論語と算盤と技術 ーー LayerX 入社エントリ
はじめに
LayerX の @qluto です。
今年4月に LayerX へ機械学習エンジニアとして入社しました。
ごく簡単にバックグラウンドをお伝えすると、これまで、機械学習エンジニアやエンジニアリングマネージャー(VPoE 的な役回りも)としての経験をそこそこ積んできたという感じのバックグラウンドを持ったという人です。
早くも3ヶ月近くが経とうとしており、入社前に LayerX に抱いていた気持ちや実際に入ってみて感じたことが言語化できるくらいに固まってきたので、筆を取っています。
「論語」と「論語と算盤」という書籍が両方とも好きなので、それに LayerX で感じたことを重ね合わせてのタイトルに仕立ててみました。
論語 -> LayerX の掲げる行動指針 "徳" に照らし合わせて
算盤 -> LayerX の掲げる行動指針 "Fact Base" や経済活動をデジタル化するというミッションに照らし合わせて
技術 -> LayerX の掲げる行動指針 "Bet Technology" に照らし合わせて
LayerX の魅力
まずは LayerX という会社自体への魅力を語ってみたいと思います。
人と組織に徹底的に向き合う姿勢
これは実のところ入社前にはそこまで強い印象を抱いてなかったポイントです。
もちろんオフラインイベントや選考までの過程で、目の前の一人ひとりに真摯に向き合っているなという感触はあったのですが、今ではそれ以上のレベルに感心しています。
リモートワークが歓迎(フルリモートの人も多くいます)であることをはじめとして、働き方の柔軟性はかなり認められています。
何かしらの情報バイアスに囚われてしまうのは人である以上仕方ないとしつつも、それに抗いながら良い意思決定をするためにはどうあるべきかということも経営・全社で日々語られています。
採用によって LayerX のメンバーが増えていけば何ができるようになるのか、なぜ必要なのかということも経営戦略と噛み合った形で整理されていることも強い組織を育むためのモチベーションにとても寄与していると感じています。
相互切磋琢磨の風土
LayerX での行動指針を具体化したものの一つに「凡事徹底」というものがあります。
LayerX には様々なバックグラウンドを持った人が集まっているのですが、その様々な人の経験やスキルに裏打ちされた凡事徹底な教えや背中を見ることで「私もそれが当たり前のようにできるようになりたい」「当たり前のレベルをもう1段階上げたい」という思いがおのずと募ってきます。
知的好奇心が満たされる環境
「交通費実費支給」などと書かれる要項の中にこんな項目が含まれる会社、珍しいのではないでしょうか。それも圧倒的とまで謳っています。
これはもちろん嘘ではありません。前述した相互切磋琢磨の話と相まって、毎日社内に様々な情報が飛び交っています。情報の透明性の高さがその意図的に高められたアクセシビリティによって支えられていることを毎日実感しています。
大規模な会社にてお互いがオープンなコミュニケーションを図り始めた時、あふれる情報にどう向き合うといいのだろうか?という疑問に対する一つのエピソードを引き合いに出してみました。
情報自体が淘汰を起こし、結果として重要な情報は生き残る。特別な需要がある情報も、然るべき人を通じて淘汰され結果として届くべき人のところへおのずと届く。SNS でいい情報発信をしている人をフォローしたり、興味があることを主体的に検索して調べたり、私たちが普段インターネットに向き合う姿勢が社内の情報爆発にも当てはめられるということですね。
情報の発信者と受信者がこういった考え方を前提に毎日コミュニケーションをとっているため、知りたいことへアクセスするための敷居はかなり低くなっています。
経営会議議事録から各チームの週報、はては個人の日報内のお気持ち表明のような柔らかいものまで。結果として組織のサイロ化に抗うことができているのではないかと感じます。
機械学習をバックグラウンドにした自分にとっての魅力
さて、次は機械学習技術をバックグラウンドにした自分にとっての魅力について語ってみたいと思います。
Bet Technology という行動指針への共感
ここ最近 LLMs をはじめとした技術革新が目覚ましいですが、私が転職を考える大きなきっかけがまさにこの技術革新でした。実は自然言語処理の研究が仕事のルーツだったりもするので、ことさらのことでした。
LayerX の行動指針の一つとして Bet Technology というものが掲げられています。「情報処理技術を駆使して人々の意思決定を支援したい」という個人的モットーを持ち、実際に新たな技術を取り入れることによって確かにまだ見ぬ世界が切り拓くように仕事に向き合っていた自分にとっては、正にこれがしっくり来ました。
しかし、「技術を使うことを大前提とし過ぎると、ユーザの課題解決にしっかり向き合えないのではないか?」という疑問を持つ方も多いと思います。選考を進める中で、私もその疑問を直接ぶつけました。
LayerX は、私が入社する前、ブロックチェーンを活用する事業を模索していましたが、現在の事業の軸は変わっています。しかし、「すべての経済活動をデジタル化する」というミッションはブレておらず、AI-OCR や LLMs の活用を大事にしつつ、ユーザの課題に徹底的に向き合う姿勢があることを選考や社外発信を通じて確認できました。LLM Labs の設立からAI・LLM事業部への移行という変遷も、その姿勢を強く感じさせるものでした。
LLM Labs は世の中が LLM に沸く去年4月に設立された組織です。同年11月に事業部化し、最近、その成果がめでたくリリースを迎えました。
技術の可能性と限界を理解し、価値を創出しようとするユーザーと課題に真正面から向き合う姿勢があるからこそ、たどり着ける世界があると感じました。
AI-UX というコンセプトが切り開く未来
LayerX が提供するバクラクという事業が取り扱っている書類は、領収書や請求書をはじめとするような企業間での取引に関するものが中心です。また、AI・LLM事業部が取り扱っている書類は特定の専門家が取り扱うような契約書や報告書、論文などであったりします。
これらはそれぞれ使われるシチュエーションこそ違えど、書類を交わす人同士のやわらかめのプロトコルだと私は捉えています。商習慣や社内の取り決め、制約事項などが自由なフォーマットで詰め込まれているということです。
これらが今、LLMs が発展したおかげで機械が処理可能な世界に入ってきたのだと思っています。書類に書かれていることとその時の読み手の状況を人間がよしなに解釈し、ワークフローを頭の中で構築しながら作業を行う……というのが大きく変わっていくのではないかと。
そういうものがすべて実現された世界はまだ訪れてませんが、そんな未来を信じてみたい、と思ったのも私が心を動かされた理由の一つです。
オープンデータにはなり得ない、特異性の高いデータの価値
破竹の勢いで進歩していく AI / LLM に触れながら、機械学習の分野を生業にしている人は廃業になってしまうのでは……と怯えることもあるかもしれません。
既存の知識や方法に固執し、慢心していると、その不安は現実になるかもしれませんが、素直に受け止めれば、今までできなかったことに手が伸ばせるようになるだけのことだと思います。むしろ、そのバックグラウンドを活かし、より実現可能性の高いアプローチを選ぶことができるのではないでしょうか。
それだけではなく、私たちがお客様から注意深く預かっているデータには大きな参入障壁と高い特異性があります。
万一にでもインターネット上に広く公開されるようなものではありませんし、企業間取引では私たちが普段目にすることのないような形式で情報がやり取りされており、毎日新たな気づきを得ています。
前々職のヤフー株式会社(LINEヤフー株式会社に変わる前に所属してました)では様々な検索サービスに携わっていましたが、Google によるウェブ検索が日々進化を遂げていっても、クローラーの障壁やきめ細やかな体験設計の必要性などの要因によって、個別サービスの検索体験の需要は消えることはありませんでした。
同じことが基盤モデルの進化と、事業ドメインに深く踏み込んだ体験作りに対しても当てはまると考えています。
さらに加えて言えば、LayerX にはコンパウンドスタートアップという競争戦略、前述の AI-UX という考え方が根付いており、そういったデータを活かし橋渡しを行っていくための素地が際立っていると思います。
おわりに
長々と書きましたが、転職して実際に3ヶ月が経過し、私は今、満足しています。いや、満足というより、心が湧き立っていると言うのが正確かもしれません。
あなたも LayerX で働くことについて考えてみませんか?
代表取締役がつい最近このような記事を書いています。
ぜひ合わせてお読みください!
カジュアルに話を聞いてみたいという方、大歓迎です!
私自身マネージャーと一人の開発者としての役割とを行ったり来たりしていたり、コーチングを学校に通って学んだ経験もあるので、まずキャリア相談をしたい……というような場合でも歓迎します。