14ひきのやまいも(14匹シリーズ 第3回/全12回)
【はじめに】
さあ3作目。
本作はこれまでと打って変わって野外活動です。
そしてこれまで目立つことの少なかったおじいちゃん面目躍如の回でもあります。
【解説】
1.山道にて
14匹の家族全員で山芋掘りへと出かけます。
みんな一列に並んで山道を進んでいるかと思いきやさにあらず。
ごうくんは木に登り、
はっくんは蔓にぶら下がり、木の実や草の実採集をしています。
ろっくんは木の枝に登ったものの、両手でしっかと枝にしがみついたまま怖そうにしています。
次の山道のシーンでもごうくん、はっくんは高台(木の切り株か)に登って、ろっくんは途中に生えているキノコの傘にしがみついてます…。
なっちゃんはセンブリの花の匂いをかいでいます。
2.山芋掘りのポイントへ到着
ふむ、これは よさそうだ、と おじいさん。
きっと、ふとい やまいもが ついているそ、 と おとうさん。
というように、山芋の蔓をみてこれから掘る山芋を決めました。
この嗅覚は、山芋掘りの名手おじいさんの匠の技です。
ここでもごうくんとはっくんは木登りを始めています。
ろっくんは疲れて喉が渇いたようで、にっくんに水筒の飲み物を注いで貰っているところです。
にっくんは、とても面倒見のいいお兄さんです。
3.零余子(むかご)とり
にっくん、ごうくん、ろっくん、なっちゃん、はっくんは木に登り、
むかごを採り始めました。
採ったむかごは下へ落とすようで、よっちゃん、くんちゃん、とっくんに拾ってくれるよう呼びかけています。
4.山芋掘りはじまる
おじいさんとおとうさんが山芋掘りをはじめました。
おばあさんとおかあさんは、掘るポイント周囲の落ち葉を木の枝でどかし始めました。
それに驚いたテントウムシ、ハサミムシ、毛虫が逃げて行っています。
次のページでは、
堀る選手がおじいさんといっくんの2人組に替わっています。
傍ではっくんが、シャベルを使って器用にホッピングのように飛んでいます。彼の身体能力の高さは秀でています。
その隣ではお馴染みろっくんが同じようにシャベルで跳ねようと試みるも転んで尻餅ついています。
それをなっちゃんが笑っています。
穴はだいぶ掘り進められ、背の高さ近くまでに達しています。
周囲では、くんちゃん、とっくんが砂場遊びのように山を造って、
そのなかのトンネルには、カブトムシか何かの幼虫が顔を出しています。
実はこの幼虫、前のページでくんちゃんが発見したコなんです。
2人はまだまだ幼さを醸し出していますね。
なっちゃんは先程はっくんがやっていたように、シャベルでピョンピョン跳んでいます!しかも笑顔で!! 彼女も身体能力が高いんですね。
それに比べて、ろっくんは、なんと背の高さほどの深さになった穴に落ちてしまいます!!
本当に災難続きのろっくん…。
実はこれには訳があって、山芋の蔓にはっくんがよじ登っているのですが、
どうやらろっくんも彼に続きたかったようなのです。
しかし果敢に挑戦する姿勢は評価に値します。
山芋掘りも佳境に入ってきました。
穴を掘れば、その分の土を運び出さねばなりません。
手分けしてみんなで土を運び出しています。
傍らでは、ろっくんに水筒の飲み物を末っ子のとっくんが差し出しています。下の子は上の子をみて育つんですよね。ぐっときます。
背丈の3倍ほどの穴を堀り、いよいよ山芋を引っ張り出す作業に取りかかります。
しかしここまで掘り続けているおじいさんの体力たるや。
おじいさんは いもほりめいじん。
とありますが、パワフルさにも脱帽です。
総力戦で綱引きによって、山芋を掘り出します。
はっくんは、山芋の蔓にぶら下がっているのですが、
これははじめサボって遊んでいると思っていたのですが、
おそらく彼の性格などから考えても、全体を見渡す係として抜擢されたのだと思います。
蔓にぶら下がるという芸当は彼にしか出来ない適役だからです。
5.山芋収穫!
遂に巨大な山芋が堀り上げられました。
汗を拭う本日のMVPおじいちゃんには、おばあちゃんが水筒を手にして近寄っていきます。2人の仲の良さもほんわかとした気持ちにさせてくれますね。
帰り道。
この巨大な山芋を運ぶのも一苦労です。
神輿のようにしてかついでいます。
1本の草を手にして先頭を歩くのははっくん。
これは纏(まとい)のような役割を果たしているのだと思います。
くんちゃんはおじいちゃんに手を引かれ歩いていますが、
とっくんはおばあちゃんにおんぶされて眠ってしまいました。
空には赤とんぼが飛んでいます。
6.家に着いて
厨房に14匹みんな揃って、山芋短冊、とろろ、むかご茹でを手分けして造っていきます。
ろっくんは山芋短冊をつまみ食いして、1本くんちゃんに差し出しています。共犯者をつくろうって気ですね(笑)
最後はみんなで食卓を囲み、楽しい山芋三昧の夕飯。
ここでは、飲み物のポットを持って食卓へ歩いてきているごうくんへコップを差し出し、飲み物をねだるなっちゃん。
ごうくんは要求に応えるのが不本意のような素振りをみせています。
これは2人のお決まりのやりとりですね。
全体的に秋の野山が舞台なので、多くの植物が描かれています。
見返しには両方に名称と共に植物の絵が描かれ紹介されています。
【(独断の)対象年齢】
こちらも1歳半くらいから楽しく読めると思います。
【書誌情報】
14ひきのやまいも
いわむら かずお
童心社
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