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HSPを活用したより安心な溶剤の設計方法
有機溶剤の一種であるジメチルホルムアミド (DMF) は、コーティング産業において特に重要な溶剤として知られており、なかでもポリウレタンの溶解に広く使用されています。しかし、最近では、工業プロセスで使用される特定の有機溶剤の毒性が大きな問題となっており、より安全な溶剤への変更が求められています。
以下の論文では、2種類のポリウレタン(Desmopan®、Desmocoll®) をより安全な溶
溶けにくい化合物の親和性評価
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)は化合物の性質を表す値で、化学的な相性の指標として活用されています。
HSPを実験的に取得する方法として、様々な溶媒に対する親和性を評価する方法が知られており、溶解度測定はその一例です。
溶解度を求める方法として、例えば、UV-Vis分光光度計を使用するケースがあります。これは、濃度既知の溶液のピーク強度から作成した検量線をもとに、濃度未知の溶液の濃度を
有機溶媒に対するタンパクの溶解度
毎度、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の調べものをしていたら、とある文献に興味をそそられたので読んでみました。有機溶媒に対するタンパクの溶解性に関する内容です。
生化学分野の研究で広く使用されている2種類のタンパク(牛血清アルブミン(BSA)、リゾチーム)を用いて、約20種類の溶媒中における溶解量を測定しています。
どちらのタンパクも共通して、ギ酸(Formic acid)とトリフルオ
「なじみやすさ」をどのように評価するか
現在自分が興味を持って趣味でリサーチしている技術に関して、面白い記事を見つけました。
HSPってなに? この記事で述べられているハンセン溶解度パラメータ(以下、HSP)とは、ものとものとの相性(馴染みやすさ、親和性)を数値的に表すことができる技術です。溶解度パラメータ(SP値)を知っている人は、その拡張版と思っていただければ良い。HSPの考え方のポイントは次の4つであり、この記事では主に1と2
大枚はたいて本買った
以前の記事で取り上げた、ハンセン溶解度パラメータに関する本を私費で購入した。
消費税込みで約7万円、コロナ給付金で購入したことにしておこう。消費税込みで約7万円、コロナ給付金で購入したことにしておこう。通常、技術書は会社費用で買うことが多いのだが、自分の専門性を本気で高めるべく、残業中の変なテンションでポチッてしまっていた。
ヴァイオリンのニス塗装に関するHSP的考察(1)
ヴァイオリンの塗装に使用されるニス(オイルニス、アルコールニス)に関して、daddylongbodyさんの興味深い記事を見つけた。
音楽を少しばかりかじった身としては、そんな単純な話ではないとは承知であるが、溶解度パラメータを切り口に考察できたら面白いのではないかと思い、手始めに2種類のニスについて、ハンセン溶解度パラメータ(HSP値)を用いて考察を試みた。なお今回は、松脂の成分をアビエチン
ヴァイオリンのニス塗装に関するHSP的考察(2)
先日のヴァイオリンのニス記事に関して、daddylongbodyさんがとても勉強になる記事を更新されておられた。
記事を読みながら、材料選定や塗装にものすごいノウハウが必要になる世界と改めて感じた。私は小さい頃から打楽器をかじっているが、材質や楽器にかける負荷がわずかに違うだけで音質ががらりと変わることは身をもって体験している。コロナ禍のいま楽器に触らなくなって久しいが、いい音を模索する時間
見てくださる方はいるもので
ありがたいことに、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)に関する私の記事を見てくれている方がいらっしゃるようだ。しかも、HSPの解析ソフトの開発者の目に留まったことが、なにより嬉しいことでした。
魚臭さは植物オイルで取り除け
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)のアプリケーションで、面白いものがあったのでまとめてみました。
フィッシュボックスとは スーパーの鮮魚コーナーで、記事サムネイルのような箱を目にする機会は多いと思います。この箱、発泡スチロールでできたフィッシュボックス(以下、ボックス)は、軽量で断熱性に優れており、鮮魚の輸送に用いられています。しかし、ボックスは衛生上の理由から一度しか使用されず、日本では大量