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0121 聖フランチェスコ・ロージ監督『エボリ』聖地巡礼

2024‎年4月26日(金)にイタリアのプーリア州バーリ県グラヴィーナで4月27日(土)にバジリカ―タ州マテーラ県クラーコとポテンツァ県グアルディーナ・ペルティカーラで聖フランチェスコ・ロージ監督『エボリ』(Cristo si è fermato a Eboli)の聖地巡礼をしてきました。

聖フランチェスコ・ロージは『都会を動かす手』の1963年第24回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞と『黒い砂漠』の1972年第25回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(←当時はグランプリ)で列聖。

カルロ・レーヴィの「キリストはエボリに止まりぬ」の映画化。
1935年の冬。憲兵に護送されて南イタリアのカンパニア州サレルノ県エボリ駅に降り立つカルロ・レーヴィ(演:ジャン・マリア・ヴォロンテ)。迎える人はなく、バローネ(男爵)という名の捨て犬だけがついていく。レーヴィは流刑者。北イタリアのピエモンテ州トリノ県トリノの文化人として知られていたが、反ファシズム活動で逮捕されて、エボリの更に南のルカニアの山境に流刑されるのだ。
荒涼として胸を絞めつけるような風景の山上僻村集落ガリアーノ。土が悪く作物は殆ど取れない。出稼ぎでアメリカに移民を出した家も多いが、郷愁に負けて戻ってきた者もいる。「キリストもこの村までは来なかった。エボリに止まったのさ」と笑いとばすのが村人たちの言いぐさだ。
村を知り村人たちを知るにつれて、レーヴィは、都会では知り得なかった別のイタリア…本当の心が存在していることに気付いていく。それは、面会に訪れた姉のルイーザ・レーヴィ(演:レア・マッサリ)にも、言葉では説明できないものだった。イタリア北部の知識人の理解を超える、もうひとつのイタリアがここには確かに生きているのだ。村長(ポデスタ)のドン・ルイジ・マガローネ(演:パオロ・ボナチェッリ)は、もうひとつのイタリアを発見することなど、ムッソリーニ支配のうえで危険このうえないと、レーヴィの身を案じて渓谷を発するが、村人たちがレーヴィを医師として心から信頼し始めたことから、レーヴィと村長の対立は高まっていく…。

聖地巡礼先のまずは、流刑されたカルロ・レーヴィが憲兵と列車を乗り換える(カンパニア州サレルノ県)エボリ駅として撮影された(南イタリアながら東西が正反対に位置するプーリア州バーリ県グラヴィーナ・イン・プーリアの)アップロ・ルカーネ鉄道 Ferrovie appulo lucane(FAL)グラヴィーナ駅。Ferrovie Appulo Lucane – Sito ufficiale
Ferrovie Appulo Lucane - Wikipedia
※ちなみに本物のカンパニア州サレルノ県のエボリは、今回の『エボリ』でのグアルディーナ・ペルティカーラ聖地巡礼のあと、ポテンツァを経由してサレルノでアウトストラーダ(高速道路)を下りる途中で通過。

ジャン・マリア・ヴォロンテが降り立ちバローネを拾ったプラットホーム
残念ながら現在、ジャン・マリア・ヴォロンテが降り立ったプラットホームには入れません
映画本篇では地下通路を歩いて駅舎を出てローカル線に乗り換えます。
こちらの駅舎は現在も利用されてます

カルロ・レーヴィが実際にルカニア地方の流刑地はガリアーノ(現アリアーノ)ですが、映画本篇では(バジリカ―タ州マテーラ県)クラーコ(集落の外観や奇岩や流刑者たちメイン)と
Craco - Wikipedia
Craco - Wikipedia
ポテンツァ県グアルディーナ・ペルティカーラ(ポデスタ(村長)の執務室や教会が囲む集落内で一番賑やかな広場)、
Guardia Perticara - Wikipedia
バジリカ―タ州マテーラ県アリアーノ(の実際にカルロ・レーヴィご本人が暮らした家=現在は博物館で撮影)の3つの山上集落でロケされてます。※こちらは移動時間の都合で訪問を断念しております。ごめんなさい。
Aliano - Wikipedia
Casa di confino Carlo Levi - Mua - Musei Aliano
(この作品のロケ地にはなっていないマテーラも含めて)クラーコなどの岩山にへばりついた山上集落は初めて遭遇すると「かなりスゲ~風景!」なんですが、バジリカ―タ州には山上集落が小規模なものも含めて相当あったりするのですぐに飽きちゃいます。←本当!
という訳でカルロ・レーヴィが流刑地のクラーコ Cracoに到着します。

カルロ・レーヴィが村に到着した後、村職員と出会う場所はクラーコのウンベルト大通り Corso Umberto(←大通りって呼んでよいのかな?)。

カルロ・レーヴィが村長ドン・ルイジ・マガローネと出会う山上集落の広場はグアルディーナ・ペルティカーラ広場  Piazza di Guardia Perticara。

『夕陽のガンマン』のエル・インディオと『ソドムの市』の公爵が仲良くトーク
映画本篇で憲兵が歩く先で村人が談笑する建物には
扉右上に掲示が…
この地で『エボリ』が撮影されたことを知らしめる掲示物

朝から農作業に駆り出される村民たちの背景が、クラーコ廃墟の全景。

グアルディーナ・ペルティカーラ広場では、ファシストの村長が執務室のバルコニーからイタリアによるエチオピアへの差し迫った侵略について演説します。

姉のルイーザがカルロを訪ねてきます。2人が歩くのは市道クラーコ-モンタルバノ・ヨニコ線 Strada Comunale Craco- Montalbano Jonico。

現在はクラーコ廃墟ツアーのゲート。

クラーコ山上集落を背景にルイーザとカルロの姉弟が語り合うのがサン・ピエトロ教会 Chiesa di San Pietro in località Monastero。

グアルディーナ・ペルティカーラ広場は終盤にも登場。

この日はクリスマス・ミサ

1936年5月5日、イタリアがエチオピア侵略に成功し、共産主義者2名を除く流刑者に恩赦が与えられる。祝福に集まった村人たちに送られ、雨のなか再会を約してレーヴィはクラーコからトリノへと旅立っていくのだった。

©2014 プッチー・ミンミン
©1978 Vides Cinematografica - RAI - Action Film ‐ Gaumont. All Rights Reserved.

聖フランチェスコ・ロージ監督他作品の聖地巡礼
0117『挑戦』
0118『都会を動かす手』
0119『コーザ・ノストラ』
0120『ローマに散る』

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