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投機的株主こそ平和の敵(2)


 「投機的株主こそ平和の敵」で書いたように、株式を売却目的で購入して短期保有することは、経済の営みとして不純であり、ほんらい犯罪として取締られていい。
 https://note.com/qiuguliang/n/n18c08cc69922?from=notice
 すくなくとも、モハメッドが蘇ったら、真っ先にそれを指摘するだろう。
 事実、退任間近のジャック・シラック仏大統領は、短期間の有価証券取引に低率の課税をすべきだと明言していた。これは、1970年台に、ジェームズ・トービンという経済学者が唱えた、トービン税である。。
 でも、シラックも、それを言えたのは退任間近の頃だった。
 彼のあと大統領になったニコラ・サルコジは、実際にそんな制度を導入しようと図って、失脚した。トービン税を提案したことが直接の失脚の原因ではなかったと思うが、無関係ではなかったのではないだろうか。
 そしていま、世界のあちこちで、富裕税が語られている。グローバルサウスとかBRICSから、そんな声が上がっているのだ。
 資本主義は、一面で壮大な自由の実験だったが、その自由は、副産物として膨大な負の作用をもたらしてきた。
 20世紀の一時期、約70年間、ソ連という競争相手の存在が、資本主義の放縦を抑える働きをし、福祉が発展したが、ソ連の崩壊は、資本主義の競争相手をなくしてしまったので、競争こそが社会を改善するという殺伐たる資本主義の基本的信条の通り、競争相手なき資本主義は、本性を露呈し、堕落し、貧困と差別と環境破壊と資源浪費をとめどなく膨れ上がらせたのである。
 それに代わる社会と経済の形が求められている。おそらく、なんらかの社会主義である。
 これは共産主義ではない。共産主義は国家の廃絶を含むが、国家がまるでなくなっていいほど、人間は善良でもないし、社会において行われるコミュニケーションは完全なものではありえないだろうから。(この点で、私は日本共産党は創価学会なみだと思うし、代々木から出ているマルクス主義宣伝文献などは、哲学の自殺だと考える)。
 世界を統括する存在としての国連の存在意義はいよいよ強まるのではないか、また国連がそういう存在になるための安保理改革(常任理事国を廃止し、総会で選ばれる長期理事国にするとか)、安保理より総会と人権理事会が優先されるようにする、といったことが、必要になるだろう。
 それは、暴力革命ではもちろんない、地味な改革だが、全世界のひとびとから支持されるだろう。
 そのとき、資本主義はカジノ経済であることをやめるよう、求められる。そして、いかに巨大であろうと、企業の利益が、一般の利益に優先するという、いびつな事態は終わっていくだろう。


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