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変わり身の早さが成功のカギ。●●一筋にとらわれるな。

Voicy No.0175 2022年6月20日放送


アメリカの企業は変わり身が早い。


自分のクライアントに、日本のみならず東南アジアやアメリカでも一部事業を展開している事業家がいて、その方のブランディング全般と事業戦略と、プロジェクトの経営的なところを担っています。

また、その方の関係でアメリカに会社を1個つくることになり、そのプロジェクトがもう1つ動いているので、最近アメリカで成長する企業の状況をもう一回確認し直そうと思って勉強し直している感じです。(注:2022年の記事です)

アメリカの成長企業はピポットします。

プロダクト自体は同じでも、事業ドメイン(事業の生存領域)というか、戦うポジショニングとか土俵を変えたり、事業丸ごとを変えたりしています。

M&Aで別な事業を買ってきて、それを育てたりする場合もあるし、ジョイントベンチャーで別な事業に参入することもあります。

関連性がある場合もない場合もありますが、そういう事業の変更とかピポットとか、メインの事業を売ってしまうという変わり身の早さが、アメリカ企業では成功のカギとして1つあると思っているのです。

アメリカでは、大きな会社だけで事業が売買されているかというと、そうでもありません。

わずか数名の会社でも、売れそうな事業のスタートだけやって売ってしまい、それで入ってきた大きな資金で結構メイン事業を強化したりするわけです。


経営に浮かび上がる国民性


ビジネスとか経営とかブランディングは、やっている人の行動様式と考える選択基準に則って行われているので、自分たちは日本のカルチャーや考え方の影響を多分に受けています。それを研究しているオレでさえ、当然、自分が影響を受けていることを強く実感するわけ。

日本人のすごくいい面でもありますが、終身雇用で一度入社した人の面倒を見るとか、仲間を売ることに対する嫌悪感があって、事業を売り買いしたがりません。事業自体を大きく変えることもしません。

自分が最初に経営した会社が結構大きくなり、事業売却を視野に入れてみたことがあります。そこで事業売却のプロフェッショナルの人と接点を持って、なるほどと思った話がありますが、事業売却の話をしたいわけではないから、やめておきますか。

まあ軽くお話しておくと、日本人は事業売却を「仲間と事業を切り売りしてしまった」と捉えます。しかし、資本をもっと投下できるところに事業を丸ごと受け入れてもらうことで働いている方は給料が上がるし、成長の可能性が高まり、待遇と福利厚生が良くなります。

オレがそのときやっていた会社は数十億の会社で、代わっていただく可能性があったのは数千億の会社でしたが、義理人情的なことや心情的なところでこだわっているのはオレだけでした。

M&Aをやった事業もありますが、実行しなかった事業に関していえば数千億の売上がありました。

その事業に投下できるお金が数百億レベルである会社にその事業を丸ごと移管していれば、待遇は上がるし給料も上がるし、マーケティングや技術力も一気に資本投入できて強くなる可能性はあった。それは決して悪いことではなかったのです。

ここは本題ではないので、オマケです。


仕事が「何々道」になりがちな日本人


変わり身の早さでもう一個、日本人の特性としてあるのは、何々道という考え方。

いい面でもあり、これが手足を縛っているとも思います。例えば剣道とか柔道とか相撲道とか、華道茶道もそうですが考え方が「道」なので、決して脇目も振らず、一歩ずつ前を向いて歩いていくことになる。

だから、何かに取り組むときに、寄り道とか脇見をするのはいけないことだという思想があるのです。

アメリカのスポーツ選手は、オフシーズンは別なスポーツをします。アメフトをやって野球をやるような人がいたりするわけ。でも、日本だと部活を両方やっている人もいないし、先生に弟子入りするという流れがあって裏切り者みたいなムードになって、日本人はスポーツの掛け持ちをあまりよいことと思いません。

この辺からも、仕事を「何々道」と捉えているふしが伺えます。


サンリオもメイン事業を変えている。


でも、日本で生き残ってうまくいっている会社で、事業を根本的に変えてしまった会社は意外と多いのです。

キティちゃんのサンリオは、もともと山梨シルクセンターというシルクをつくっている会社でした。

その後シルクが売れないので小物雑貨を売り始め、小物雑貨の缶とかにキャラクターを描いたほうが売れるだろうと描いた猫が、キティちゃんになった。

任天堂もトランプと花札をつくっていた会社で、ゲーム&ウオッチをつくって、その後ファミコンをつくったのは有名です。

今のタカラトミーも、最初は家族経営のビニールの加工工場だったらしいです。
昔は傘とか雨合羽をつくっていたのが、抱っこちゃんで大ヒットした。ビニールで加工したおもちゃをつくったらめちゃ売れて、おもちゃ会社に変わったのです。

富士フイルムも同じです。

若い方のために言うと昔はフィルムカメラがありまして、カメラの中に巻物が入っていました。巻物に撮った写真が記憶されていたのですが、そのフィルムをつくっていたのが富士フイルムです。

結局、フィルムカメラがなくなったので今は化粧品でやっているし、そもそも最初は東洋コルク工業という会社でした。コルクをつくって、フィルムをつくって、化粧品をつくっているのだから、事業は変えたらいいのです。

前言撤回して変わり身が早いと、日本人は「軽いやつ」みたいに思われがちですが、「あいつはあっちに顔出したり、こっちに顔出したりなんだよね」ということですが、メイン事業を残したまま、今の時代に合ったものにチャレンジしたらいい。

それに、ライフワークとライスワークは、別々に分かれていてもいいわけです。

昔からやっている何々業や自分のプロダクトを磨き込むのをライフワークにして、生きる道としてやりつつ、ライスワーク(稼ぐもの)としては「今はやっているものをやります」でも構いません。

自分で手足を縛ってプールに入ったのでおぼれてしまうことが、日本の会社とか個人事業主に多いのかなと思っております。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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