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転職はしなくていいから、転職活動はしたほうがよい

タイトルと同じセリフをもう100万回は口にしています。けどその背景まであまり細かく語ったことがなかった気がするので、一通り主張をまとめることにしました。転職活動というものの意義や捉え方、ざっくりとした進め方を実体験をベースに書いておきます。

誰に向けた記事か?

基本的に以下のような方に向けて書いていきます。

・転職活動をしたことがないが、気にはなっている
・気にはなっているが、具体的に動く勇気がない
・転職する気はないが、転職活動というものがどんなものかは知りたい

あとは……部下やチームメンバーが転職活動をしているらしいことを察したがどう捉えていいかわからない方にも、本当は読んでいただきたいです。

なぜ転職する気がなくても転職活動をした方が良いのか?

今と異なる基準での評価が得られる

もう、これに尽きます。この一言でご納得いただけるなら以降をお読みいただく必要はないです。

前提として、当たり前ですが企業や組織の中における人事評価基準というものは絶対的なものではありません。全国全世界にも、業界にも、地域にも、職種にも、共通するものはありません。上司が異なるというだけで変わることさえあります。世にあるあらゆる人事評価基準というのは、何かしら偏っているのです。

これを念頭に置いたとき、1つの基準で評価されることに最適化することのリスク、というものが顕在化します。今の組織に骨を埋めるつもりであっても、肝心の組織自体がいつまでもあるとは限りませんし、自分から抜けなければならない状況になることだってあります。特に1組織しか経験がない場合、その評価基準に偏ってしまうことは大きなリスクだと考えています。どんなに大きな組織に所属していようとも、終身雇用などという幻想を見ていられる時代ではないことに誰も異論はないでしょう。

往々にして組織の評価基準というのは、どんな人材になって欲しいか、結果どんな組織になっていきたいかということを反映しています(論理的にはそのはずです)。逆に言えば、1組織の評価基準に最適化するということは必然的にそのキャリア像という型枠に押し込まれてしまうということでもあります。組織が各職種のキャリア像を明確に持っていれば、まだいいのですが。まぁ、これも世の大半の組織においては恐らくは幻想であります。ですから、様々な視点を統合して、最大公約数的に自分でしっくりくるものを見つける以外にはないわけです。自分の人生の責任は自分しか取れません。組織の人事が取ってくれるということは絶対にありません。

その点で転職活動の最大のメリットは、他組織がどんな基準で人・職能を見ているのかを理解できることにあります。それは前述の通り、世の中の他の組織があなたのスキルや経験に対してどの程度の価値を置き、また(将来にかけて)どんなことを期待しているのかを知れるということでもあります。

世の中の期待がわかり、それが自分の希望と反さないならば、そうした経験を積めるプロジェクトに手を上げるなり、確信を持って勉強を始めるなりすればいいわけです。仕事が選べずとも、そこで学びとることの目標は立てられます。逆にこれがないと、漫然とただ目の前に降ってきた仕事をこなし、結果的に積み上がる形でしかキャリアというものを作れません。それは大きなリスクと見るべきです。
広い視野で積むべき経験・得るべきスキルを理解して行動した結果、今の組織に残ってもいいし、それらをより評価してくれる組織に移ったって構いません。

したがって、私の主張はタイトルの通りに「転職はしなくてもいいから、転職活動はした方が良い」となります。

まだ若く確固たるキャリアがないが大丈夫か?

大丈夫です(断言)。まぁ特徴的な経験をしていたり希少なスキルを持っていたりした方が、機会を得やすいのは確かですけど(そして自分の手持ちがいかに価値のあるものか、ということも実は相対的に外に出てみないと気付きづらいものではある)。

近年は特に転職というものが珍しいものではなくなってきています。売り手市場もしばらくは続くでしょうから、どこもかしこも慢性的には人手不足。ですのでカジュアル面談は申し込むと想像以上にあっさり承諾されます。

カジュアル面談というのは候補者に対するブランディング的な側面も大きいです。評価されるのは候補者だけではありません。逆も然りなのです。したがって、先々に向けての仕込みというのも重視されています(そのはずです)。
目先の仕事に充てられるかどうかということ以上に長期的な種まきの機会なのです。

興味がある、だがまだ経験が浅いため、どうすれば御社にふさわしい人材になれるのか情報収集している、というスタンスは歓迎されることはあっても、煙たがられるものではないはずです(もちろんそれが本心ならばの話ですが)。

今の組織にバレたらどうすればいいのか?

これ、常々思うのですが何が問題なのでしょう。
終身雇用が前提ならばまだしも、今はもうこんな時代です。自分のキャリア形成を真剣に考えて積極的に活動しているメンバーを冷遇する組織があったとして、そこに留まる価値ってなんでしょうか?
もちろん積極的に口外する必要もないでしょうけれど、その事実を叱責してくるような組織・上司にはどのみち未来などありません(過激派)

今の時代はどう考えても「組織外の環境でも通用するスキルを身につけること」が重要です。繰り返しになりますが、組織の評価基準というのは今(あるいは想定している範囲の未来)の環境を前提とした「なって欲しい人材像」を前提としています(そのはずです)。逆説的に言えば、環境の方が変わると求められるスキルが変わるわけで、「現組織の評価基準に特化した人材しかいない」状態というのは変化の多い時代においては単純なリスクでしかないと思います。

ですから組織がメッセージングすべきは

「他組織でも通用するスキルを磨け、その上でウチで活躍できる席を用意する」

というものであるべきで、これを理解できないところで働くのは……少なくとも個人的には御免被りたいです。

弊社ですか?弊社はこういうメッセージを組織のリーダーが公然と言える環境です。ご興味があれぜひとも。

何から始めたらいいのか?

細かいHow toは本題ではないので避けますが、おすすめはLinkedinですかね。
いわゆるビジネス向けのSNSで、海外ではFacebookがプライベート、こちらがパブリック、という使い分けをなされるようです。日本企業の案件はまだまだ少ない印象ですがこれから充実しそうな気もしますし、外資に興味があれば良い選択肢です。

いわゆるダイレクトな転職サイトではないので(ああは言ったものの)心理的なハードルという意味でも登録しやすいでしょう。誰かに捕捉されても言い訳はしやすいという点でも初心者向きです。私も結果的にLinkedinでお誘いいただいたところから入社が決まりました。

ちなみにですが、特に何か投稿しなければいけないという空気も感じません(もちろんするに越したことはないでしょうが)。ただ、最低限プロフィールはいろいろと充実させておくべきです。学歴・職歴・スキルなどなど。キーワードが引っかかれば、いわゆるエージェントや組織の人事の方からメッセージをいただけるようになります。まずはそこから

「カジュアル面談なるものをしてみたい」

と相談してみるのがよいかと。

何かに登録しなくても興味のある組織に知り合いが勤めているならば、その人を経由してカジュアル面談を申し込むのもいい方法です。きちんとした組織ならば人事に対応フローがあるので、スムーズにコトが運ぶでしょう。

ただ、いずれの場合もポイントとしては自分の意思を表明しておくことが重要です。まずはお友達から……と思っていたら突然告白されて(あるいはその気もないのに突然フラれて)困った、みたいなことは避けたいですよね。どういうスタンスで聞きたいか、それが先方の迷惑にならないか、はお互いのためにちゃんと確認しておきましょう

いつ始めた方がいいのか?

気になってきた? 素晴らしい、では今すぐに始めましょう

なぜかはお分かりですね。
そう、今後のキャリア形成、行動方針を決めていくヒントを得られるからです。早いに越したことはありません。私は1年目の12月から始めました。別に当時の会社が嫌になったからではありません。言った通り、単一の評価基準で測られることに迷いがあったからです。どこに所属していてもそうしたでしょう。

まだ悩まれるなら、いつも使う文句を置いておきます。

転職しようと思ってからでは遅い。
転職しなければならなくなってからでは、もっと遅い。

とはいえ……

これを執筆している2020年4月末現在、某感染症は相変わらず猛威を奮っているのですが、転職市場はどうなっているんでしょうね。新卒は特に採用などがいろんな面で縮小し始めてるらしいですが、果たして。
まぁ、そうした意味でも早く動いた方がいいと思われます。どんな状況であれ様子を見ていいことは、あまりないだろうというのが個人的な感想です。

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