マガジンのカバー画像

一次創作全集

8
運営しているクリエイター

#連載小説

夏の暑さと後悔と

夏の暑さと後悔と

(一)

「あのさあ」

同居人はリビングのソファの上にどかりと座って、クルクルと回るオシャレぶったファンを目で追いながら、そう口を開いた。

「それってぼくに言ってる?」
「あんた以外誰がいるのさ」
「それもそうか」

冷凍庫から買い溜めていた冬季限定のアイスを取り出す。6月末の昼下がり。梅雨も終わり、ムシムシとした暑さが身体にべっとりと張り付くようだ。

「お、アイス食べんの?しっかしさー、あ

もっとみる