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人生編 1 より善く行う 営みの積み重ね

 雨水の頃  たちのぼる霧を目の前にして 師匠が 語りました


友よ
大事なものは ひとの目では見えない
星の運行も 太陽の動きも 地球の回転も

おごってはいけない
人は目で見ていながら その本質をとらえていない
風の行方も 潮の満ち引きも 大地の移動も


あなどってはいけない
人は理解したつもりでも それを制御できない
季節の変動も 生物の生死も 時間の連なりも

ただ あきらめてはいけない
人は見えないものを 観ようと努力してきた
原子の動きも エネルギーの運用も 生命の螺旋も


見えないものを 観るための工夫
とらえられないものを 掌握する努力
かつてないものを 作り上げる連携
より善く行う 営みの積み重ね

それが ひとの道具


あなたは 道具をつくり 日々働く
果てしない作業のなかで 道具に少しづつ工夫をする
より善く行う 営みの積み重ね

それが ひとの進歩


あなたは 使いやすくなった道具をほかの人に手渡す
渡された人が その道具にまた工夫を施す
より善く行う 営みの積み重ね

それが ひとの社会

あなたには見えないけれど 
あなたの日々の工夫があることで 

人の手ではいままでできなかったことが
できるようになる

人の目ではいままで見えなかったものが
観えるようになる

より善く行う 営みの積み重ね

それが ひとの歴史

友よ
大事なものは 人間の目では 見えないのです
あなたが ひとの歴史を進めていることを 
あなた自身が 一番知らない


あたりを覆っていた霧が去り、野の花たちが立ち現われました

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