「漫画」は9番目の芸術!
私はBD(バンド・デシネ)が好きだ。
BD(バンド・デシネ)とは、フランス・ベルギーなどを中心とした地域の漫画のことで、日本の漫画家たちにも多大な影響を与えている。
ときに詩的で、芸術的な香りが漂っていて、日本の漫画とまた違うユーモアや面白さを持っているところが好きなのだ。
フランスでは第9の芸術に認定されている「漫画」。
ちなみに1〜8の芸術は、「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」となるそうだが、
世界でもっとも有名な美術館である、ルーヴル美術館が漫画を認めるという動きがとても素敵だなと思う。
2005年からルーヴル美術館はBD作家に、
ルーヴル美術館を舞台にした漫画制作を毎年依頼するようになる。
具体的にはBD作家に、ルーヴル美術館の所蔵品から1つの作品もしくは1つのコレクション、あるいは1つの展示室を選んでもらい、それを「ストーリー」の重要な要素にしてもらうという企画だ。
そんな中2009年、日本の漫画家への依頼を決定したルーヴル美術館が、最初に指名したのが、『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる荒木飛呂彦氏だった。
『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の完成版は、翌年の2010年4月にフランスで先行販売され大きな反響を呼び、日本への凱旋帰国でさらに火がつくこととなる。
またハイブランドGUCCIともコラボしたりなど世界的漫画家、いや世界的アーティストとしての階段を駆け上がっていったのだった。
なんとも夢のある話である。
その後時を経て2016年、今度は日本でもBDを紹介する展覧会が、森アーツセンターギャラリーにて開催された。その名も「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」だ。
【BD作家】
ニコラ・ド・クレシー、エンキ・ビラル、マルク=アントワーヌ・マチュー、エリック・リベルジュ、ベルナール・イスレール、クリスティアン・デュリユー、ダヴィッド・プリュドム、エティエンヌ・ダヴォドー、フロラン・シャヴエ、フィリップ・デュピュイetc...
【漫画家】
谷口ジロー、荒木飛呂彦をはじめ、松本大洋、五十嵐大介、坂本眞一、寺田克也、ヤマザキマリetc...
本当にすごい顔ぶれだ!
このようなユニークな企画を是非今後も誰かにやってほしいものだ。
世界がコロナという同じ問題に悩まされ、そこから次の未来を創ろうとしている今だからこそ、
漫画という切り口で、今度は世界中から集めた漫画で何か問題提起できたら面白いだろうなぁと思う。
京都国際マンガミュージアムとか動いてくれないかなぁ(笑)
と、妄想が膨らんでしまってすみません(笑)
一度に日本で世界中の漫画家がコラボしたり、新たな作品が生まれたりすれば、こんなに嬉しいことはないなぁと、つい妄想が膨らんでしまったことをお許しいただきたい。
それくらい海外の漫画もおもしろいので、是非機会があれば自分の好きな海外漫画を見つけてもらえたらと思う。
タイの漫画家 ウィスット・ポンニミット(愛称:タムくん)も大好きな作品のひとつ。
ということで、BD(バンド・デシネ)から話が妄想へと派生してしまったので、
最後に私自身が人生で最も影響を受けたBD作品を2つ紹介したい。
■エデナの世界 作者:メビウス
"世界一絵がうまい漫画家"とまで言われる、バンド・デシネの神様的存在。
宮崎駿の「風の谷のナウシカ」、大友克洋の「AKIRA」などにも多大な影響を与えている。
また反対にメビウス(ジャン・ジロー)も、宮崎駿から多大な影響を受けていて、娘の名前をナウシカにしたことは有名な話。
いったいどうすればこんな描線が描けるのだろうと、ページを捲るたびにため息が漏れるほど描線と色彩、そして世界観が美しい。
私にとっても宝物の一冊だ。
■タンタンの冒険 作者:エルジェ
そのジャン・ジローにも影響を与えたといわれるエルジェ。
タンタンの冒険は、絵本だと全17巻、馴染みのある人も多いだろう。
2011年にはスティーヴン・スピルバーグ監督初の3D映画として話題を呼んだ『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』の原作だ。
いつかベルギーのタンタンミュージアムを訪れてみたいと思っている。
このように、漫画のクリエイターは世界中でどんどん増えていて、多様性が生まれているし、ちゃんと需要もあるので、漫画界はますます盛り上がっていく領域だろう。
時代とともにサブカルがアートの域まで押し上がっていく現象は、昔大衆のファストフードだった寿司や天ぷらが、現代の高級品になっていく現象にどこか似ている気がする。
漫画家のハイブランド化が進む前に、色んな漫画を読んで、アツい漫画に出会ったら生原稿とか原画買ってみようかな〜
と思う今日この頃でした。
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