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連載の終わる日

新潟日報さんという新聞社が発行している「おとなプラス」という、タブロイド判の新聞があります。
この「おとなプラス」で2019年4月から、毎週土曜日発行の号でクロスワードの連載をいただくようになりました。

クロスワードのサイズは6マス×6マス。懸賞はないが、ABCマスの文字を拾う解答は付ける。テーマは自由。というのが先方さんからのご依頼。
自由とは言っても、ただただフリーに作るのも面白くないので、
 ・黒マスは点対称配置(まれに対角線での線対称配置)
 ・1問ごとにテーマは設ける
 ・同じ単語の使用は、過去10問の中では避ける
という縛りを自分で設定して、連載をこなしていくことにしました。

黒マス配置で、対角線ではない線対称配置をしなかったのは、偶数×偶数の盤面だと線対称配置がかなり難しいから。無理ではないけどね。
テーマを設けたのは、逆にテーマを設けないと似たような問題を出してしまう可能性があるから。自分の好みに偏ることなく、あらゆるジャンルのテーマを設定することを心掛けました。

そうは言っても時にはテーマ縛りがきつい時もあります。他の仕事との兼ね合いであまり時間が取れない時とか。
そういう場合はテーマ縛りではなく形式縛りとして作りました。
一番多くやったのが「漢字の読み」問題。次が「英単語の和訳」問題。
具体的なテーマは設定しないが、タテヨコのカギがすべて特定のルールに則って書かれたものであるという問題です。

そんなこんなの工夫をして続けていたクロスワードのコーナーですが、2024年2月17日号を持ちまして終了となりました。記事トップの写真には「最終回」の文字。
終了の理由は「おとなプラス」本体そのものが終了となるため。
幸い新潟日報さんの方では、本紙の朝刊と購読者のお宅に月イチで配られる小冊子の方でもお仕事をいただけているので、今後はそちらにさらに注力して頑張っていきたいと思います。

数え間違いがなければ、全部で237問の出題となりました。
休日と重なる時は「おとなプラス」自体が休刊となりますが、それ以外の通常時では一度も休載や代打はありませんでした。無事に走り切ったぞ。
1問目の解答が「シンセイカツ」で、237問目の解答が「フイナーレ」。
最終問題は入れる言葉やカギも、ラストにふさわしいように綺麗にまとめました。まあこんなもんでしょう、上出来。

パズル作家をやっていると、ときどき連載の終了や休刊の報が飛び込んできます。自分がベストを尽くして良問を納品していても、パズルコーナーが終了することはよくあります。
それぞれの媒体に事情がありますからね。媒体の本体の方も苦渋の決断を強いられているでしょう。
とはいえ連載終了や休刊の知らせを聞くと焦るもんです。定期的にあった収入の一部が無くなるわけですから。でもそういう知らせを何度も聞いて、その都度耐えて20年以上パズル作家を続けてきました。

ま、なんとかなるでしょ。

最初の一瞬だけ焦るけど、最近はいつもこんな感じ。
若い作家さんは終了の知らせに焦ることがいずれ来ると思います。
でもだいじょぶ。なんとかなるんじゃないかな。気負いすぎてメンタルやられる方がマイナスだと思います。楽しい遊びとしてのパズルを提供するのが仕事なんですから、遊びゴコロは無くさないようにね。

「神は細部に宿る」を信じて、綺麗なパズルを作っていきましょう。
細部を評価する読者や編集者に会えた時、恥じることがないように。

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