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16 引っ越し

 保育園までの道のりが遠いので、保育園の近くに引っ越すことになりました。そして当然のように引っ越し準備、手続き、片付けすべて私が担当しました。その方がスムーズに事が進むからです。一応、手続きはこういうことをして、どこに電話してこういう書類を書くんだよ、と説明しましたが、夫はあまり真剣に聞いている感じではありませんでした。

荷造り

 仕事と家事育児の合間をぬって、毎日少しずつ段ボールに荷物を詰めていきました。学生の時から数えたら、引っ越しはもう6回目です。私にすべて任せてくれた方がはるかに気楽でした。夫は引っ越し当日、1歳半の娘を連れて時間をつぶす係をしてくれることになりました。


引っ越し係と子守係

 午前中に業者が荷物を出し、午後1時に新居へ荷物を入れ、そこからひとりで段ボールを開けて住めるスペースを作ります。かなり大変な作業ですが、頑張りました。まずキッチンとリビングを片付けました。残りの部屋は明日から少しずつ段ボールを開けていけばいいのです。

1時間過ぎたところで夫からメールがきました。
モラ夫「何時までかかるん。娘がぐずるから大変なんやけど」
文面から不機嫌な香りがしたので、すぐ作業を中断し、メールですぐ返信しました。
「まだ。もうちょっとかかる。あと1時間半くらい面倒見てて!ごめんよろしく」(なぜかいつも謝ってしまいます)

しかしそれから30分もしないうちに、新居に元夫が娘を連れて帰ってきました。夫が不機嫌なのは一瞬でわかります。しかしこちらも、必死で作業中です。小さな娘がいたのでは全く進みません。

モラ夫「何でまだ片付いてないん。今まで何してたん。遅い」イライラしているようですが、私だってイライラしています。引っ越しの作業は本当に大変なのです。それに1時間ですべての片付けは無理です。
「ごめん。業者の搬入も予定より長くかかっちゃって、その後からちゃんと一生懸命やってるんやけど、一人じゃやっぱ時間かかるね」と最大限に穏やかに言いました。
モラ夫「遅いやん。こっちは大変なんやで。なんで業者に文句言わないの。なんでこんなに遅くなったん」眉間にしわを寄せて言いました。
「なんでって言われても、荷物が多いから仕方ないんじゃないかな。本当に子守ありがとう。私の作業も遅くてごめんね」
と謝りました。

 本当は私は悪くないし謝る必要もありません。しかし絶対に謝るもんか、と意地を張って事態が更に悪くなることに何の意味もありません。明日も仕事です。とにかく、片づけて、夕飯を作ってお風呂と寝かしつけまでしなくてはなりません。元夫は携帯ゲームをはじめ、手伝うそぶりも見せませんでした。そして娘は当然「ママ、ママ!だっこー」と私にべったりなので、作業ができません。

「子守りと引っ越しとどっちがいいか選んで」と夫に言って、彼は子守を選びました。引っ越し作業の方が格段に大変です。準備も手続きも荷ほどきも、文句を言われる筋合いはありません。それに私だって食事をとる時間もなく、ひとりで力仕事を頑張っているのです。夫ばかりイライラしてずるいです。私は夫がいなくても、24時間でもそれ以上でも、娘と時間を共にすることができます。たった3時間も面倒見れないくせに、それなのに結局私が悪者?おかしすぎます。しかしこの気持ちをぶつけたところで理解してくれるはずがありません

 この数年後、私たちは更にもう一度引っ越しをすることになります。その時も、手続きと荷造りと子守は私で、元夫は当日の業者の対応のみお願いしました。荷ほどきは、妊婦の私がコツコツと私が進めました。結局元夫は用事を入れて遊びに行ってしまいました。しかも片付かない間、元夫はずっと不機嫌で、私をいたわったり感謝したりすることはありませんでした。

 子どもたちのおかげで、私は毎日頑張れたのだと思います。離婚なんて絶対にするつもりはありませんでした。当時は一人で育てる自信がありませんでしたが、モラハラ夫がいなくなった今、家事育児の負担は半分以下です。当時の私に早く離婚を勧めたいです。絶対こっちの生活の方が楽しくて、幸せで、充実しています。

ただ、モラハラ夫とうまく生活すること自体が目標だった当時は、問題の根本解決を望んではいませんでした。夫の機嫌が良いことが生活の全てだったからです。自分さえ我慢すればうまくいくので、そういう本も参考に、アンガーマネジメントも取り入れて丁寧に生活しました。ただし、うまくやるには自分の命が削られるのと引き換えになる、とは誰も教えてくれませんでした。

我慢してすごい、愛があるんだね、

数々の賛美の言葉に、余計頑張ってしまったのです。



 数年後の引っ越しのお話は、また後日。この日に、元夫がいかに女性を軽視しているかわかることになります。

次回に続きます。

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