも桜の木が津軽海峡を大股で歩いて渡って来る場面を想像してしま

          ホラー中編小説【香りに関する一考察】 第三章

          ホラー中編小説【香りに関する一考察】第二章

          阿佐野桂子     第二章 真っ赤なドレスの女  五月病に罹るのはいきなり違う環境に放り出されて途惑っていたり、受験で燃え尽きてしまった連中だ。そんな状態で一人でいると鬱になる。  我が映研はそんな連中をしっかりと大学に繋ぎ止めておく役目を果たしている。部員はふらっと部室に立ち寄り、居合わせた部員と一緒に映画を見てささやかな感想を述べ合う。   広い構内で見知った顔に会って食堂に行ったり立ち止まって話しをする。それだけでも孤独は癒される。知り合いの知り合い繋がりで友人

          ホラー中編小説【香りに関する一考察】第二章

          ホラー中編小説【香りに関する一考察】第一章

          阿佐野桂子 第一章二卵性双生児  その頃僕達が住む北海道の地域は既に雪で覆われていた。人声も車の音も雪に吸われてしんとしていたはずだ。三が日は除雪車が走る地響きしか聞こえない。  生れたのは旧市立病院の産婦人科だが、新築された市立病院には産婦人科はあるが子供は産めない。午前中一日おきに派遣医師が来るだけで、市内に唯一の個人病院で生むか、隣りの市の市立病院で生むしかない。  病床数も減ったし、分娩室も新生児室もない。産婦人科の医師の確保が難しく、そもそもの設備投資を諦めてし

          ホラー中編小説【香りに関する一考察】第一章

          短編ホラー【ここで遭ったが百年目】

          阿佐野桂子 昌美の夢  新宿の裏道で友人二人と一緒に姓名判断の易者に見て貰ったのが始まりだった。  一人は漫画家としてデビューしており、もう一人はフラワー・アレジメントの学校で助手をしている。  二人とも順調に行けば前途洋洋で、特に漫画家の子は、まだ二十歳なのにファンからは先生と呼ばれている。  その中で一般事務職、夜は清掃のアルバイトをしている昌美は一番地味だ。  但し、どういう訳かいつも切れ者に見える雰囲気を醸し出しているようで、有望株の二人を差し置いて一匹狼で名を残

          短編ホラー【ここで遭ったが百年目】

          【幽霊のかえる場所】 第五章

          阿佐野桂子    第五章 横浜たそがれ  名古屋駅から新幹線に乗って横浜へ向かう途中、賀茂さんのスマホに着信が二つあった。一つはこれから向かう横浜支社から、もう一つは名古屋支社からだ。  名古屋支社では上田さんのデスクの上に「伊藤さんの遺灰」と書かれた膨れた御札が突然出現して支社は一時大騒ぎになったとか。  案内人が呼ばれ、急遽お酒を用意したが、酒は減ることはなかった。ただ水に変わっていたとかで、これまた大騒ぎに。名古屋にお出での時は是非お寄り下さい、と懇願されたそう

          【幽霊のかえる場所】 第五章

          【幽霊のかえる場所】 第四章

          阿佐野桂子     第四章大阪の女  大阪で僕達を迎えてくれたのは意外にも鈴木愛恋だった。容貌はともかく、小柄な体から辺りにフェロモンを撒き散らしている。大根足は相変わらずだ。  最初に会ったのは本社見学会に愛恋が参加した時だ。こいうフェロモン系の女子は他の女に嫌われる。見学者の列の後でぽつねんとしていた姿を思い出す。  まだ二百年プラスαの若い吸血鬼で江戸時代には湯女をしていたそうだから客あしらいには長けている。お前も転勤組か、と聞こうとしたが、僕の姿は見えないことに

          【幽霊のかえる場所】 第四章