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0120 聖フランチェスコ・ロージ監督『ローマに散る』聖地巡礼

2024‎年4月29日(月)と30日(火)にイタリアのカンパニア州ナポリ大都市圏(旧ナポリ県)ナポリで聖フランチェスコ・ロージ監督『ローマに散る』(Cadaveri Eccellenti)の聖地巡礼をしてきました。

聖フランチェスコ・ロージは『都会を動かす手』の1963年第24回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞と『黒い砂漠』の1972年第25回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(←当時はグランプリ)で列聖。

シチリア州出身のレオナルド・シャーシャの「権力の朝 Il contesto」の映画化。映画のイタリア語タイトルは「優れた死体」の意味。
原作の舞台は国家も特定されておらず、地名も架空のものですが、70年代のイタリアの状況ではシチリア島と類推されるようです。

さて、映画の方の日本語タイトルは『ローマに散る』ですが、このタイトル…当時のユナイト日本支社のスタッフが聖ルキノ・ヴィスコンティの『ベニスに死す』にあやかってイタリアを舞台にしたミステリーチックなタイトルを付けてしまったとしか考えられません。オープニングタイトルのカタコンベはシチリア州パレルモで、タイトル直後に発生する事件はナポリ、ローマも2ヵ所ロケ地があるみたいですが、途中もラストもナポリばっかり。デジタル・マスターのリバイバルや日本版ブルーレイのリリースでは『ナポリに散る』に改題した方が良いです。実際に、映画本篇ではナポリで散ってるし…(苦笑)。今だったらイタリアを訪問している日本人ははるかに多いので「この映画…ローマが舞台じゃないじゃん!」って炎上すること間違いなし!

19XX年南イタリア(←イタリア語版Wikipediaでの表記・当時のユナイト配給パンフレット・チラシではローマ近郊)で法曹界の大物検事・判事三人が連続的に殺害された。高まる世論を受けて、警察当局は捜査責任者にロガス警部(演:リノ・バンチュラ)を任命する。私生活のうえで人の恨みを買うような問題のない被害者たち。ロガスは、被害者たちが関与した裁判の判決、或いはその裁判の被告たちが事件の重要な鍵を握っているのでは、と推理した。被害者三人が共通に関係した事件は三件。そのうち妻殺し未遂の容疑で有罪となったクレスという男の存在がロガスの脳裏に大きく引っかかった。しかし現在クレスは行方不明。そうするうちにまたしてもラスト判事(演:アラン・キュニー)が殺害された。彼もまたクレスの裁判に連座していた。世論の批判をタテに事件の早期解決をロガスに迫る内務大臣(演:フェルナンド・レイ)たち。さらにもう一人の判事が殺された。ロガスは事件の背後に巨大な陰謀の匂いを嗅ぎ始めた。幸い今回の殺人では目撃者がいた。事件直後の
路上からスイス・ナンバーの白いメルセデスが走りさったという。ロガスは直感でリケス最高裁判所長官(演:マックス・フォン・シドー)の身辺を危惧した。注意を促すため最高裁長官公邸へ向かったロガス警部がそこに見たものは、思わぬ光景だった…。

カタコンベのタイトルの後、オープニングでヴァルガ検事(演:シャルル・ヴァネル)が殺害されたのは、ナポリ・カポディキーノ国際空港 ナポリ・カポディキーノ国際空港に近いポッジョレアーレの墓地 Cimitero Monumentale di Poggioreale内を貫く
Cimitero Monumentale di Poggioreale - Wikipedia
サンタ・マリア・デル・ピアント通り Via Santa Maria del Pianto。

ヴァルガ検事の葬式はサン・ドメニコ・マッジョーレ教会 Basilica di San Domenico Maggioreで行われ、
Basilica di San Domenico Maggiore - Wikipedia
同教会前のサン・ドメニコ・マッジョーレ広場 Piazza San Domenico Maggioreでヴァルガ検事の追悼集会と葬送があります。

ナポリ市長の執務室としてロケされたのは、ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア Pio Monte della Misericordiaで、
Pio Monte della Misericordia - Wikipedia
早期解決を求めて市長執務室前で集会が行われるのはシスト・リアリオ・スフォルツァ広場 Piazza Sisto Riario Sforzaです。
Piazza Sisto Riario Sforza - Wikipedia

カラモ判事が狙撃手に暗殺された国立銀行の本部は、ジョヴァンニ・ボヴィオ広場 Piazza Giovanni Bovioに面した
Piazza Giovanni Bovio (Napoli) - Wikipedia
ボルサ宮殿Palazzo della Borsa で撮影されてます。
Palazzo della Borsa (Napoli) - Wikipedia

内務大臣から警視総監が犯人逮捕を命じられたロケ地はナポリ王宮 Palazzo Reale。
Palazzo Reale (Napoli) - Wikipedia

『フレンチ・コネクション』のヒゲな感じ!

なお、現地滞在時間の都合上、聖地巡礼できなかったラスト・シーンのロガス警部とアマール共産党書記長(演:フロレスターノ・ヴァンチーニ)が殺害される博物館はナポリ国立考古学博物館 Museo archeologico nazionale di Napoli。
mann napoli|museo archeologico nazionale di napoli (mann-napoli.it)
Museo archeologico nazionale di Napoli - Wikipedia
いずれにしてもこの映画…最初から最後までずっと『ナポリに散る』作品です。

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聖フランチェスコ・ロージ監督他作品の聖地巡礼
0117『挑戦』
0118『都会を動かす手』
0119『コーザ・ノストラ』
0121『エボリ』

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