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太陽光パネルリサイクルに関する政策

太陽光パネルのリサイクルは、複数の企業がリサイクル装置を開発・商品化し、全国で既に30社を超える企業がリサイクルを事業化しています。
これと並行して、国や自治体、公的な研究機関においても各種の政策や取組みが進められてきました。

今回のトピックでは、国内の主だった政策や取組みを紹介していきます。

太陽光パネルリサイクルに関する政策・技術開発・補助金等一覧

太陽光パネルのリサイクルに関しては、環境省や経済産業省、地方自治体、研究機関などで粛々と進められています。
これらの政策(主要法令・ガイドライン、技術開発、協議会・検討会、補助金など)を実施主体・時系列でまとめたものが下図となります。

太陽光パネルリサイクルに関する政策・技術開発・補助金等の一覧 (PVリサイクル.com®調べ、2022年12月時点)

環境省の政策・取組み

環境省では、FIT制度が始まった2012年度以降、太陽光パネルの廃棄・リユースに関するガイドラインや実証事業、リサイクル装置導入での補助金などの政策が進められています。

ガイドライン・調査報告書

FIT制度が始まった2012年度から3年間、太陽光パネルリサイクル・リユースの基礎調査が実施されています。
2020年(令和3年度)には『使用済太陽モジュールのリサイクル等の推進に係る調査業務報告書』が作成されており、事業者への調査結果に基づく太陽光パネルのリサイクルの実態調査の結果が報告されています。

また太陽光パネルの適正リサイクル・リユースを推進するためにガイドラインが公表されています。

低炭素型3R技術・システム実証事業

リサイクルにおいても低炭素型の技術が求められている背景から、環境省では2014年(平成26年度)から実証事業が実施されています。

太陽光パネルのリサイクル技術に関しても、2015年度から3年間でリサイクル技術・システムの実証が実施され、また2020年度からもリサイクルシステムの実証事業が継続実施されています。

リサイクル施設導入補助金

環境省では脱炭素社会構築のためのリサイクル設備導入促進事業が実施されています。

太陽光パネルリサイクル装置導入のための補助事業に2018年以降に計11社が採択を受けています。

経済産業省(資源エネルギー庁)の政策・取組み

経済産業省(資源エネルギー庁)は、2012年に始まったFIT制度『再エネ特措法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)』の所管官庁であり、再エネ促進の立場となります。

太陽光発電設備に関するガイドライン等

太陽光発電設備の撤去・廃棄については、再エネ設備の『事業計画策定ガイドライン』にて、建設費比5%の自主的積立を求めていました。
しかしながら詳細は事業者の判断にゆだねており、実際の積立進捗状況は低水準だと明らかになったため、廃棄費用の積立を担保する目的で2018年ごろから詳細議論を進めていたことが確認できます。
それらの結果を踏まえ、2022年の改正再エネ特措法施行に伴い『廃棄等費用の外部積立』が始まりました。

再エネの適正導入・長期電源化に向けた取組み

政府が掲げる脱CO2政策の実現に再エネ(太陽光発電)の普及が求められる一方で、FITによる太陽光発電設備の急拡大は地域との軋轢や環境への影響など、ひずみが顕在化してきました。
長期持続的な再エネの普及を実現するために、2022年に入り経産省をはじめ関連省庁(環境省・国交省・農水省)と合同で、検討会・ワーキンググループが開催されています。

中小企業庁による補助金

経済産業省の外局である中小企業庁では、中小企業の育成・発展のために独自の政策(補助金)を実施しています。

代表的なものとして『ものづくり補助金』があり、太陽光パネルリサイクル装置に関して確認できるだけでも2020年以降に6件採択されています。

また新型コロナ禍による事業環境悪化に対して支援するために、2021年度に『事業再構築補助金』の制度が施行されており、太陽光パネルリサイクルに関しての取組みで25件採択されているのが確認できます(2022年12月時点)。

リサイクル技術開発の歩み

太陽光パネルのリサイクル技術開発は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)を中心にFIT制度が始まる2006年度から進められていた様です。

2014年度~2018年度の『太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト』では、多くの企業等によりリサイクル技術の開発が進められています。
本プロジェクトでは、15項目の調査・技術開発が25の企業等により実施され、一部の開発成果は実際のリサイクル装置として製品化されています。

また地方の研究機関などにおいても、地域の企業などと共にリサイクル技術の開発や調査、セミナーなどの情報発信を行っている事例もあるようです。

自治体独自の取組み

自治体の取組みとしては、エコタウンとして従来からリサイクル・資源循環の取組みに力を入れている秋田県や福岡県(北九州市)、原発事故を機に再生可能エネルギーに注力している福島県などにおいて、独自のリサイクルシステム構築に向けた動きがあります。
最近では東京都や埼玉県などの住宅向け太陽光パネルの回収の課題に向けた検討会、愛知県の資源循環を地域で進める動きなど、新たな取組みも進んでいる様です。

従来からある3R・資源循環の枠組みとして産業廃棄物処理施設への補助金が各自治体で設けられていますが、ここ数年で太陽光パネルのリサイクル装置導入に適用されている事例も増えてきています。

また将来の太陽光パネルの大量廃棄の懸念から、地方自治体議会が適正処理の法制化等を国へ要望する意見書を議決している例も確認できます。

まとめ

FIT制度が2012年に始まり全国で太陽光発電が急増したのに並行して、国・自治体による政策や研究機関などでの技術開発など、太陽光パネルのリサイクルに関する多くの取組みが実施されてきました。

これらの成果は広く国民に分配されることが求められ、太陽光発電に関わる事業者などに周知・共有・活用されることが望まれます。
国・自治体の政策の妥当性や効率性などが議論されている昨今、改めてこれら政策の評価・総括をする必要があると考えられます。


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