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ブランドは、好き嫌いは五分五分でいい。


Voicy No.173 2022年6月15日放送



半分がカッコイイ。半分がダサい。でいい。


経営に関する話をしていると、大手企業に限らず、とにかく「1件のクレームが怖い」という姿勢のところが多いです。

日本人は全会一致の幻想があり、会議に出ている人で1人でも猛反対する人がいたら、「その人が納得するまで」とか、「根回しして、みんなが最後納得するように」となります。けれども、そもそも物事に全員が納得することはありません。

商売でブランドになっていきたいなら、「強烈な好き」をつくること。

「強烈な好き」は「強烈な嫌い」をつくり、好きか嫌いかを問う行為になります。

購入いただくのは賛成の投票行為です。

みんなに買ってもらいたいのはわかりますが、そもそも、みんなに買ってもらうのはナショナルブランドの仕事です。

1000万人とか1億人を相手にしているマーケットでやっている企業は全員に好かれたほうがいいですが、たかだか数百億の中堅企業、百億以下の中小企業とか個人事業主が、全員に好かれようとするのに何の意味があるでしょうか。

ブランドになろうと思ったら、「強烈な好き」のために嫌われないとダメです。

かといって相手に失礼があったとか、お客様を大事にしなかったとか、品質に問題があったというクレームはいけません。

しかし「これはもう好みでしょう」というところへのお客様からのご意見も、日本人は聞いてしまいがち。だから全員の好みを聞いて、色を出したがらないのです。

象徴的な例がヴィトンのモノグラムです。

ヴィトンのモノグラムが欲しい人と、ダサく感じてしょうがない人のどちらかに必ず分かれます。そもそもブランド品でロゴが大きく載っているものに対する賛否というのは明確です。

ファミレスと専門店、どちらを目指したいか。


「誰が着てもいいものをつくろう」となると、しまむら的なアプローチがあります。

大量に買ってくれるようなお金と人とリソースと資本をもって勝負できるから、皆さんが買ってくれて薄めの利益で数を出すビジネスが成り立つわけ。

でも強烈に好きだと思ってくれる人が繰り返し買ってくれるような状況をつくらないと、続きません。

量的勝負で万人ウケを目指して「ファミレスを目指す」感じで、おそばも、パスタもある。カレーもある。勉強している人もいて、寝ている人もいて、家族連れもいる。

そんなファミレスを目指すのか。
それとも専門店を目指すのか。

興味がない人は全然来ませんが、「〇〇が好きな人」は専門店にめっちゃ来ます。

前にハト肉の専門店の情報を見たのですが、ちょっと行ってみたくなりました。

今は昆虫食もありますよね。オレは食べたくはないですが、昆虫食が好きな人もいるのかな。

個性というのは、そういうところです。
五分五分でいいのです。

嫌いな方は足を運んでくれないし買ってもいただけないわけですから、みんなに話を聞く必要なんてありません。

安藤忠雄の建築も同じです。
コンクリート打ちっ放しのむき出しの内装と外観は、本当に好き嫌いがすごく分かれるでしょう。

ああいうのがクールでかっこいい、都会的だと思う人もいれば、あんなの寒々しくて嫌だ、寂しいよ。暖房効率が悪くて冬は寒いし夏は暑いから嫌だというように、建築家の中でも好き嫌いが分かれます。

あのテイストが好きな人は、仮に高かったとしても安藤忠雄事務所に頼みたくなるのがブランドです。

安藤忠雄建築とかヴィトンのモノグラムなんて、五分五分どころではないでしょう。でも、そういう個性があるから選ばれています。


熱狂的に好きな人に届けたい。


多くの方にわかりやすく、ビジュアライズされたものにおける好き嫌いの話をしていますが、あとはそのブランドの立ち位置とかポジションに関しても、スタイル、メッセージ、哲学を打ち出せば、好き嫌いがはっきりとありますよね。

そういう無形なものにも乗ってくる人と来ない人、賛成の人と反対の人がいるということです。

ですから「好かれるために嫌われてもいいや」ということで、ブランドの立ち位置を決めていけばいい。

嫌いとか、それは変だと思うという人がいないもののほうが、ブランドにならないものです。

あと、「知り合いの〇〇と会ったときに、たまたま自分がやっているビジネスの話になって、こんな意見があったんです」みたいなことを、オレと話していて言う人がいます。

その知り合いだか友達だかが、やっていることに対して同じ熱量や覚悟をかけていて言っているなら意見を聞く必要がありますが、どうせ人の半分は支持してくれなくても成り立つからいいわけです。

「支持してくれない」というのは、社会的に変なことをやることではありません。

誤解のないように言いますが、あくまでもブランドのスタイルとターゲットの絞り込みとして、「自分は全然ぴんと来ない」ものって、ありますよね。

そんな例は世の中に山ほどあるから、わざわざ挙げませんが。

女性の洋服もスタイルによって全く違います。

ふりふり系の感じが好きな人もいれば、クールでシックなもの以外は着ない人もいます。

自分と全然スタイルが違う人からすると、この世の中にあってもなくても買う気が起こらないものでしょう。

男性は、あまりその辺はわからないかもしれません。

「好き嫌いは五分五分でいい」と思ってやっていくと、ブランドが立ってきます。

自分のブランドを「好き」「大好き」「熱狂的に好き」と言ってくれて、熱くなる人に届いていくからです。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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