私はプロゴルファー猿になってしまうのか。
こんにちは、ぷるるです。
私はこれまでスポーツに興味がありませんでした。
もちろん素晴らしい試合に心動かされることもあります。
でも自分からやりたいと思わないし、下手でもまったく気になりません。
人の才能は多岐に分かれるからこそ、支え合えるもの。
私はこれからもインドア担当として生きていけばよろしい。そう思ってきました。
そんな私がまさか
ゴルフを真剣にやるようになるとは・・・
今だにピンと来ないんですよ。自分のことなのに・・・。
でも毎日きっちり素振りをし、毎週打ちっ放しに行く現実があるわけです。
人生って、未知との遭遇ですね。
ことの起こりは昨年の秋。
母のゴルフクラブを譲り受けたことでした。
母はゴルフをとうに辞めていたのですが、お気に入りのクラブは大事に保管していたのです。
しかし突然「クラブセットをもらって欲しい」と言い出しました。
「あんたが使ってくれたらさ、私もうれしいじゃないの」
母は照れながらそう言いましたが、新しく買った健康器具を収納する場所の確保が理由だと、私は知っております。
とはいえ、流れてくるものは受けるのが信条。
私はゴルフクラブを引き取ることにしたのです。
しかし私のゴルフのイメージは、あまり良くありませんでした。
若い頃に抱いた印象のまま、ストップしていたからです。
言葉にすれば、この3つ。
・おじさん
・ 金満接待
・ プロゴルファー猿
プロゴルファー猿の存在はアニメで知りましたが、正直かなりの衝撃でした。
友人と「ゴルフと猿って!素足でワイって!!」と、大笑いしたものです。
つまり『良い印象がない』ということ。だから躊躇はしたんです。
でも体験せず決めつけるのは、好むところではありません。
そこで私はクラブをもらった翌月、コースデビューしてみました。そして、
もちろん、惨敗しました・・・。
草むら、林、砂の上。どこで打っても、どこへも飛ばない。
走り通しで失う体力、増えるストレス。
スコアは以下の通りです。はっきり言ってド下手、と言って良いでしょう。
周りの方々を「えっ、174?!」と驚愕のるつぼに落とし込む、この実力。
これまでスポーツを排除してきた甲斐があったものです。
ゴルフ場から帰宅し、刺しゅうをしながらチェット・ベイカーのボーカルに身を委ねると、幸せが胸に満ちてきます。
そう、これが私・・・。
もうゴルフはやめよう。
これまで積み上げてきたアイデンティティと相性も悪いし。
私はごく自然に決断していました。
ところがその数日後。突然私の心に
プロゴルファー猿が現れたのです!!
彼はこう言いました。
「せっかく初めたもんを、途中で投げ出すんか?」
猿の登場に戸惑いながら、私は挑発を毅然とはねのけました。
「ええ、しませんとも!もうゴルフは結構なんです」
しかし猿は鼻で笑い飛ばします。
「HOW TOを知らんに過ぎん。学ぶにはYoutubeが最適やで!!」
漫画のキャラクターといえど、彼はプロゴルファー。そのアドバイスを無碍にはできません。
私は仕方なく、YoutubeでゴルフHOW TOを見始めました。
そして数ヶ月がすぎた頃、また突然プロゴルファー猿が現れたのです。
「季節は春やで。練習始める頃合いとちゃうか」
確かに理解が進むにつれ、実際に試したくなっていました。
私は再び練習場へ通いだし、いつしかグッズまで購入するように。
写真左は、正しいクラブの握り方が身につく「グリップ先生」
右は素振り専用クラブ(江連忠プロデュース)。
そして今年の6月。約8ヶ月ぶりのコースで私は・・・
大躍進を遂げました!!
スコアが一気に30弱も良くなったのです。
それからは練習の日々を過ごしている、というわけです。
ゴルフの魅力はたくさんありますが、私はメンタルの部分を推したいと思います。
人は普段、自分の本音を上手にコントロールしています。
でもゴルフというスポーツは、それをさらりと引き出してしまうのです。
例えば私は子供の頃かんしゃく持ちでして、それを自分でコツコツ修正してきました。今ではその面が表に出ることはまったくありません。
でも、ゴルフではこれが出ちゃったんですよね〜。
これには心の底から驚きました。自分ではもう治ったと思っていたから。
『ゴルフは結婚相手の見極めに最適』というのは、真実だったようです。
また私は本や漫画が好きですが、やはり素晴らしい作品には己を投影します。
高潔な主人公に自分を重ね合わせて、良い気分になったりして。
でもゴルフは、「そうじゃないでしょ、本当は違うよね」と、リアルを突きつけてくるわけです。己にもうま〜く隠している部分まで引き出してくる。
これはかなり怖くて、だからこそ非常に面白いです。
ゴルフは人と競いません。競うのは過去の自分ただ一人。
そして対峙するのは真の自己のみ。そう、
ゴルフとは、『動く禅』だったのです!
これに気づいたとき、私はゴルフにグッと引き込まれたのだと思います。
しかし、だんだんゴルフに詳しくなる自分に戸惑うのもまた、事実です。
最初は、意味不明のゴルフ用語に腹を立てていたものでした。
とにかくやたらカタカナなんですよ。例えば「足幅→スタンス」と言ったり。
それが鼻につくわけです。
ところが気づけば、「フォローの時にさ、体がスウェーしちゃうんだよね(=クラブを前に振る時に、体幹がブレてしまうのよね)」と話している自分が・・・。
正直とっても嫌です。こんなの私じゃない!
でもそんな時に現れるのが、プロゴルファー猿という男。
彼は私の肩に手を置き、ニヤリと笑いました。
「己を受け入れて、初めてボールは飛ぶんやで」と。
確かに己のアイデンティティが固まるのは、自然の流れと言えましょう。
しかし人生は死ぬまで挑戦です。誰しも明日のことはわからない。
なのに自分を知った気になるなど、笑止千万。
さすが手作りクラブを持つ男は、言うことが違います。
でも・・・
こんなに猿の言葉に耳を傾けて良いものでしょうか。
最近はなんだか顔つきまでサルってきた気がするのです。
私は一体どうなってしまうのか。
もしある日、私のアイコンが猿のイラストに変わったら。
その時はプロゴルファー猿に乗っ取られたと思ってください。
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