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僕らがLIVEに行く理由

アーティストである小沢健二さんの愛称、「オザケン」と聞いて思い出すのは、1994年に発売された彼のアルバム「LIFE」。

「僕らが旅に出る理由」
「今夜はブギーバック」
「ラブリー」

などなど、今の40代の心をつかんできた名曲が揃っている、伝説のアルバムである。
私も学生時代にはよく聞いたものだ。

最初にお断りしておくと、私はコアなオザケンファンではない。
上記の通り、学生時代にふつーにミーハーなポジションでオザケンの曲を聞いていた一人だった。

そんな私が、今回、ひょんなことから、コロナでのライブ活動休止期間を経て、2年ぶりに開催された彼のツアー初日のライブを見に行くことになった。(誘ってくれたNさん、ありがとう♡)

彼のツアーのバックバンドは、ドラム、ベース、ストリングス、パーカッション、ビブラフォン、金管、ハープ、そして指揮者までが揃い、ちょっとしたオーケストラ並みの規模。

迫力と厚みのある音の渦の中で、彼の特徴ある声と小気味よいギターが、一際光り輝く。

おそらく50代前半の彼の声は、あの頃となんら変わっていない。
いや、むしろ当時より張りがあって、パワフルな気さえした。

はっきり言ってしまうと、2時間のライブの中で、私の知っている曲は2曲しかなかった。

しかし、なのだ。

不思議なことに、私はどんな曲が流れても、ノリノリで身体を動かしながら、見様見真似でライブ独特の「振りつけ」をみんなと一緒に楽しみ、2時間後には全身にじっとりと汗をかき、なんともいえない満足感を味わっていた。

今回のライブを通じて、改めて思ったことがある。
それは、「ライブとは波動の共鳴である」ということ。

舞台からうわーん、と客席へ向かって放たれるアーティストたちの本気の波動と。
それを味わうために、どんな用事よりもこの場に来ることを優先して駆けつけた、熱量の高いファンたちの期待・歓喜・興奮の波動が化学変化を起こし、とてつもないパワーを伴うエネルギー空間を作り出す。

それが、ライブなのだ。

もうその空間にいるだけで、なんだかじんわり涙ぐんでしまうような、そんなすさまじいエネルギーが、そこには存在する。

オザケンのステージも、そりゃもう、すごい波動が「これでもかぁ〜!」というくらい、ビシバシ放たれていた。
そして、それに負けじと、全身全霊でオザケンの波動を受け止め、倍返しにして返そうとする聴衆たち。

身体をくねらせて、トランス状態の、どこからどう見ても「オザケンLOVE」なコアのファンもいれば、
恥ずかしそうに小さく両手を振りながら、ライブの振り付けに参加している若者や、
ただじっと腕を組み、微動だにせず、舞台を見つめるおじさんまで、
その波動の受け止め方は実に様々。
(それを見ているだけでも結構面白かったりする)

そんな彼らに一つ共通しているのは、「今、この瞬間はオザケンの波動を浴びている」という事実。

そしてその事実を体感する者達だけが共有できる、言葉では表し難い、一体感、連帯感。

これもまた、ライブの醍醐味の一つのような気がする。

日常にあるアレやコレやはちょっとわきに置いておいて。
今、この瞬間だけは高品質で高エネルギーの波動に身を委ね、一時のトランス状態を味わう。

そして、舞台の上でまぶしいばかりのカリスマ性を放つオザケンを見ながら、なぜかふと、私の頭をある考えがよぎる。

いつか。
わたしもあっち側に立ってみたい。

さて。
また一つ、未来が見えてしまった。

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