喜憂たま

40年間切れ目なく飼っていた動物たちもみんな天国にいってしまい残された飼い主はすっかり…

喜憂たま

40年間切れ目なく飼っていた動物たちもみんな天国にいってしまい残された飼い主はすっかり高齢になりもうペットを飼うことを諦めました。そこで書きためた小説なんぞをいじくり始めました。書き手は老妻ですが、爺が配信します。 よろしくご贔屓に。感謝!

マガジン

  • 中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】

    幻の鳥、絶滅した鳥、ドードー鳥の物語です。

  • ピン留め動画

    繰り返して見たい動画、あるいは勉強の動画。

  • 短編集

    ホラー、童話、その他。

  • 長編ホラー小説 【続・幽霊のかえる場所】

    長編ホラー【幽霊のかえる場所】の続編です。 エピソード集のような展開になっていますが、新味も盛り込みました。

  • つぶやき散歩

    あれやこれや散歩の時に撮った写真など。

最近の記事

中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】 (5)

阿佐野桂子 島の外へ  オーロックスが物思いに沈みながら山を下っている頃、龍とドードー鳥は呑気に散歩を楽しんでいた。急ぐ様子もないから、少なくとも見た目は呑気そうだが、どこか緊張した様子が覗える。  龍はいつになく険しいと言える程の表情だし、頭の上のドードー鳥は心ここにあらずの感じでぼうっとしている。島を一周し終わったのにまた同じ道を辿り始めているのも他に気を取られている証拠だった。  島の北側に着いた。温度が低くなったのでそれと分る。北側の海岸線は切り立った岩に囲まれて

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      伊藤貫×吉野敏明対談 米国トップ1%に集中する富 日本が目指すべき中立主義とは

      米国トップ1%に集中する富

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        伊藤貫×吉野敏明対談 ユダヤ人への幻想と選民思想の実際 ユダヤ人との議論から導いた真実

        ユダヤ人への幻想と選民思想の実際

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          伊藤貫×吉野敏明対談 イスラエルの定義と歴史から見る腐敗しきった政治と世界情勢

          イスラエルの定義と歴史

        中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】 (5)

        • 伊藤貫×吉野敏明対談 米国トップ1%に集中する富 日本が目指すべき中立主義とは

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        • 中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】
          5本
        • ピン留め動画
          7本
        • 短編集
          4本
        • 長編ホラー小説 【続・幽霊のかえる場所】
          5本
        • つぶやき散歩
          4本
        • 中編ホラー小説 【香りに関する一考察】
          3本

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          Vittorio Camardese ospite a "Chitarra Amore Mio" (RAI-1965) LA NASCITA DEL TAPPING

          今ではギターのタッピング奏法は誰でもやるが、エレキギターがまだ普及していない時代にこのタッピング奏法をアコーステイックで始めたのは驚くべきことである。世界は広いのである。

          Vittorio Camardese ospite a "Chitarra Amore Mio" (RAI-1965) LA NASCITA DEL TAPPING

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          GEORGIA | "The House of The Rising Sun" by The Animals | The Voice Kids Germany 2022 | 11-years old!

          世界は広い。驚くべき才能が数多存在する。それを見つけたときの感動は誰かに伝えたくなるね。

          GEORGIA | "The House of The Rising Sun" by The Animals | The Voice Kids Germany 2022 | 11-years old!

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          【あの人に会いたい】

          タレントとか俳優とかファンになることは殆んどないが、たまに驚くくらいのすごい人を見つけることがある。そのひとりが笠智衆。映画の中で不自然なくらいに自然な存在なのが実に驚きなのであった。 似たような発見は田中絹代を見た時も同じ感覚を覚えた。不思議なことにこのインタビュー動画で田中絹代の名前がでてきて少々驚いた。

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          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】(4)

          阿佐野桂子 溺れるドードー鳥  もし運良くオオウミガラスが通り掛からなかったら、ドードー鳥は永久に海の底で自分の愚かさ加減を反省する破目になっていただろう。魚が跳ねたのはオオウミガラスとステラーカイギュウがこの海域を通行中だったからだ。 「まさか海の中であんたに会うとはね」  とオオウミガラスが軽口を叩いたが、助け上げられたドードー鳥は砂浜に寝かされて虫の息で、軽口に返事をするどころではなかった。たっぷり海水を飲んだので怒ったフグのように脹れている。 「まず海水を吐かせて

          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】(4)

          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】(3)

          阿佐野桂子 ニッポニア・ニッポン  さてそれから、またドードー鳥はふうふう言いながら棲家に戻った。頭の中には疑問符が沢山詰まっていて、それを一つ一つ考えながら歩いていると戻りの道も苦にならない。天気が良かったから尚更だった。  一日目が過ぎ、二日目は小雨がぱらついた。龍が空中を移動したのだ。どこへ行くのかな、とぼんやり見上げていると当の龍が目の前に現われた。ドードー鳥の不在に痺れをきらして迎えに来てくれたらしい。 「もう、いつまで留守にしているつもりですか。体が埃だらけで

          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】(3)

          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】(2)

          阿佐野桂子 龍が神様だったころ  日が昇った草原は朝霧が光っていて、まるで緑の宝石箱だ。空を飛ぶ虫達の軽く快い羽音や、地を這う虫達の密やかな足音が聞える。  夜通し咲き続けていた花達は朝露で眠気を払い、これから咲こうとしている花達はその同じ朝露の冷たさにはっとして目を覚ます。  草原から潅木の林、さらに喬木の森に視線を伸ばせば、朝の身繕いを終えた活発な小鳥達が木から木へ飛び交う姿が見える。甲高い叫び声から愛らしい囁きまで聞えて来そうだ。  今日の一日の天気を知りたいならば

          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】(2)

          中編ファンタジー 【ドードー鳥、見つけた】 ⑴

          阿佐野桂子 伝説の龍  実際そいつは困ったやつだった。  遥か天空でイトミミズみたいにくねくねしている時は、まあいい。   空の一画が突然として一筆書きの抽象画になってしまうのは何とも妙な気がするものだが、それならあえて空を見なければよろしい。  大体の者は主に自分の目の高さを基準にして見て暮しているから、しみじみ空を仰ぎ見るなんて一日に一回か二回くらいだろう。  従って無視しようと思えば無視できるし、忘れてもいられる。しかし、かのイトミミズはやがてのろのろと動きを止める

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          掌編小説 【九品寺幻想】

                   阿佐野 桂子  私は僧堂の片隅で女を待っている。  降り始めた雨の中、女は顔を上気させ、小走りに駆け寄って来る。その手首には白い念珠が絡みつき、女の手を一層細く見せている。 「遅れてしまいましたわ、御免なさいね。庵主様のお話がいつもより長かったんですの」  私は女の髪の雫を手で触れる。 「いったいどんな事をしているの、会というのは?」 「信者の方の信仰告白と言うのかしら。私はこうこうです、という発表があって、その後庵主様がそれについてお話なさるのよ」 「

          掌編小説 【九品寺幻想】

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          【特別無料公開】養老孟司×東畑開人「心の悩みの現在地」

          無料期間が過ぎてしまいましたので冒頭部分のURLを貼り付けます。 https://www.youtube.com/live/OFUqeWVvoxQ?si=CtNnop-TYJ2LlOc7

          【特別無料公開】養老孟司×東畑開人「心の悩みの現在地」

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          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第五章(最終章)

          阿佐野桂子     第五章お銀さんの縁談  あずみんは九月からフランス人が経営する洋菓子店で隔日三時間のバイトを始めた。バイトのある日は大急ぎで帰って謙信が用意しておいてくれたご飯を鱈腹食べてから出掛ける。 「謙信、ご馳走様でした」と殊勝な声が聞えるから、賀茂さんの説教が効いたのだろう。あずみんが少しでもぶつくさ言うとすぐに飛んで来たつくもさんも最近は姿を現さない。  賀茂さんって、やっぱり凄いわね。つくもさんも安心してあずみんを預ける気になったみたい、と麻利亜さんが感

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第五章(最終章)

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第四章

          阿佐野桂子    第四章白色水干姿の宝子  今年の誕生日祝いは宝子ちゃんがお山に行く前日に行われた。これから修行に行く子に服はないでしょう、と麻利亜さんが言うので宝子ちゃんが母親名義で利用しているネット・バンクにお金を振り込んだ。これならお山に行っても使える筈だ。  賀茂さんのお願いを快く引き受けてくれた銀嶺ことお銀さんはこれから大口真神に出仕する宝子ちゃんの為に白い水干を用意してくれた。お銀さんが大急ぎで手縫いしてくれたものだ。  水干を着た宝子ちゃんはお人形さんみた

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第四章

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第三章

          阿佐野桂子     第三章 英語の原書を読む二歳児  十二月二十四日は特別な日だ。クリスマス・イヴとは関係ない。将来賀茂さんより強力な霊能者になるであろう宝子ちゃんの二歳の誕生日だ。  二十三日の夕方、僕は出勤前に麻利亜さんと一緒にデパート巡りをしていた。宝子ちゃんの見掛けは二歳児だが中身は超早熟児だ。オカルト本を英語の原書で読んでいる。誕生日プレゼントに何をあげたらいいのか悩む。  いくら早熟でも女の子は可愛い服が好きよ、出産の時にも産着セットをプレゼントしたんだし

          長編ホラー【続・幽霊のかえる場所】 第三章