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ブランディングは理想からスタートすること。

Voicy No.0149  2022年4月27日放送 


先に目線を高くする。


「ブランディングは理想からスタートすること」という話をします。

商売をスタートするときに、最初は安くやって、実績を積んだり売れたりしたら高くしようと考えている方が多いですよね。

もちろん業種やサービスや商品構成のシリーズを変えて、最初に安くなって売れたら高くするのもいいですが、皆さんが買うからといって、安く売ってきたものにプレミアムが付いて高くなることはなかなかありません。

それは売る側のブランドの位置付け、まさにブランディングをどの方向でやるかのスタートにかかっているからです。

安物を買いに来ているファン層のところに、高くていいものを買おうと思っている人が来るかというと来ないのです。金銭感覚とか価値基準が全く違う人を同居させるのは、無理ゲーです。

価値基準を混ぜない。

これは気付いている方がいると思いますが、高層マンションで入居者が入らないパターンがあります。それは高層マンションの下のほうを、ワンルームで独り暮らしの、まあまあな収入の方が入れるようにした物件です。

例えば東京でいうとワンルームって、港区、中央区、渋谷区、目黒区でいうと10万円ぐらいかな。

高層マンションをつくるときに1階~3階の低層階を10万~13万円のワンルームにして、独り暮らしのサラリーマンやOLさんを対象にし、タワーマンションなので例えば40階より上層階をペントハウスにして、そこを100万台にしても上は埋まらないんです。

なぜかというと、家賃で100万~150万円を払える人は、そこに入りたくないからです。

ホテルでも1泊の金額はピンキリじゃないですか。例えばカプセルホテルであれば数千円であるし、漫画喫茶だったら多分1000~2000円で朝まで何とか過ごせたりするでしょう。

高級ホテルになると6万、10万だと思いますが、例えば大事な日に大事な人と1泊8万円のホテルに行きました。そうしたら入り口の端の場所が悪いところがカプセルホテル化していて、そこに1泊2500円人たちが泊まっていたとしたら、そこに行かないじゃないですか。

「お金持ちは、お金のない人たちと付き合いたくない」という差別的なことを言いたいのではありません。人は、そのシチュエーションにおける価値基準を混ぜられるのが嫌なのです。

プロポーズしようとしたり、ご両親にお礼を言おうと思って高級レストランを予約して1人1万5000円~3万円のディナーを食べに行ったのに、テラス席の端だけはカウンター席で400円牛丼を食べていたら、そのお店に行かないでしょう?

ブランディングをやって価値を認めてもらおうとするときに、出だしは安くやっていって、安いものを売りながら数が売れたので高いものを足していくというのは、少しならできます。

しかしプレミアムラインを出して別な層を狙おうと思っても、狙えません。さらに、そこにクーポンを付けたり割引スタンプカードをやっているところが「数が売れたら高級路線にしよう」というのは、ほぼ無理です。

出だしからブランドとして、「こういうファンの方に、こういう価値基準で選んでいただき、こういう関係をつくりたい」という理想をもってスタートしたほうが、ブランディングはうまくいきます。

こういうものを提供し、こういうふうにブランドを認めていただき、こういう方々にこういう価値感で評価いただいて、こういう関係にしたいという話をしたら、「それ、どうやってやるの?」と詰める人がいますが、そこまでの行き方はいったん置いておく。

ブランドづくりやブランディングというのは、そもそも理想を掲げて現実を近づける行為です。やり方がわからないビジネスをやっている社内とか仲間内でそこを詰めるよりも、自分たちが提供しているものが、どのレベルで認められたいかという理想から入ったほうがいいんです。


ニワトリが先か卵が先か。


クオリティーが上がって数が売れたらブランドの話をしたほうがいいのか。それとも、ブランドになる、ブランディングを高い位置でやるぞと決めているから、そっちに進んでいくほうがいいのかというと、圧倒的に先に理想を決めたほうがブランディングは有効に機能し始めます。

始点があって終点として理想のゴールがあったとしたら、その間のつなぎ方は後で考えればいい。今いる位置(始点)と終点の両方を完全に置いてしまって、その間はどうつなぐかを日々考えながらやるというほうが到達しやすいのです。

しかし、日本人の真面目さゆえ、「今このレベルだから、そういうことを言うもんじゃない」ということで、理想の状態とか終点(あり方としてのゴール的なもの)を言わない、考えないことが結構多いんだよね。

そうすると目先の人に納得してもらう「今できること」だけを言うようになり、そういうブランドイメージが付き、そこから脱することができなくなってしまうことがあります。

取引先を考えるのであれば、一番上から行ったほうがいい。こういうところに認められたいと思ったら、そこにアプローチすることを真剣に一回取り組んでみることです。

門前払いだったとしても、接点を持とうすることで見えてくるものがあります。

ブランディングして、ブランドを高い位置に持っていこうとして熱いファンをつくろうとした場合、どこかで今までのお客様との関係を見直さないといけないこともある。

自分のビジネスのステータスに合わないお客さまとだらだらとやっているうちに、高いレベルの仕事ができなくなることもあります。

これは例え話が難しいなあ。

もちろんブランドオーナーやビジネスオーナーがそれを望んでいるならいいですが、最初に付き合ったお客様との関係を大事にするがあまり、自分のブランドや商品のクオリティーやプライス、価値を上げていけなくなったら本末転倒です。

ブランドがさらに高い位置に行って良い評価を得るために、見合わないお客様がいるのであれば、そういうお客様を卒業させていって、ブランドの位置を固めていくことも必要だということです。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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