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すべての商売が、ライフスタイルブランドになる時代がきたよ。

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」 コラム
 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。


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Voicy No23 2021年8月26日収録
すべての商売が、ライフスタイルブランドになる時代がきたよ。

ライフスタイルブランドって??

ブランド・ブランディングがここ数年、特に騒がれているのには意味があり、ある種必然性がある。ブランドになったほうが商売も人生も生きやすいから、この世にお知らせしたり、ちょっとでもヒントになったらいいと思っている。なぜかというと、ビジネスでは商品力で差が付かない時代だからです。

2000年より前、日本製、特に家電や自動車は高性能と言われていて、それ以外の国の家電は意外と性能が悪かったりしました。今から30~40年前までさかのぼれば、中国や韓国のテレビは普通の家庭にはなかったんです。中国・韓国のテレビの品質が、その当時は悪かったからです。

自動車も日本車が高品質と言われてすごく伸びた70年~90年代のとき、品質の差はやっぱりあったんです。ヨーロッパ車はちょっと壊れやすいとか、アジア圏、中国と韓国の自動車は、世界的には論外みたいなムードもありました。

なぜかと言うと品質に差があったから、どの商品を手にするか性能を含めて吟味して買うときは、そこを注意しないと壊れてしまうような粗悪品を手にする可能性があって、それが2000年以降、家電や自動車が顕著ですが、それ以外でも、さまざまな分野の商品品質の下のレベルがぐっと上がった。底上げがされたのです。

これには理由がいくつかあります。

まずい料理屋とかお菓子がなくなったのは、OEM会社が実は商品をとある工場でつくっていて、それを製品ごと仕入れて、売る側がブランド名や商品名を付けて売っていたからです。

例えば亀田製菓がどこかの依頼を受けてつくったおせんべいに、他の会社が独自の商品名を付けて売るというのがOEMというやり方。

これは洋服でも行われているし、家電でも、工場を持たないファブレスメーカーというのが世界中にあって、商品企画をやって、洗濯機・掃除機・冷蔵庫の中身をOEMメーカーがつくり、デザインとか個性とか、ちょっとした宣伝を請け負ってメーカー名を付けて売っている。

結局、OEMメーカーが、かなりさまざまな業界で商品や商品の元を提供するので、ハズレ品質のものが世に出にくいのです。

いまだに「リコールで壊れたので送ってください」というのはあるけど、昔はもっと品質が粗悪のものが多かったんです。今はコンビニのお菓子とか食べ物も、すごくおいしいじゃないですか。品質の底上げがされていて、どこで買い物をしてもハズレを買う可能性が減ってくると、じゃあ何で買うの? ということです。

どこで買ってもハズレないなと思ったら、価格で選ぶものと、安いから買おうと思うものと、ブランドですよね。スタイルとか、自分らしいとか、1人の消費者から見て、好みの問題になってくるということです。

今コンビニに売っているTシャツは500円なら700円ぐらいが価格のレンジだと思う。コンビニでの白いTシャツと、ユニクロの2000~3000円のTシャツと、セレクトショップで売っている8000円とか1万円のTシャツを、目をつぶって着てみる。

品質の差を感じることは、ほぼ無理とまではいかないけど、プロはわかるかもしれないけど、目をつぶって着るブラインドテストをしてみて、コンビニで売っている600円のTシャツと8000円のTシャツで、価格差10倍を「品質、全然違うよね」となる人っているかのかな。

目を開けて生地に触るとか、吟味するという行為をしたらあれだけど、目をつぶって着てしまってそれがわかるかというと、なかなか難しい。品質が選ぶポイントじゃないとなれば、セレクトショップでブランドものを買おうということでブランドが必要だ。

昔は、安い衣類は1回洗濯したら伸びて着られなくなって、色落ちしたんです。それがユニクロとかしまむらが出てきてから、安い衣類の品質が一気に上がった。

そうなると優劣より大事なものとして、スタイルが合うとか、自分らしいとか、思想に納得ができるとかで買うので、ブランドを買うようになったということです。

そうなっていったらどうなるか。

2000年前後から品質だけではなくブランドで買うという感じに世界的にもなり、有名なところではNIKEがある。NIKEは工場を持っていなかった。今持ってるのかな。ごめんなさい。これは正確じゃないんですけど、NIKEというのは靴づくりをしてきたメーカーじゃないですよね。だから、NIKEもOEMをうまく使って最初は出てきたと思います。

NIKEはかっこいいスタイルです。有名選手――マイケル・ジョーダンとかとうまくスポンサード契約をして、「かっこいいNIKEを履きたい」というところに行った。もちろん靴の品質も良いからですけどね。

では、次にどういう段階に入っていくかだけど、私が見る限り、日本を代表して世界に届いている日本最強ブランドは無印良品でしょう。無印良品は文房具も売っている。食品も売っている。家電も売っている。衣類も売っている。もろもろ生活全般のものを扱っているじゃないですか。

無印のものを買っている人は、商品を買っているのではありません。商品一個一個の競争力は、そんなに高くないからです。無印の文房具の中でボールペン1本を切り出して、1本だけ、1種類だけ文房具店に置いたときに、無印のだということがわかっていなければ、特別優れた品質でバカ売れ商品になるかというと、特にならない可能性が高いと思う。

衣類も「無印のTシャツだ」ということで買っているけど、それを1つだけ切り出して、アパレルブランドとしてセレクトショップに入って、めちゃくちゃ売れるかというと難しい。

キーマカレーが売れているけど、世の中のレトルトカレーにキーマカレーを切り出してスーパーで並べたときに、無印のキーマカレーだということで買う方はいると思うけど、一番売れるかというと難しい。

無印には過不足がない。

「何も足さない。何も引かない。」というサントリーウイスキーの山崎のコピーがあった。まさに特別デザインしすぎない、過不足のない、シンプルなライフスタイルは良くないですかと、紺とベージュと白と、そういうカラーでやっていく。シンプルな感じの思想とスタイルが一番上にあるので、思想とスタイルに共感したから商品を買うというふうに無印はなっているんです。

これが世界的にもなっているのがすごいことで、もう少し次のチャプターで具体的に説明します。

無印良品は優れたブランドだ

商品品質で差が付かない時代になって、21世紀になって、ものもそろってきた。生活に必要なものが全く足りていなかった戦後1950年~1960年代は、ものがなかった時代。

品質競争になって大量生産に乗ったのが1970年~1990年。ここで日本のメーカーは、あえてブランドとは言わないが、日本のメーカーは品質と大量生産の方法を手に入れて世界を席巻する。それが世界中の国でさまざまなものがうまくつくれるようになってきて、品質差がつかなくなり、品質の下限が上がる。日本の国内でもハズレの買い物をする可能性が減ってきた。

ブランド、思想、スタイルで、自分に合っているところから買うか、価格で買うかのどっちかになる。消費が価格比較で購入するパターンで買うものと、自分の好きなものを買うというブランド消費の2つで、自分の中での買い物をうまく分けるようになった。

そうなると、自分に合っている思想とかスタイルとかセンスが合っているものが「自分が買うべきものだ」となって、そこに商品が付いてくる。

無印は、最初からこれをやってきたんです。商品力勝負だけではなくて、思想で押してきたのです。最初は西武百貨店と西友グループの、ただのプライベートブランド商品だったのに、だんだんと思想や哲学を持ちだして、それに共感していった人たちが買っていった。

「でも、デザインで買っています」という方もいると思う。思想とか哲学があって、それがデザインに反映されて、その下に全商品がつながっているので、スタイル一致、哲学一致、デザインも気に入って、最後に商品を買うという流れになっているんです。

無印良品はまさにブランドです。

しかも思想とか哲学とか全体のデザインとかのスタイルが自分に合っているとわかっているので、そのブランドのものだったら、他に必要であれば、そのブランドから選ぶことも多くなっているんです。

商品単体で勝負していない。無印良品のキーマカレーだけとか、鍋のお玉だけとかで勝負したら、勝てないと言うと失礼ですけど、そういう方向性じゃないんです。

「これからの時代、全ての商売がライフスタイルブランドになる時代が来たよ」と、なんでわざわざ言っているのか。

業種業態でくくって「自分は何々業です」と売るのは、売っている側が勝手に言っているだけ。買う側は、「自分の思想や哲学やスタイルやセンスに合うブランドから買うもの」という消費が増えてくるから、だんだんと業種業態が関係なくなってくるんです。

最近、非常に増えているのは、スポーツメーカーがアパレルをやることです。デサントが、東京だとデサント東京というフラッグシップ店をつくっています。

そこではデサントのスポーツ用品はほとんどなくて、ソフトスーツというか、ビジネススーツじゃないけれども、デッサンとか今まで築き上げてきたスポーツ用繊維、おそらく発汗性とか運動したときにストレスがないソフトなライトめのスーツにして売っていたりする。

もうスポーツメーカーはスニーカーやスポーツ用品をつくっているという感じではない。スタイル・思想に納得したら、別のものでもそのブランドから買うから、今はミックスになっていますよね。

スノーピークが新潟の本社の横に宿泊施設をつくります。これもライフスタイルブランド化です。

イケアというと皆さん家具だと思っているでしょうし、そういう経験をしている方が結構いると思うんだけど、結局イケアは食品の強さですよね。あれは思想とかコンセプトの大元が同じで、イケアは家具と思われているけど、実際それを食品のほうにも広げていった。これでいくと、イケアがあのスタイルと哲学でもう少し幅を広げたとしても、いけるのかなとは思います。

シャネルはココ・シャネルという女性がつくったブランドで、元々は洋服だったけど、化粧品が今は日本における売上の5割以上です。でも、ココ・シャネルが生きているときに、化粧品はやってなかったんです。ココ・シャネルもライフスタイルブランド化しているというか、シャネルのスタイルとか思想に納得した人が化粧品も買うようになっていく。

ブルガリがレストランやホテルをやったりすることと同じです。

うまくいっているところばかりじゃない。これは女性のモデルさんに結構多いけど、モデルとして、ある雑誌の専属をやりました。今だったらインスタで結構顔と名前が売れてきます。そうすると大体、ライフスタイルブックみたいなものを出すんです。「こういうものを買ってます」とか「ハンカチはここのを使ってます」とか「私の使っているアロマオイルは」とか。

ああいうふうに思想とセンスとスタイルに納得すると、いろんな商品をそのまま「好きだから選択する」ことが普通のビジネスでも起こる。どの領域で商売をやっているところもブランド力が強くなるとライフスタイルブランドになれるし、買っている側は「どこ業界」という認識がないので、ライフスタイルブランドだと認識を改めて、ライフスタイルの中でどういうふうに自分をブランドとか商品を好きになってもらうか、やったほうがいい。

どうしても人は何かのカテゴリーに当てはめたがるので、自分がやっているビジネスをどこかに当てはめちゃうんですけどね。

今日の話は、また日を改めて実例を挙げながらお伝えします。

以上、久々野智小哲津でした。

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