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【棚から1冊】バナナを逆からむいてみたら

不安を感じることが多い時代です。

恐れることによって、脳は悪いこと、ネガティヴなことを考えることが習慣化し、不安が定着さらには増大してしまいます。

その際、意識していないのですが、視点(物の見方)が固定されている場合があります。


視点を変えてみる

本書のタイトルは、実はバナナはヘタからではなく先端から左右に引っ張ると皮が簡単に剝けるということに由来しています。

サルはそうやって剝くそうなのです。

著者はケンブリッジ大学で理論物理を学んだ後に高校教師を経て、仏教を学び、やがて「瞑想の師」と呼ばれるに至ったアーチャン・ブラーム。

32話からなる本書は、いずれも示唆に富んだ話題です。

そのなかから幾つか御紹介します。


頭の中のアルバムを更新する

現実で部屋に飾る写真、スマホの待ち受け画面などは、大抵観ていて嬉しい写真でしょう。美しい景色であったり、愛しい人や動物であったり。

失恋した瞬間、人混みにもみくちゃにされている自分自身、不採用通知を受け取った時の自分などと、思い出したくないような時を写真に残し、部屋に飾ることはないはずです。

しかし、脳内にはいつまでも嫌な思い出、悲しい記憶が残っていることがあります。

これを幸せな瞬間の記憶に書き換えることを奨めています。


不幸グセを追い払う

悪いことが続いたり、自分が幸せになることは出来ない、その価値がない、と思っていると、

「幸せになるチャンスが来ても、それを追い払うクセがついて」しまいます。

そのクセを追い払ってしまいましょう。

本書では、「権威ある人」とありますが、信頼する人、尊敬する人から「幸せになるライセンス」を受け取ることによって、喜びを拒否しなくなるエピソードを示しています。


日々何かに追われているなら

「あれをしないと、これをしないと」と日々行うことに追われて、文字通り忙しく「心を亡くして」しまっている時、心ここにあらずと気持ちが焦っていることがあると思います。

一つのミッションが終わると、その次、さらに次。

「私はどこに行こうとしているのだろう? 仮にそこに着いたとしたら、それからどうするつもりだろう?」

と思うのであれば、

「今ここにいることを大切にしている」と考えることを奨めています。


マインドフルネスでは「今ここにいること、存在することに注目する」という意識が登場します。

過去や未来を考えて不安になることから離れるために、今の一瞬、瞬間、瞬間を意識することで、心の不安は軽くなります。


比べない

我々は、ついついヒトと比べてしまいがちです。

自らの物差しで己が勝っているなら、優越感というカタチで安心をもたらしているのかもしれませんが、ひとたび他者が勝っている状況を感じるとそこから劣等感、ストレス、不安、焦りを感じます。

ハナからその「他者との比較」を行わないように出来れば、その心配もないのです。


恐怖心が不安を増強する

目に見えないウイルス、先の見通せない社会に対する不安、雇用への不安、健康不安、死の恐怖、様々なカタチで見えない恐ろしさが立ちはだかっている、そんな気持ちになって仕方がありません。

過度な恐怖は、不安を増強してしまいます。

呼吸に集中して、「今ここにいること」に集中すること。

同じ事象でも「最悪の結末」を考えず「(僅かでも)ハッピーエンド」を考えて、その画像(記憶)へ置換する。

それが簡単に出来れば苦労しないのですが、思い浮かべることを続けていくと、負の(ネガティヴの)力は徐々に弱体化していきます。


大きな不安に押しつぶされそうなとき

心と体は繋がっています。

不安を感じると、人によって様々でしょうが、頭痛、肩凝り、腹痛、動悸などなど何かしら体の不調を感じるのではないでしょうか。

著者は、その不調を感じる箇所と状況を観察し、詳細に理解することを行い、

その後、不調を感じている場所をマッサージするようにといいます。

まさに「手当て」ということです。

すると不調を感じていた箇所が和らぎ、不安自体も消失するといいます。

例えば、「肩が凝る」方は、肩がグニャグニャに柔らかくなることをイメージすることを思い浮かべてみましょう。

それを続けることによって「肩が凝る」ことを意識すること自体から自らを遠ざけることに繋がります。

すると不安も軽くなっていくはずです。


おわりに

30分程度で読んでしまえるような読みやすい本書ですが、ハッとするような「発想の転換」、「気づき」をもたらしてくれるかもしれません。

今回は、本書に書かれている内容に他書や自身で実践した経験などを加えて示しております。


おしまい

最後までお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは麦チョコ研究助成金として大切に使用させて戴きたいと思います。