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戴いた魚を図鑑で調べてみたら驚きの展開となった話

イシモチを食べる

今夜は『イシモチの塩焼き』を食しました。

食事中に、『イシモチ』は鋭い歯があることなどから「怖い顔だね」と子供もいうので、一体どんな魚だろうね、何を食べているのだろうね、と話しながら、食後に調べることにしました。


イシモチは何を食べる

図鑑『小学館の図鑑NEO 魚』にてイシモチを調べてみましたところ、索引では「イシモチ→クログチ」となっており、クログチを調べてみると、

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クログチ≪ニベ科≫ 水深100mより浅い砂泥底にすみます。名前のとおり、口の中がまっ黒です。 全長 40cm, 分布 南日本、東シナ海,  人との関わり 食用、ねり製品の材料

と記されていました。


別のソースからは、クログチの食性は、

主に多毛類や甲殻類などを食べる動物食性。

ということがわかりました。多毛類とは一般にはゴカイなどです。


図鑑の魅力

図鑑の情報で、まず気になったのは、『ニベ科』という科名です。

図鑑によると、ニベ科には背びれに8〜11本、しりびれに2本のとげ(棘条)があるという共通性があるようですが、そもそも「ニベ」とは何だろうと思ったのです。

そうしましたら、イシモチ(クログチ)のすぐ隣に『ニベ』の項目が記載されておりました。

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ニベについて、何より興味深く、勉強になったのは同じページの脚注の記載でした。

そこには以下のように書かれていました。

ニベからとれるにかわ(膠)(接着剤の1種)は接着力が強いので、「にべ」は「人なつっこい」という意味を持ちました。反対に、「にべもない」は愛想がないことです。

なんと驚きです。「にべもない」の「にべ」は魚の名前だったなんて!

さらに語源由来辞典によりますと、

「にべもない」の強調語には「にべもしゃしゃりもない」という語が記されているので、

つぎには「にべもしゃしゃりもない」を調べると、

「しゃしゃり」は粘りけなくさらりとしていること

とあり、したがって、

にべもしゃしゃりもない」とは、

ねっとりとした味もさっぱりした味もない。愛想もそっけもない。思いやりがない。にべない。

という意味となるのです。


落語では

似たような言葉で、落語のなかでも良く出てくる

愛想もこそも尽き果てる

という文句がありますが、

この「こそ」とは、

小想」と書き、口調をよくするために添えたものであり、

愛想も小想も尽き果てる

とは「全く好意が持てなくなること」という意味であることがわかりました。


ニベとズートピア

話はだいぶ逸れましたが、このようにイシモチからニベの話を食卓で家人と話していると、子供が「愛想ってなに?」と訊ねてきました。

そこで「ニコニコとして、可愛らしくしていることだよ」と説明してみると、

「『ズートピア』で「ダグは愛想が悪い」っていわれていたよ」

というのです。

それは、ディズニー映画「ズートピア」に登場する悪役の協力者であるヒツジの「ダグ」のことで、劇中確かに「愛想が悪い」といわれていました。

そんなこんなで、子供も新たに言葉の意味を知る機会になったようです。


ゴカイが人類を救う?

ちなみに多毛類のところで登場した「ゴカイ」ですが、調べていると「ゴカイが人類の未来を救う」という見出しを見つけました。

そこには、

私たち人間は呼吸によって酸素を吸収しますが、吸収された酸素は血液中に含まれるヘモグロビンによって体の各所に運搬されます。
近年の研究でこのヘモグロビンについての研究で、ゴカイの血液がヒトの血液の40倍以上もの酸素を運べることを発見されました。
しかも人間の場合、赤血球中にヘモグロビンは含まれていますが、ゴカイの場合は血中に溶けて存在しています。
将来的に、ゴカイの血液を輸血に使用することで、効率よく酸素を供給したり、手術後の回復を速めたり、なんてことが現実になるかもしれません。

と記されていました。

なんとも興味深い内容です。


おわりに

以前の記事でも食べた魚について調べた過程を紹介しておりめした。

図鑑で調べると、対象の周辺に関連する項目が並んでいるので、自然と目に入ります。

すると、そこへ記されている情報が気になって、さらに調べるという行為に繋がり、疑問が現れ、それを解決するという連鎖が生まれます。

これはネット検索で得られる体験とは異なり、俯瞰的に情報を見てとれる図鑑ならではの良さであり、もっというとアナログな紙媒体の書物の持つ貴重な特性なのだと思います。


おしまい

最後までお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは麦チョコ研究助成金として大切に使用させて戴きたいと思います。