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人がお金を使う基準が変わった!上半期を振り返って。(後編)

Voicy No.178 2022年6月24日放送

前編はこちらをお読みください。

ここからが後編です↓↓↓


「日用品」「嗜好品」「ライフスタイル消費」


2022年3月以降、特に東京では、4月はちょぼちょぼ、5月に入ってゴールデンウイーク辺りから、めちゃくちゃ人が出て行動し始めています。

ゴールデンウイークに旅行に行こうと思っていたんですが、全然宿も取れない。ちょっと時期をずらして6月に行きましたが、高いところから埋まっていました。

でも、今は原料や物価の高騰があって、生活インフラとか必需品の高騰が怖いから、バカみたいにはお金を使いません。

そのときに大切な視点として、「日用品」「嗜好品」「ライフスタイル消費」という分け方が必要です。

3月以降、クライアントのところで見ているデータもありますが、「この会社のこのデータを見て、これが傾向として出ています」とここで書くのはタブーなので、裏付けデータは示せません。

しかし、自分は消費活動をしている会社のアドバイスをしている中で見ているものがあるので、それを大きくつかんでポイントをお話しします。


好きな嗜好品にはお金をつかう。


日用品のスタンスで商品を出しているところは、やっぱり値段的勝負になるのです。買わなくていいものは買わないという消費になっていますが、嗜好品は違います。

嗜好品というのは服、化粧品、車です。

化粧品は日用品じゃないかという人もいますが、同じ化粧品でも日用品として自分たちの商品を出していくか嗜好品としてのポジションを取るかで、価格も変わってくれば買ってもらい方も変わってくる。

これは、あくまでもビジネスをやっている側が、どっちで打ち出すかの問題です。

そこで自分みたいな人間が登場してリブランディングが必要となってくるわけ。
それはいったん置いておいて……。

嗜好品、つまり無駄だけど好きなものに、ばかすかお金は使わないけれども、嗜好品を狙って買いに行く状況は傾向として強くなっています。


ライススタイル消費とは


さらに嗜好品の中でもライフスタイル消費という「自分の生活とかスタイルに合っているもの」に関しては、「なんでそんなにお金を払うんだ」というくらい、日用品的尺度でいうと無駄金を結構普通に払うようになっています。

平日も並んでいるのですが、Aesop(イソップ)というスキンケアブランドに行くと、1000円~3000円ぐらいのハンドソープを皆さん買っていくのです。

これは価格だけの切り口でいうと高級品市場ですが、自分としてはライフスタイル消費になります。

ドラッグストアに行けば250円とかであるハンドソープが、手を洗うだけの全く同じ機能で価格が10倍。

2000年前ぐらいまで、家電や車が強かったときの日本人の考え方は、「性能が違う、機能が多い」でした。つまり優劣で10倍の価格を付けようとしていたのです。

AesopとかTHANN(タン)はハンドソープとかを出しているブランドのことですが、いわゆる高級ボディイケア、スキンケアブランドの出しているものの質が悪いと言いたいわけではないのです。

消費者の観点からいくと、正直、質がいいか悪いかというのは手がきちんと洗えているかどうか。手を洗ったあとに手の雑菌が取れているかどうか確認するわけではなく、化粧品のマーケットと一緒で、あくまでも実感の問題です。

もちろん匂いがいいのはあると思いますが、250円のハンドソープと2500円のものとで、価格差10倍のハンドソープが10倍手を洗うという機能的効果があるかというと、わからないですよね。

厳密には研究所に出せば機能面の効果はわかります。でも今の高級ハンドソープは、研究所に出した結果を見て買っていません。

これをなぜ買うかというと、高級品を買いに行っているのではなく、ライフスタイル消費をしているのです。

それが明らかなことに、Aesopのお店とかに行くと平日の昼間から並んでいる方が10代~30代前半までの女性。しかも、特別高いものを持ってきているわけではありません。

ということは、普通に働いている方たちが、ハンドソープに2000円~3000円払っているわけです。

「今は高いと売れないんだよ」と言う人がいます。

高いものが売れなくなったという価格の切り口ではなくて、ライフスタイルの中で「自分はこれだけは欲しい」という生活スタイルとか、自分のポジションやステータスに合っているものであれば、尺度が高級か低級かに関係なく、お金を払うのです。

だから、安くてもライフスタイル消費にはまっているものは、売れていたりします。


価格が2倍になっても欲しい「ロレックス」


これも顕著な例になりますが、ロレックスの金額がバカ上がりしてしまっています。ロレックスは高級時計といえるかどうかは微妙です。高い時計はいくらでもありますから。

でも、ロレックスを付けているというライフスタイルというか、自分のセンスを表明したい人にとっては、ロレックスのあるモデルは「価格が2倍になっていようが欲しい」となっているわけ。

「ロレックスに180万~200万払うんだったら、もっと高級な時計があるよ」という言い方もありますが、「ロレックスが欲しい」んです。

なぜかというと、高い時計を付けて偉ぶりたいのではなく、自分のスタイルに合っているからです。

上半期を振り返ると、ピンポイントで通常の買い物はとにかく安く抑えている。

日用品の中で自分のライフスタイルに合っていると思えば、ある程度のお金を払うことも明らかですが、消費者側から見ると、使わないところはめちゃくちゃ安く済ませたい。

メルカリで買えばいいし、シェアしたらいい。

ただ、自分のライフスタイルにすぽっとはまったものは、ある程度の費用は払ってでも自分のライフスタイルを表明したい。
自己確認的な部分で、自分のライフスタイルをさらに感じたい。

そういう消費が伸びて熱くなっているのです。


「はまるスタイル」を打ち出そう。


コロナが落ち着いてきて、世界全体としてスポーツもエンタメもお祭りも復活しつつあります。コロナによる制限が収まった状況下では、今後も日用品、嗜好品、ライフスタイル消費のどこの位置取りを自分のビジネスが取っていくかが、結構カギになります。

ライフスタイル消費に寄れば寄るほど、機能性ではなく、率直にいうと無駄なもので、ただ個性があるもの、あるスタイルにきちっと表明している姿勢みたいなものがはまります。万人向けになってくると日用品のほうに行くのです。

自分が狙っているターゲットに、はまるスタイルのものを出していきましょう。
ビジネスは準備が必要なので、今年後半にかけて準備すると2023年に向けての大きなカギになると思います。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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