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今の時代、オタクはいない。ペルソナやターゲットの考え方。

Voicy No.0163  2022年5月23日放送


いわゆるオタク。


今日のテーマは「今の時代、オタクはいない。ペルソナやターゲットの考え方」という話です。

ターゲットやペルソナの話はマーケティングとかブランディングではよく出てきます。最近はビジネスをしている方も、それに関する知識について会話が普通に成り立つ感じです。

ビジネスは、ターゲットとかペルソナとかの考え方からスタートしないと成り立ちません。みんなが欲しいものをつくろうすること自体ナンセンスです。

スマホレベルとか、プレイステーション、ニンテンドースイッチレベルのものを世に出している人は何十億人を相手にやった方がいいと思います。でも、そうでなければ、顧客やファン想定なきビジネスは、あり得ないところに来ているのです。

この理由はいくつもあります。

まず一つは、ライフスタイルによる消費になっていること。
年齢くくり、年収くくりはもう通用しません。

特に都市部では、年齢や年収くくりをしたところで、全くそうは動いていないのです。ネットとスマホが出てきて情報が簡単に手に入るため、自分の趣味趣向とスタイルがよりつかみやすく、わかりやすくなっているからです。

オレの親父のように戦後すぐに生まれた世代の方々は、高度経済成長に乗って、みんなが買う物を揃えていった時代でした。住宅を買い、車を買い、冷蔵庫、カラーテレビを買っていったように、年齢と年収が生活のスタイルを決める最大の要素だったわけ。

昭和20年、30年生まれぐらいまでは年齢くくりが生きている時代ですが、40代50代になって腰履きのデニムで古着の伸びたトレーナーを着てキャップをかぶっている所ジョージとか奥田民生とか、さまぁ~ずのような格好している人は、昔はいませんでした。

今は自分のライフスタイルがあるので、所ジョージや奥田民生のように60代でスカジャンを着ている人も、ダウンタウンの浜田雅功のような格好している人も、年齢が上がってもいるのです。

それは今までなかったことです。

今までは年齢でくくって、10代のときは10代の格好。頭丸坊主、学生服。20代になったら社会人っぽい格好で頭は七三分け。30~40代になって子供を持ったらお父さんの格好。いわゆるサザエさんのマスオさんで、それより上だったら波平さんみたいな、めちゃくちゃステレオタイプな生き方になっていました。

このように年齢によって変わっていくというのが、今は実際にはあまりなくなってしまった。

この辺は詳しく話さないと伝わらないかなという気持ちと、詳しく話そうと思ったら回りくどくなっちゃうなという引っ掛かりがあります。


古いイメージのカテゴリー分けでは。


ターゲットとかペルソナを考えるときに、ふた昔前ぐらいのカテゴリでやる人がいます。

今オレはeスポーツ関連を結構アドバイザーでやっていて、ほかにもアニメの見た目で生身の人間がしゃべるVTuberにもアドバイスしています。

アイドル関連の仕事で企業と話すと「オタクって、お金を使いますよね」みたいな話になりますが、オタクはもういないのです。

消費傾向における、ある要素を抽象化した集団(クラスター)を見るときに、オタクという20年~30年ぐらい前の捉え方だと、引きこもりで人とコミュニケーションをとりたがらなくて、秋葉原に行って、かわいい女の子が出てくる漫画とアニメを好むような感じでしょう。

でも、スマホが出てきて全てを変えたのです。

結局、手の中に自分の趣味趣向を散々詰め込んで、みんな好き勝手に自分の趣味を楽しんでいいことになりました。

前は電車で漫画なんか読んでいると、はしたないとか、かっこ悪いとか、スーツを着た社会人がジャンプを読んでいるんじゃないみたいに会社で怒られた時代もありました。

IT革命の前、Windows95が発売されたのが1995年だから、それより前って大人になったら大人の本を読め、あるいは新聞を電車で開けと言われたものです。

でも人間の建前で、人に見られているからやっていたんだな、とバレてしまった。

このデータはクライアントのデータなので詳しく言えませんが、肌感覚とか友達や周りの知り合いの声を聞くと、電車に乗っている3分の1がゲーム、3分の1が漫画、残りの4割が仕事か、ちょっとした趣味みたいなものにスマホを通して通勤時間で触れています。

結局、全員オタク化しているじゃん、ということです。

ターゲットとかペルソナ考えるときに、いわゆるオタク、パリピ、女子高生、富裕層といったように、大きくカテゴライズして古いイメージで決め付けていては絶対に売れないのです。もうその時点で手抜きじゃない?

『ONE PIECE』『SLUM DUNK』『あつ森』


先ほどアイドルの話をしましたが、アイドル関連で仕事をやっていると、ライブという現場に行くわけです。アイドルのライブに実際来ている人の感じを見てみたらいいんです。

この前、ヴァロラントというeスポーツのゲームイベントが有明であって、1万人以上来ているのを映像で見せてもらう機会がありました。

「ゲームのイベントに来ているの? それはオタクでしょう?」と思うかもしれません。でも、もう普通の人が普通に来ています。オレの放送を聞いてくださっている方の感度はずっと高いと思いますが、それでも思い込みってあるじゃないですか。

自分に会いに来てくださるお客様や、ビジネスのファンを想定するのに、なぜそんなに手を抜いて、10年前、20年前にカテゴライズした人がいる想定でやるのですか。全てはそこの研究にかかっているのに。


変わりゆく消費者像


スーパーのブランディングを3年半ぐらいやっていた時期に、思い知らされたことがあります。

スーパーは生鮮産品が勝負だと、皆さん思っていますよね。

でも実際は、人口密集地に行けば行くほどお料理をしなくなっています。生鮮産品にいいものを置くよりは、お惣菜とか調理したおかずの質と品ぞろえが、リピートに繋がったりするわけ。

これは自分が関わっていたところではありませんが、「こういうのがあるよ」というのを言ますね。

そのスーパーが仕入れをしたあと、一番いいものを生鮮産品にまず並べる。ちょっと見た目がよくないとか痛んでいるものを調理用材料に回す。調理すると、そこまで肉野菜魚の生鮮品として、材料として置いているものの見栄えが変わることがスーパーの中であるんです。まあ、そうだよねという部分もわかります。

でも、今は場合によっては、仕入れてきた肉野菜魚の中で、最も良いというか美味しいとされるものを、おかずや総菜に回すというやり方もある。

日本中が急激に料理しなくなっているからです。

スーパーに来る人というのは生鮮産品を手で持って、野菜を手で持って、新鮮か確認して買うというのも思い込みです。それも確かに間違ってはいませんが、コンビニが冷蔵庫を取りに行き、コンビニのおかげで冷蔵庫に入れる飲み物の量は減っているんです。

だから家の近くにコンビニがある限り、「冷蔵庫、要らねえ」となっている。今度はキッチンをコンビニとスーパーが取りに行っているという、この事実。

なので、自分の商売、ブランドでお客さんづくりをしようとしてお客さん研究をするときに、安易なカテゴライズをして、もう今では変質してしまっている消費者のイメージを勝手に置かないほうがいいのです。

オレもあなたもアニメだって見ているし、ゲームだって興味がありますよね。

ゲームだと昔、糸井重里がやったMOTHERもあったんだけど、今の『ONE PIECE』とか『SLUM DUNK』とか『あつ森(あつまれ どうぶつの森)』なんて、もう一般用語でしょう。昔はオタクのものだったんですが、これぐらい変わっているのです。

もうオタクはいないんだよね、というお話でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
上のVoicy音声は下のリンクからどうぞ!


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