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あなたの目の前に「電子ジャー」があったならば

さて。
ただ今23時、駅前のマクドナルドで書いてます。
コロナ禍にて自宅で作業することも多くなり、とは言ってもずっと自宅は飽きちゃうので近場でゆっくり居ることが出来て、明るくて、ゆったりした席も選べて、他人の目もあってサボれないのが私には快適です。
ファーストフードはあまり食べない様にしているのでこれまでは一年に数回しか入らないかったのが今では昼やら夜やら週に2,3度お世話になっております。ただ、半年ほど通っていながらドリンク以外を頼んだのはナゲットとポテトを1回だけという不経済なお客です。

閑話休題。

タイトルですが、そんなマクドナルドにもお世話になった2020年を振り返って「今の自分の在り方」を考えている中から付けました。以下目次。冗長に書いているのでさくっと読み流したい方は③だけ読めば十分です。それではよろしくお付き合いくださいませ。


①電子ジャーを仕掛ける


初めに電子ジャーについて説明しなくてはなりませんね。

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これです。炊飯器より電子ジャーです。そもそもの明確な二つの違いは分かりませんがイメージで。ここでいう電子ジャーをもう少し具体的に言うと鳥山明のドラゴンボールに出てきたピッコロ大魔王を封じ込める電子ジャーの事です。

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過去、本とか雑貨の小売りのお仕事をしていたのですがそこで仕掛けていたネタです。なぜか備品に電子ジャーがあったのでドラゴンボールのコミックと関連グッズの売り場の前に置かれることが定番になっていました。
ドラゴンボールの売り場に電子ジャーがあったらあなたはどうしますか?大体の人が開けます。すると中にはペライチのメモで「メシ行ってきます」。皆さんズコーッってなったり、ツッコミを入れたり、同行者と笑いあったりしてくれるわけです。その様子を見て仕掛けた本人はニヤニヤしているのです。発信側の狙いに受ける側も良い形で掛かっています。普通は人の家の電子ジャーを開けることもしなければ、道端に落ちていても素通りしますね。でも、このシチュエーションだと開けてしまう。(もちろんその為にはここで言えば店の環境や信頼が前提になりますが。)お客様に気に留めてもらい、商品に手を伸ばしてもらおうとしてこんなことを色々と企んでいたのです。
WSDを卒業して5年。その間に働き方も世の中の状況も大きく変わり、軟らかいものから硬いものまで多くの場を持たせていただきました。それを経て2020年の最後の月に思っていることは三つ子の魂・・・ではないけども、過去の経験はユニークさとしてやはり活かすべき。場づくりの世界において自分の在り方はこの電子ジャーの仕掛けの様に参加者が好奇心から能動的に参加し、他の参加者と楽しさを分かち合える体験をこっそりと提供できる存在でありたいということです。

②何者


自己紹介遅れました。初めて私を知る方、あるいはあまり素性を知らない方へ簡単に。
WSD青学20期の八住と言います。WSDコードネームはジャスミンです。コードネームだけ聞くと女性と思われがちですが、おっさんが出てくるのでギョッとされます。今は独立で講師業、ワークショップやイベントの場の企画運営、たまに人前でお話しさせていただいたり、書かせて頂いたりしています。
昨年の夏前までは企業に所属しながらの活動で、ヴィレッジヴァンガードやTSUTAYAなど小売り、エンタメに関連した仕事を主に。現在の事業は個人として、プロジェクトでチームとして活動しています。プロジェクトも色々ありますが、3つ紹介すると、小売りの店舗POPと販促のノウハウを発想とコミュニケーションに活用する「全P連(全日本POPとそれにまつわる諸々のこと連盟)」。振り返りや内省をテーマにプログラム提供やリフレクションカード®というツールを使った場やファシリテーターの育成をする「リフレクションメソッドラボラトリー」。最近は遠方のメンバーとオンラインで繋がり、面白そうなネタが浮かんだらそれ、作戦会議ね!と企画も実施もすべてオンラインで済ませる「合言葉は作戦会議」。
 という形で雑多な活動をしておりますが、個人事業としての屋号を「ピラミッド計画」として纏めコンセプトは「ナナメウエをつくる」、肩書を「視点と行動のファシリテーター」と置いています。これについてのもう少し説明は次項に絡めて。良くも悪くもコロナ禍にて活動の軸を俯瞰、設定し直した一年はこの肩書にも大きくリンクしています。

③そこに至ったキーワードと事例


 今私として電子ジャーを仕掛ける様な在り方を考えること。それがどういうことなのか?とそこに至るまでに行動を通してピックアップしたキーワードを5つ、事例等も交えながら書いてみます。初めにお伝えしておきますが、5つのキーワードは今年一年を振り返りながら浮かんだものを気の向くままに羅列したので順不同で若干一貫性に欠けるかも知れません。そして、WSD的にご理解いただきたく思いますがここで導き出した在り方は多様性における私なりのユニークさとして受け止めてもらえればと。

■視点と行動のファシリテーター■
前項で書いたとおり、今の個人事業の肩書の一つをこう定めています。電子ジャーを仕掛ける様な在り方を言い換えています。
分解して解説すると。ファシリテーターはざっくりと「自らは触媒として皆さんを目的に導く者」。ファシリテートするのは皆さんが新しい視点と行動の選択肢を持つこと。です。
今年大きかった気づきの一つが、私自身が実は周りが思っている程人前に出るのが好きではないっぽいということ。生業として人前に立って話す機会は多く、それが一般的な講師やファシリテーターとして当たり前なのですが。意外と思われる方もいるかも知れません、これまでの経歴を振り返ってみれば仕掛けはすれど人前に出るのは気が進まない、でもお客さんとのコミュニケーションは嫌いじゃないという職人的(?)な育ち方をしていたのが関係していそうです。(もちろん、仕事や役割として必要な時にはちゃんと出ますよ。)
 そんな透明感のある存在として、ちょっとユニークな経歴を持つ者が提供したいのが「ナナメウエ」です。いつもと違うナナメウエな視点で新しいナナメウエの行動、その結果がナナメウエに向上するとイメージです。それではここからそれを提供していく上で、今の私の在り方に影響与えた今年のキーワード共有します。

a)仕掛け
改めてこの仕掛けというキーワードは私の在り方において大きな影響を与えています。仕掛けの条件とするのは「仕掛ける側と仕掛けられた側の目的に二元性があること」「仕掛けは強制することではなく、幸せなもう一つの選択肢を与えること」。例えば、上ると音が出る鍵盤の柄の階段があるとします。仕掛ける側の意図は階段を上ることでの健康増進。それに対して受け取る側は音の出るピアノを連想していつもはエスカレーターだけど試してみたくなる。いつも通りエスカレーターに乗ってもいいけど、こっちにしてみよう。。。これは行動経済学(ナッジ)の要素とそれを含んだ人を良き行動に導く「仕掛学」を研究している大阪大学の松村真宏さんから影響を受けています。電子ジャーもここに当てはめるとまさにそう。仕掛けの条件については今まで感覚だったものからその解像度がクリアになりました。
そしてもうひとつ、仕掛けの視点として「これってそういうことかも」と直観で思ってもらうこと。これは、元任天堂Wiiの企画開発者である玉樹真一郎さんからのインスパイア。著書の中でなるほどな、と思ったのがファミコンのスーパーマリオで一番最初の指令って何だと思いますか?→右へ行け、なんですね。それを想起させるための工夫があの画面の中にちりばめられている。そして実際に右に進むとクリボーが出てきてそれが正解だったと判ります。次はクリボーを踏んで倒すのかな、、、と仮説と正解の繰り返しで面白さが積みあがって行くという仕組みです。場の仕掛けでもこういう形のコンボを組み込めるのが理想ですよね。つい「ワークをやって下さい」になりがちですから。
b)共体験
 これはコロナ禍でのコミュニケーションでとても大切なことの一つであると思っています。春から夏にかけて多くの人がこれまで普通に交わしていたリアルなコミュケーションが出来なくなってしまいました。オンライン上での交流は慣れない視覚と聴覚に限定。会話の音声は一方通行を交代に、常に画面上のお互いを見つめ合うのもなかなかのストレスでした。オンライン上でできるだけその障壁を減らせるようにと場を作る上で言葉を使わなくても、離れていても同じ体験を交わせるように心がけてみました。
 今年の初めまで某社様にて毎月社内社外入り混じってのワークショップを企画運営させてもらっていましたが一時中断、8月にオンラインで再開。これまでは大人数でワイワイと交流しながらでしたが、ブレストも全体共有も同じようにはいかず。同じことが出来ないならオンラインでしかできない形を、という事でgoogleスライドなどの共有ツールで同じシートを触ってもらいながらブレストや共有を試みたりしています。これに関しては参加者全員がオンラインリテラシーの足並みが揃えば効果は絶大ですが、そのあたりの課題はまだまだ大きく工夫が必要だと感じています。
 もう一つ、オンラインで共体験を創出する企画としてオンライン謎解きも企画実施しました。謎解きと言えば数多大御所がおりますが、場所を必要としないオンラインではZOOM上のブレイクアウトに閉じ込めて、出題はLINEビジネスにて自動的に行ったりでそれなりに作れます。そしてそれぞれが自宅にいることならではのミッションも入れてみました。。
 オンラインでの制約のおかげで共体験の楽しさを大きく実感できました。これをリアルに還元すると何ができるか?いくつかの仮説をこれから実験するのが楽しみです。

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c)平等
 これはこの状況下に限らないキーワードですが、オンラインで実験してみたら面白かった項目でもあります。もともとは哲学対話をテーマに、レゴ®シリアスプレイ®とリフレクションカードをコラボした公開講座の企画をことになり、後学の為に参加した哲学対話の場で若者と高齢の方の意見がそれはもう相容れないことこの上なく。これはもちろんファシリテーターの力量にも寄りそうですが、この先入観だか、固定観念だかの不平等さを場の仕掛けでもなんとかならないかなー、と考えてしまった次第。件の公開講座についてはツールの効果もありその辺はクリアできました。
 別のオンラインで実験してみたら面白かったのはワークをする上でお互いの名前と顔を隠したまま行い、最後に自己紹介をするという流れ。近しい実験された方もいるかと思いますがこれはオンラインじゃないとできない形なのでまさにコロナ禍ならでは、です。リアルで仮面付けてきてもらって交流するのはミステリアスで面白そうですが、実施のハードルは高そうなので、せめて匿名性の部分に着目した場を妄想していて、こちらは春位に実験できそうな場のお話もあり実験してみようと思います。

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d)違和感
 皆さん大好きな「問う」こと。その為に大切な要素だと考えます。今目の前にある風景や状況からどれだけのことを観ずることができるか?観ずる機会が今すぐ役に立たなくても問う力と暗黙知としての直観を育むと考えます。疲れちゃうのでいつも真面目に問わなくても大丈夫。ちょっと気になったり面白かったりするものを気になったり、突っ込んだりする位が良いと思っていて、実践がてら日々の違和感をストックしています。
→instagram:「違和感を」~全P連100のよそ見
が、これがどうイケてる学びに繋がるかはこれから整理。ただ、世界を見る目線は拡がったはず。

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e)ココロを動かす
 これは仕掛り中のキーワードです。私の過去職の小売りでの教え「物を売るなココロを売れ」が元ネタになっています。毎年Japanマーケティングweekのセミナーに登壇させていただいているのですが、今年はコロナの影響もあり、感染拡大防止の為の行動変容を促す内容も織り込めないか?とのオファー。はい、了解です、と安請け合いしてしまいましたが、目下どう伝えるのが練っている所。ポイントとしては「そうした方が良いのは解っている」「でも自分は対象ではない」と思っている人を対象者と認識させるか?ワークショップにおける参加者意識の増幅に活かせるのではないかと目論んでいます。

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④改めて、在り方


 2021年に向けて視点と行動のファシリテーターとしての在り方をアドベントカレンダーという機会をいただき良い振り返りをすることが出来ました。誘ってくれたちょなん氏に感謝。2000人ワークショプデザイナーがいたらその人数なりの在り方があるはずです。どうしても表舞台やニュースなどで色々な方の活躍を見るとそれに追った内容、振舞いをすべきと焦ってしまう人もいるかも知れません(私もそういう時あります)。焦って道を引き直すこともあり、今の自分の在り方に向けた次の一歩を置くこともあり。私は今回は後者を選んでみます。
 在り方における目指すべき行動について③を書きなぐっている中でもうひとつイメージを加えてみようと思った点を追記すると、参加者の小さな「面白い」を積み重ねる、ということです。ここで言う面白いとは笑えるという意味だけではなく、発見する、思わずうなってしまう、気づく、目の前が明るくなるといった要素も当たります。場を作る上で当たり前の教えですが、プログラム内の一つ一つのワークに目的に沿った良い意図をもってデザインする。小売りで例えると「安い」がテーマのお店に入ったら様々な場所で安さを感じると、結果この店で自分の欲しいものを安く手に入れたくなるといった感じでしょうか、ちょっと違う?。まぁ、細かい仕掛けをちりばめる工夫もしたいということです。
 ということで、今年私の作る場に参加頂いた方は長々と書いた内容に少しだけでも「なるほどね」と思ってもらえた所があれば嬉しいです。そして、2021年に放っていく場は私の在り方がちゃんと反映されている(もしくはその努力がある)かを見てやって下さい。プレッシャーですが色々と楽しみながらトライしていきます。さて、そうして置かれた「電子ジャー」をあなたは開けてくれるだろうか?
 また一年後に振り返ってみて共有する機会もあるかも知れませんので、その際は是非。ご精読ありがとうございました。











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