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#ZSJtrackoftheday - ザック・セイバーJr.と音楽紀行 -

※この記事は2022年4月にBloggerで発表した内容に加筆・修正したものです



まえがき

2024年8月18日、夏の両国国技館。英国出身の外国人プロレスラーが日本のプロレス界で頂点を制した。

新日本プロレスの真夏の祭典、G1 CLIMAX 34 決勝戦で辻陽太を破り、ザック・セイバーJr. が初優勝。外国人選手としてはケニー・オメガに続き2人目、英国人レスラーとしては史上初の快挙を成し遂げた。

ザック・セイバー Jr.と言えば、綿密なテクニックに裏打ちされた難解なフィニッシュ・ムーブの数々とユニークな技名、そしてウィットと毒に富んだ発言。そこには彼の音楽の趣向が少なからず反映されている。


例えば、彼の得意技を挙げれば、Mogwaiyouthmovie soundtrack strategiesの曲名が引用され、旋回式の技コンボに至っては「You Spin Me Round Techno Remix」というDead Or Aliveな文言を追記している。

それ以外にも、インタビューの発言では

プロレスは音楽のジャンルみたいなもの

【無料公開!】「俺とオスプレイがしていることは、全然違うように見えてじつはどこかで繋がってる」2.2札幌で激突! ザック・セイバーJr.にインタビュー!!』より

最高のポップスターの一人であるジョージ・マイケルに捧げたい

「NEW JAPAN CUP 2022」オスプレイ戦バックステージコメントより

ブライアン・イーノを知ってるか? アンビエント・ミュージックを創り上げた人だけど、自分は彼のように古き良きものから新しいも創り上げる。そういう人になりたい

「俺こそがストロングスタイルだ!」オカダ戦決定のザックが“英国人初”のIWGPヘビー級王座戴冠を宣言!!【3.22一夜明け会見】」より

といったように音楽ネタを交えたユーモア溢れるコメントを残していた。

これらのようにザック・セイバー Jr.というレスラーを語る上で、音楽文化は切り離せない存在になっている。

SNS上においても音楽に関する発言が多く、自身のTwitterでは、その日に聴いている楽曲を「#ZSJtrackoftheday」というハッシュタグと共に紹介していた。(近年はSNS自体稼動していない)


#ZSJtrackoftheday 」は、2011~2018年の間に数多く投稿されており、ポストUKロックをはじめ、アンビエント、テクノ、ノイズミュージックなど多岐ジャンルに渡る。

それゆえ無機質な楽曲や、穏やかな曲も多く紹介されており、感情を剥き出しにすることが日常となっている現代プロレスにおいては異質に見えるが、ザック・セイバーJr.という唯一無二のキャラクターを作り上げた重要な要素であることは間違いない。

本noteでは「 #ZSJtrackoftheday 」のタグの付いた楽曲(ザック自身がSNS上で紹介したもの)を年代ごとにプレイリストにまとめた。
一部タグ付けされていなかった曲も含まれているが、関連性が高いと考えプレイリストに含めた。


ザックの感性に触れた音楽の宝庫「 #ZSJtrackoftheday 」を改めて振り返ることで、ザック・セイバーJr.というプロレスラーの思考、そして今後の目線に関するヒントが見つかるかもしれない。

#ZSJtrackoftheday プレイリスト 2011-2012



#ZSJtrackoftheday プレイリスト 2013-2015


ザック選手の旧入場テーマ曲Joy Orbisonも収録

#ZSJtrackoftheday プレイリスト 2016


Pet Shop Boys、Max Richter、Gold Panda、Q and Not Uなど

#ZSJtrackoftheday プレイリスト 2017



#ZSJtrackoftheday プレイリスト 2018


Hot Snakes、Max Cooper、Jon Hopkinsなど。2018以降の紹介曲も含む

ちなみに2018年以降はザック自身がBandcampで自作プレイリストを紹介している。



ザック・セイバー Jr.発 音楽あれこれ


Cremation Lilyはザックのフェイバリット・アーティストの1人。ザックが愛用する複合関節技の名前に引用されている。

The Field performs "Over the Ice". 英国出身レスラーのフィン・ベイラーにThe Fieldのライブを薦めるツイート。

Max Cooperは「#ZSJtrackoftheday」の常連。

モグワイもザックが愛聴するアーティスト。この楽曲タイトル「Yes! I Am A Long Way From Home」は、彼の必殺技としてそのまま名付けられる。

youthmovie soundtrack strategiesもモグワイ同様に作品名が必殺技の名前に引用されたが、『Hurrah!Another Year,Surely This One Will Be Better Than the Last;The Inexorable March of Progress Will Lead Us All to Happiness』とあまりに長すぎため、プロレス界隈でちょっとした話題になる。

Joy Orbisonは2015年頃からザックの入場テーマ曲として「Hyph Mngo」が使用された。ザックのSNSやプレイリストには度々彼の楽曲が登場する。

Joy Orbison - 「Hyph Mngo」


Idlesはザックが紹介するアーティストの中でも一際破壊的な音を響かせている。ザックは彼らのファンのようで、ライブにも足を運び、入場テーマ曲として「MOTHER」を使用した。



2024年現在、ザックならびに所属ユニット「TMDK」のテーマ曲である「Young Punks」を演奏するMass Lines。ザックとは長年交友関係があったことがSNS上で窺える。



ザックの友人であるルーク・カーライル(Luke carlisle)がMVを手がけた作品。プロレスラーを題材としたドキュメンタリーチックな内容。

ザックはこの世界で生き続けている。



ザック・セイバー Jr. 歴代入場テーマ曲集

最後にザックの歴代入場テーマ曲プレイリストを紹介。
海外団体~NOAH~新日本で使用した楽曲の数々。


Spotifyに存在せず、プレイリスト未収録となった入場テーマ曲は以下。

65daysofstatic - 「Retreat! Retreat!」


DEFY参戦時のオリジナルテーマ曲。

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