新世紀探偵(4:キタロー・ユカワ邸を後にして)
キタロー・ユカワ邸を後にして、門の前まで歩いて戻ってきたとき、ミネコ・サカイはまだ運転席で紙の本を読んでいた。あたりはちょうどマジック・アワーと言ってもいいような時刻になっていて、私が赤いBMWの助手席のドアを開けると、ミネコ・サカイはようやく書物から視線を上げた。
「依頼の概要は何となく理解できた?」とミネコ・サカイは再び車のエンジンをかけつつ言った。BMWが巨大な獣のようにぶるぶると振動し、排気音を立て始める。
「正直に言って、半分も理解できたとは言えない」と私はシ