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「麺入ります」「有難う」

所変われば品変わる

「いらっしゃいませ」

お店といわれるような場所へ赴くと声掛けされることの多い単語です。

「『いらっしゃいませ』というのは『こちらに来てください』という意味合いの言葉で、江戸時代の見せ物小屋が道行く人たちに向かって、小屋に立ち寄ってもらうために『いらっしゃいませ(まし)』と声掛けをしていたことが江戸時代の書物に書かれています。現在、客に対して店員が『いらっしゃいませ』と声掛けをするのは、江戸時代の見せ物小屋で行われた慣習の名残と思われます。

というように以下の記事によると「いらっしゃいませ」は、江戸時代から続く言葉のようです。


「いらっしゃいませ」の役目は

1つ目は来店してくれた客へのあいさつです。来店してくれたことを『歓迎しています』という気持ちを表すとともに、店員からあいさつをすることで店員と客との間の緊張感を和らげ、客が安心して買い物ができる雰囲気をつくり出す
2つ目は、入店したことに店員が気付いていると客に知らせるためです。客が商品を買おうとするとき、あるいはサービスを利用しようとするとき、店員に対して説明を求めたくなることがありますが、『いらっしゃいませ』と声掛けをすることで、客は何も言われないよりも店員に聞きやすくなります。

というように、「いらっしゃいませ」と声掛けすることにより、客とのコミュニケーションが取り易くなるという理由があるようです。

そのようななか、スターバックスの「こんにちは」という挨拶は新鮮さを放っています。

型にはまった『いらっしゃいませ』よりも『こんにちは』などの日常生活でも使われている言葉の方が効果的

という分析です。

一方で、「いらっしゃいませ」には、商品を買わせようという店側の圧力が存在するという意見もあるようです。


「いらっしゃいませ」を廃止する

そんななかご存知、吉野家は
「いらっしゃいませ」という挨拶を止めてしまいました。

それではどのような声掛けに替えたかというと
おはようございます

こんにちは
といったあいさつだそうです。

よりスターバックス的な変化をしたわけですね。

今回の改変を発案した吉野家ホールディングスの河村泰貴社長は

「『いらっしゃいませ』はお客さんが返事のしようがないが、『こんにちは』だと返事をしやすい。そこで会話が生まれることもある」

といいます。

「いらっしゃいませ」が客側とのコミュニケーションへと繋がるという選択があるかと思えば、

「こんにちは」にこそコミュニケーションのチカラが発揮されるという上記のような見解もあるようです。


某うどん屋にて

このような客に対する店の声掛けに変化が生じつつある現状ですが、

不可思議に思う店の従業員同士の声掛けがありました。

とあるうどん屋さんに入ると

店員の1人がオーダーに応じて、
麺を茹で始める際に
麺入ります!
と威勢の良い声をあげました。

すると残る店員達が
有難うございます!
とこれまた威勢の良い声で応じるのです。

うどん屋さんなので、間違いなく客はうどんをオーダーするわけです。
よってお客さんが入店するたびに上記のやりとりが繰り返されます。

何度も聴いていると何のための声掛けなのか、何故レスポンスが「有難う」なのか?と感じて参りました。

どちらも伏せられたり、略されていることもない日常的な日本語として理解できるので、対話という形での不可解さが募りながらも
そのやりとりが聴こえつつという状況で、客は麺を啜っているわけです。


おわりに

やかましく文句を言いたいのではないのですが、店という1つの閉鎖空間では、その企業が独自の世界観を作り上げていますし、それはそれで良いのです。

そこへ客はときとして非日常や体験を求めて通ったり、逆に日常の居心地の良さを求めるわけです。

合う合わないも客個人が判断すれば良いことです。

不可解さも楽しめるエンターテイメントと思えば、それもまたよし。

かな…。



おしまい

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