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デザイナーとして外資系コンサルティング会社に転職した話

3年間都内のデザイン会社に勤め、その後外資系サービス企業のコンサルティング系の部門に転職しました。デザイナー仲間の参考になればと、なぜ転職したのか、どんな環境なのかを綴っておきます。

目次
・そもそも選択肢としては考えてもいなかった
・求められる「デザイン能力」以外の力
・巨大な企業のメリット(とデメリット)
・まとめ:どんなデザイナーに勧められるか

そもそも選択肢としては考えてもいなかった

転職を考え始めたときから一貫して、職能としてはデザイナーでありたいと考えていました。ですから、コンサルティング系の領域など正直選択肢にはなかったのです。想像もしていなかった。

ただ、お誘いをいただいて話を聞きに行って、これは割と理想に近い環境だと気付きました。世間的にはシステム屋さんかもしれないですが、少なくとも自分からの見え方は「外資系の巨大コンサルティング会社」です。
ITテクノロジー企業としては世界最大級、強いビジネスコンサルティング能力を持っていて、自社で最先端技術の研究開発をしていて、一方でデザインという能力を重要なものとして位置づけている。
デザイナーとしてそんな環境を求めようと思ったのは「このままデザインのことだけ考えていていいのだろうか」と考えたからでした。

求められる「デザイン能力」以外の力

もちろん1人のデザイナーとして「デザイン能力」自体の重要性を否定したりはしません。そして私自身、優秀な諸先輩方に比べればまだまだヒヨッコで、仕事だって早くはない。引き出しだって少ない修行中の身です。転職の話を切り出したとき、当時の師匠にも能力不足を指摘されました。それは分かっています。そういう話ではないのです。「デザイン能力」だけではダメなのです。

昨今これだけデザインのビジネス活用が叫ばれている中で、デザイナー側がそこに感度が低くては仕方がない。デザインという営みと「ビジネス観点」は切っても切れない関係になっています。いえ、本当は昔からそうだったはずなんですが、ビジネス側のデザインに対する関心が高まっているがゆえに今は特にそれが強い、というのは誰も否定しないでしょう。アイデアは良い。UXとしては素晴らしい。だがどうやって稼ぐのか。サービスとしてどんな生態系を描くのか。そこまで考えなければアイデアはただの美しい思いつきでしかありません。
ITサービス界隈で生きるのであればここに「テクノロジー観点」も加わってきます。ブロックチェーン、AI、ビッグデータ。今後そういうものを扱うサービスのデザインをする上で、それらについて自分は知らなさすぎではないか。デザインファームという環境では、そうした知識を実務から得ることは難しく思います。

要するに、今後デザイナーとして生きていく上で「デザインを主軸にしつつ経営戦略の考え方や最新のテクノロジーの知見についても実戦で経験を得られる環境」が必要だと考えました。本を読むだけではなくて、実戦ができる場です。そんなデザイナーにとって、研究開発もしているITテクノロジー企業でコンサルタントと働ける環境というのは、まさに理想に近い

巨大な企業のメリット(とデメリット)

なんとなく周囲では「やっぱ自分で大きい責任範囲を扱いやすいベンチャーだよね」という空気があり巨大企業は敬遠されがちな雰囲気ですが、いいこともあります。列挙すれば…

1. 巨大なだけ人を育てる余裕がある
2. 豊富な研修、育成制度、その評価が仕組み・文化として整っている(自分の専門外のことも学べる)
3. 全体の母数が多いので優秀な人が絶対数として多い
4. どんなトピックでも社内に詳しい人が必ずいる
5.「自分の市場価値を高めるべし」ということを上司が遠慮なく言える

などなど。特に5は大きいです。出入りが多いからでしょうか。前職で「ここ以外でも通用するようなスキルを」などと公に言っている人なんて見たことがありません。でもこの観点は重要です。そういう前提で仕事を選ばないと、単純な案件の積み上げの先にしか自分の将来が作れない。

ちなみに責任範囲についてですが、会社としては確かに大きいもののデザインについて専門的に語れる人材というのは相対的には多くありません。だから社内的な需要は常に大きく、活躍する場も求められる機会もたくさんあります。そんなわけで、母体の大きさは(いまのところ)まったく問題になっていません。

デメリットとしては……ご想像のとおりかと思いますが、社内手続きなどは圧倒的に増えたような気がします。必要なソフトウェアの利用を申請するだけでもしばらくかかりますし、勤怠管理もかなりガッチリされています。もちろんこのあたりは遵法のために必要なコストですから、あまり改善を求めるようなものではありませんが。

まとめ:どんなデザイナーに勧められるか

何よりもまず、私と同じような危機感がある人に向いていると思います。コンサルタントと話をしているだけでも学びとして得られるものは大きいですし、研修も豊富です。専門外のことも気軽に学べます。
そして仕事の性質上、デザイナーにも相応のロジカルさを求められます。他の職種のメンバーとの協業が基本ですから、彼らに細かな意図をきちんと伝えられないと、しんどいと思います(このあたりについてはまた別途書きます)。

服装もある程度自由ですし、働く場所にも時間にも制限は特にありません。前職のデザイン会社も自由な方でしたが、それ以上に自由に働いている自覚があります。晴れた日には会社の近くの川辺でコーヒーを飲んで日向ぼっこしながら仕事してます。それくらい自由です。デザイナーは特にいま強く募集している領域の1つですから、ご興味のある方がいらっしゃればお声掛けください。

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