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アートな旅 ~京都 香るアート~

今回は、嗅覚で楽しむアート「お香」を紹介したい。

日本におけるお香の歴史は古く、飛鳥時代に仏教伝来の頃に用いられるようになったとされている。

以前訪れたのは、京都にのみお店を構える、
サンガインセンス本店 香煙研究所』。
本来のお香とは、自然界にあるさまざまな原料(香料)を刻んだり粉にしたりして混ぜ合わせつくられるわけだが、

サンガインセンス本店 香煙研究所 
店内の様子

本店にはユニークな原料から作られたお香がたくさんある。
お酒で有名なアブサン(ニガヨモギ)、薬草、他にも隕石まで原料としているから面白い!
パッケージデザインもかわいく、以前からネットで見て興味があったのだ。

その時購入したお香
試香のための香炉 スーッと伸びる煙が美しい


店内にある香炉でお香を焚きながら、試香させてもらっていると、
私はだんだんお香だけではなく、自分の香炉が欲しいと思うようになった。

昨日久しぶりに現代アーティスト杉本博司さんの著書「苔のむすまで」で、古美術、骨董の奥深さを読み直したことも相まってか、
興味が沸いた瞬間だった。

偶然にも京都アンティークフェアが開催されているようだったので、
早速行ってみることに。

年に3回だけ開催されている大骨董祭とのことで、会場には、総勢300店舗以上がブースが出店しており、様々な骨董品の展示販売を行っていた。

お目当ての香炉も、よく見ると様々な種類があり、
画商さんやお店の人から、作品の説明を受けながら勉強させてもらった。

しかしやはり古美術の世界、高額なものばかりで、
気軽に訪れた私としては、なかなか手が出ない金額。。。

箱付きは価格が上昇
舟の中に翁あり
牛の背中があくタイプ。空気の穴が小さい過ぎて実用性には乏しい。


とんでもなく高かった覚えが、、1000万とか?


結局この日は買わずに東京へと戻ったが、帰りの新幹線でリサーチし、
翌日今度は有楽町で定期的に開催されている『大江戸骨董市』へ足を運んでみた。

そこで出会った香炉に一目惚れし、迷わず購入を決めた。
サイズは小ぶりなのだが、フォルムや絵柄などどれも愛らしく、
お店の方曰く江戸末期~明治初期にかけての作品とのこと。
値段もお手頃だった。

毎日サンガインセンスのお香を焚いている

数百年の悠久の時を超えて、今私の手元へとたどり着いたこの香炉は、
他人から見れば、価値などあってないようなものかもしれない。

しかしその歴史の流れに思いを馳せながら香を焚く瞬間は、
私にとってはとても贅沢な時間なのだ。

平安時代以降、香気を楽しむ「薫物」が貴族の生活の中で使われるようになり、貴族たちは自ら調合した薫物を炭火でくゆらせ、部屋や衣服への「移香」を楽しんだとされる。

時代が変わり、生活様式や文化はどんどん変化していっても、
人が香を楽しみ、骨董を愛でるという感覚は、
遺伝子レベルで変わらず受け継がれてきているといえるだろう。

またひとつ、アートの楽しみ方を学んだ気がした。


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